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3話 狩猟
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久留米は、乱雑に積み上げられた変異種の死体に、つい声を漏らしてしまう。
明らかに食い荒らされた部分は見受けられるが、成果としては十分だ。
「見事なものだな」
変異種の狩りそのものは、部隊を組織し行っていることだが、獲物の選択をしても、銃弾などの物資の消費が多い。
人や銃弾などの物資を考えれば、養殖の研究が広まった理由もよくわかるというものだ。
だが、ほとんどが小型の変異種とはいえ、彼らは、自らの肉体のみで狩りを行っていた。つまり、銃弾などの消費は無いに等しい。
「君が、G45だったかな」
「ん……なにオッサン」
四人の中で最も赤黒く染まり、鼻につく臭いをさせているG45に目を向ければ、少しだけ目を細め、警戒したように言葉を返してくる。
報告にあったように、この中では最も会話ができるヴェノリュシオンらしい。
「あの中で、一番おいしかった肉はあるかい?」
「おいしかった……? アレじゃん?」
言っている意味が分からないとばかりに眉を潜めているが、ある一頭を指さした。
「では、アレは君たちに回すようにしよう」
そういえば、後ろにいた三人の目が少しだけ細まった。
「他に、何かリクエストはあるかい?」
「リク、エスト……?」
「以前の料理で、これが食べたいとか、そういったものだ」
少し目が泳ぎ始めたG45の肩を掴むように後ろに下げるS19は、隠すつもりのない疑いの視線を久留米に向けていた。
「なぜ、そんなことを聞く?」
「君たちが、功労者だからだ。功労者には、報酬が支払われるべきだ」
「その報酬が食べ物ってわけ?」
「君たちの現状と我々の現状を考えた上での判断だ」
いまだ、閉じ込めておくべきだと異を唱える者もいるヴェノリュシオンたちに、与えられる報酬の自由は少ない。
第一、彼らの求める報酬に目星がつかない。
研究所から出たことのない彼らが、何を求めるのか。
それは、もっとも単純なものだ。
「監視を外せ」
O12から短くはっきりと告げられた要望に、久留米は少しだけ目を細める。
牧野も驚いたようにO12の方へ顔を向けた。
誰だって、常に監視され続けていればイヤになる。
しかし、今回の狩猟に関しても、牧野が目を離さないこと、P03の協力があってこそだ。それであっても、久留米がやや強引に通した案だ。
「それは、これからの働き次第だ」
ヴェノリュシオンが、人間にとって安全な存在であること。
少なくとも、久留米に向けられる殺気が解かれることが無ければ、監視の目を外すことはできない。
「働きねぇ……そんな悠長なこと言える立場かよ」
「ちょっ……! O! あんま反抗的なこと言うじゃ――」
「君たちは確かに素晴らしい存在だ。だが、個々としての能力だけが、中途半端に良いだけだ。知識も経験も、数も、足りないものは多い」
故に、牧野たちの部隊に負けた。
圧倒的に自分たちが有利な環境にも関わらず。
久留米は、じっと彼らを見下ろしながら、問いかけた。
「だからこそ、君たちはここに残ることを決めたのだろう?」
害されることがなく、整えられた環境を住処にするのは、本能として当たり前のことだ。
この世界が未知の領域であることは、自分たちにとっても、彼らにとっても変わらない。
故に、P03が奪取できる状況となった今でも、ここから離れない。
「…………」
”協力”ではなく”共存”。
今の彼らに提案できるのは、そこまでだろう。
「ねぇ」
重い沈黙を破ったのは、G45だった。
意外にも、頭が回りそうなT19やO12ではなく、彼が口火を切るのかと、目をやる。
「その肉、Pにあげてよ」
だからこそ、予想外な言葉の意味を理解するのに、少しだけ時間が掛かった。
「ふざけんな」
「いいわけないだろ」
「勝手に決めてんじゃねーぞ」
割と遠慮なくG45を殴っては蹴っているが、G45も負けじと反撃している。
「うっせー! Pだって、いっぱい食べたら、病室から出られるんだからいいじゃん!!」
そう言って、その変異種を持ち上げると、久留米に押し付けるように渡した。
「絶対、他の奴に渡すなよ! それ!」
「す、すみません。少尉」
牧野が慌てて、変異種を受け取ろうと近づけば、久留米は牧野へ目をやり、思案するように視線を落とすとG45の前に屈んだ。
「では、牧野軍曹と共にP03の元へ届けるか?」
そう問いかければ、G45だけではなく、牧野も含めヴェノリュシオンたちも驚いたように久留米を見つめた。
P03との接触は、今まで夢以外の場所で叶ったことはない。現実でのP03との接触によって、彼らが強攻策へ移らせる危険があったからだ。
しかし、いつまでも現状のままというわけにもいかない。
「届ける!!」
「そうか。では、任せるぞ」
久留米から再び渡される変異種を受け取るG45に、他のヴェノリュシオンたちは何か言いたげにじっと見つめていたが、最後まで口にすることはなかった。
明らかに食い荒らされた部分は見受けられるが、成果としては十分だ。
「見事なものだな」
変異種の狩りそのものは、部隊を組織し行っていることだが、獲物の選択をしても、銃弾などの物資の消費が多い。
人や銃弾などの物資を考えれば、養殖の研究が広まった理由もよくわかるというものだ。
だが、ほとんどが小型の変異種とはいえ、彼らは、自らの肉体のみで狩りを行っていた。つまり、銃弾などの消費は無いに等しい。
「君が、G45だったかな」
「ん……なにオッサン」
四人の中で最も赤黒く染まり、鼻につく臭いをさせているG45に目を向ければ、少しだけ目を細め、警戒したように言葉を返してくる。
報告にあったように、この中では最も会話ができるヴェノリュシオンらしい。
「あの中で、一番おいしかった肉はあるかい?」
「おいしかった……? アレじゃん?」
言っている意味が分からないとばかりに眉を潜めているが、ある一頭を指さした。
「では、アレは君たちに回すようにしよう」
そういえば、後ろにいた三人の目が少しだけ細まった。
「他に、何かリクエストはあるかい?」
「リク、エスト……?」
「以前の料理で、これが食べたいとか、そういったものだ」
少し目が泳ぎ始めたG45の肩を掴むように後ろに下げるS19は、隠すつもりのない疑いの視線を久留米に向けていた。
「なぜ、そんなことを聞く?」
「君たちが、功労者だからだ。功労者には、報酬が支払われるべきだ」
「その報酬が食べ物ってわけ?」
「君たちの現状と我々の現状を考えた上での判断だ」
いまだ、閉じ込めておくべきだと異を唱える者もいるヴェノリュシオンたちに、与えられる報酬の自由は少ない。
第一、彼らの求める報酬に目星がつかない。
研究所から出たことのない彼らが、何を求めるのか。
それは、もっとも単純なものだ。
「監視を外せ」
O12から短くはっきりと告げられた要望に、久留米は少しだけ目を細める。
牧野も驚いたようにO12の方へ顔を向けた。
誰だって、常に監視され続けていればイヤになる。
しかし、今回の狩猟に関しても、牧野が目を離さないこと、P03の協力があってこそだ。それであっても、久留米がやや強引に通した案だ。
「それは、これからの働き次第だ」
ヴェノリュシオンが、人間にとって安全な存在であること。
少なくとも、久留米に向けられる殺気が解かれることが無ければ、監視の目を外すことはできない。
「働きねぇ……そんな悠長なこと言える立場かよ」
「ちょっ……! O! あんま反抗的なこと言うじゃ――」
「君たちは確かに素晴らしい存在だ。だが、個々としての能力だけが、中途半端に良いだけだ。知識も経験も、数も、足りないものは多い」
故に、牧野たちの部隊に負けた。
圧倒的に自分たちが有利な環境にも関わらず。
久留米は、じっと彼らを見下ろしながら、問いかけた。
「だからこそ、君たちはここに残ることを決めたのだろう?」
害されることがなく、整えられた環境を住処にするのは、本能として当たり前のことだ。
この世界が未知の領域であることは、自分たちにとっても、彼らにとっても変わらない。
故に、P03が奪取できる状況となった今でも、ここから離れない。
「…………」
”協力”ではなく”共存”。
今の彼らに提案できるのは、そこまでだろう。
「ねぇ」
重い沈黙を破ったのは、G45だった。
意外にも、頭が回りそうなT19やO12ではなく、彼が口火を切るのかと、目をやる。
「その肉、Pにあげてよ」
だからこそ、予想外な言葉の意味を理解するのに、少しだけ時間が掛かった。
「ふざけんな」
「いいわけないだろ」
「勝手に決めてんじゃねーぞ」
割と遠慮なくG45を殴っては蹴っているが、G45も負けじと反撃している。
「うっせー! Pだって、いっぱい食べたら、病室から出られるんだからいいじゃん!!」
そう言って、その変異種を持ち上げると、久留米に押し付けるように渡した。
「絶対、他の奴に渡すなよ! それ!」
「す、すみません。少尉」
牧野が慌てて、変異種を受け取ろうと近づけば、久留米は牧野へ目をやり、思案するように視線を落とすとG45の前に屈んだ。
「では、牧野軍曹と共にP03の元へ届けるか?」
そう問いかければ、G45だけではなく、牧野も含めヴェノリュシオンたちも驚いたように久留米を見つめた。
P03との接触は、今まで夢以外の場所で叶ったことはない。現実でのP03との接触によって、彼らが強攻策へ移らせる危険があったからだ。
しかし、いつまでも現状のままというわけにもいかない。
「届ける!!」
「そうか。では、任せるぞ」
久留米から再び渡される変異種を受け取るG45に、他のヴェノリュシオンたちは何か言いたげにじっと見つめていたが、最後まで口にすることはなかった。
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