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14話 殺意無き殺意
01
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P03が施設内にいない。
牧野たちからの無線が入る数十分前に、G45とS08が、施設内を制圧した上で、探し回って出した結論だった。
それこそ、研究員全員を食い殺しそうな勢いだったが、研究員たちは、誰もP03のことを言わなかった。
命を賭けても言わないなんて、それこそ本当に知らないのではないかとも思ったが、T19とS08にはっきりと否定された。
しかも、T19は”拷問”を知っているらしく、危うく、この場で行われそうになった。
既に、アウトよりのグレーな気もするが、殺人と拷問なんてした瞬間に、ヴェノリュシオンたちは本格的に処分対象となる。
今現在、どれだけの人間がヴェノリュシオンを生かすために動いているかわからないが、それら全てが無駄になる。
というのを、機密もプライドもなく説明して、懇願すれば、ヴェノリュシオンたちは蔑んだ目で見た後、ひとまず研究員を拘束するところまでに留めてくれた。
「そんで、Pちゃんの匂いが、地下に続いてると……」
T19曰く、P03の匂いが、隠されていた扉の奥に続いているという。
薄暗い梯子の先は、どうやら地下に続いているらしい。
「…………待ち伏せてたりとか」
「匂いはないけど、じゃあ、僕が先行くよ」
「気をつけろよ? 危ないと思ったら、すぐ言えよ? 引っ張り上げるから」
「邪魔だから、離れててくんない?」
本当に邪魔そうに告げるT19に、楸は大人しく、邪魔にならなさそうな場所に待機していれば、すぐに誰もいないという声が聞こえてきた。
「Oちゃん。ちょっとこれ見といて。牧野さんから連絡入るかもしんないから」
ヴェノリュシオンたちに使い方を教えていない無線機だが、地下に入って聞こえなくなっては意味がない。
不思議そうに無線機を見つめるO12へ、無線機を預け、楸も梯子を伝って、地下へ下りた。
「はぁ~~……地下道じゃん」
そこには、車一台が通れる程度の道幅しかない道路があった。
「なにそれ」
「ほら、地上って、色々危険だろ? だから、物資を運ぶために、橋か地下で繋いでるんだよ」
地上への影響や、費用や人手などの問題もあり、一般的なのは高架タイプだが、重要性が高いと判断されたルートは、地下で繋いでいる場合がある。
居住区とセーフ区画、アウトサイドと、隔絶されている区画への内外を繋げられることは許されないが、地下道が繋げられているのは、区画内の重要な拠点だ。
ただ、この研究所が、重要な拠点というわけではない。
入口の煩雑さからも、元々あった地下道に、相乗りしているだけのようだ。
セーフ区画内とはいえ、より安全な道を確保できるのなら、避難経路としても重宝される。
故に、その位置に建設許可が出ると、相当の権力を持っている存在が裏にいるということの証明でもある。
その権力者に、思いっきり喧嘩を売ってしまっているような気もするが、やってしまったことは仕方ない。
後のことは、また後で考えようと、思考を任務の方へ戻す。
「この辺で、地下道が繋がってる場所ってどこだ……?」
地下道が繋がっているのは、司令部か、病院が多い。
方位を確認するも、記憶しているものはない。
「おい。なんか、鳴ってる」
O12からの呼びかけに、一度地上へ戻れば、牧野からの連絡だった。
今までの状況について、報告し終えた楸は、長い沈黙に眉を下げた。
自分でも、こんなことを報告された日には、頭のひとつは抱えたいだろう。というか、無線の向こうの牧野の様子が目に浮かぶ。
「Pの匂いは、まだ辿れるか?」
「Pの匂いは途切れてるけど、追える。けど、明らかに、鼻がいい奴がいるのをかく乱するように、匂いが撒かれてるんだよね」
苛立ったようにT19が、鼻に触れながら答えた。
地下道に入った時からだ。P03の匂いは途切れ、この研究所に辿り着いた時と同じように、車の匂いがした。
しかし、その匂いは、一本道の両側に撒かれていて、どちらに進んだかを判断することが難しくなっていた。
明らかに、こちらの情報を知った上で、かく乱するための動きだ。
「なら、さっさと追いかけようよ」
『ダメだ。許可できない』
「ハァ!? なんで!?」
G45の言葉をすぐに否定する牧野に、今にも無線機を殴って壊しそうな勢いで、怒鳴り返すG45。
『単純に危険だ。その地下道は、現在使われていない地下道だ』
使われていない故に、その後に建てられた研究施設がガス式の緊急処置が行われた際に、周囲に影響を及ぼさないように、一時的な緩衝地点として使われている場合がある。
そのような機構になっていなくても、地下道には、研究施設同様、区画ごとに緊急処置を施せる設備が整えられている。
それこそ、研究施設よりも、より確実に、殺傷力の高い延焼式の緊急処置が設置されている。
『全員が地下道に入った場合、そこにいる研究員が、装置を作動する可能性がある』
今は、ここにヴェノリュシオンたちがいるからこそ、拘束されている研究員たちも警備員も動いていないが、抑止力が無くなれば、訓練をしている警備員は動くだろう。
だからと言って、これ以上、部隊を分けるのは推奨されない。
これ以上部隊を分ければ、必ず位置と行動を把握できないヴェノリュシオンができる。
いくら強い存在とはいえ、彼らに知識はない。自然な物であればまだしも、人工物で触れてはいけない物の存在の知識は皆無だろう。
それは致命的な弱点になる。
「Pを諦めろと?」
短く問いかけるS08に、牧野はまた否定した。
『その地下道が繋がっている場所は、駐屯地の近くの病院だ。こっちで動く』
だから、お前たちは待機だ。と、そう言って無線は切れた。
牧野たちからの無線が入る数十分前に、G45とS08が、施設内を制圧した上で、探し回って出した結論だった。
それこそ、研究員全員を食い殺しそうな勢いだったが、研究員たちは、誰もP03のことを言わなかった。
命を賭けても言わないなんて、それこそ本当に知らないのではないかとも思ったが、T19とS08にはっきりと否定された。
しかも、T19は”拷問”を知っているらしく、危うく、この場で行われそうになった。
既に、アウトよりのグレーな気もするが、殺人と拷問なんてした瞬間に、ヴェノリュシオンたちは本格的に処分対象となる。
今現在、どれだけの人間がヴェノリュシオンを生かすために動いているかわからないが、それら全てが無駄になる。
というのを、機密もプライドもなく説明して、懇願すれば、ヴェノリュシオンたちは蔑んだ目で見た後、ひとまず研究員を拘束するところまでに留めてくれた。
「そんで、Pちゃんの匂いが、地下に続いてると……」
T19曰く、P03の匂いが、隠されていた扉の奥に続いているという。
薄暗い梯子の先は、どうやら地下に続いているらしい。
「…………待ち伏せてたりとか」
「匂いはないけど、じゃあ、僕が先行くよ」
「気をつけろよ? 危ないと思ったら、すぐ言えよ? 引っ張り上げるから」
「邪魔だから、離れててくんない?」
本当に邪魔そうに告げるT19に、楸は大人しく、邪魔にならなさそうな場所に待機していれば、すぐに誰もいないという声が聞こえてきた。
「Oちゃん。ちょっとこれ見といて。牧野さんから連絡入るかもしんないから」
ヴェノリュシオンたちに使い方を教えていない無線機だが、地下に入って聞こえなくなっては意味がない。
不思議そうに無線機を見つめるO12へ、無線機を預け、楸も梯子を伝って、地下へ下りた。
「はぁ~~……地下道じゃん」
そこには、車一台が通れる程度の道幅しかない道路があった。
「なにそれ」
「ほら、地上って、色々危険だろ? だから、物資を運ぶために、橋か地下で繋いでるんだよ」
地上への影響や、費用や人手などの問題もあり、一般的なのは高架タイプだが、重要性が高いと判断されたルートは、地下で繋いでいる場合がある。
居住区とセーフ区画、アウトサイドと、隔絶されている区画への内外を繋げられることは許されないが、地下道が繋げられているのは、区画内の重要な拠点だ。
ただ、この研究所が、重要な拠点というわけではない。
入口の煩雑さからも、元々あった地下道に、相乗りしているだけのようだ。
セーフ区画内とはいえ、より安全な道を確保できるのなら、避難経路としても重宝される。
故に、その位置に建設許可が出ると、相当の権力を持っている存在が裏にいるということの証明でもある。
その権力者に、思いっきり喧嘩を売ってしまっているような気もするが、やってしまったことは仕方ない。
後のことは、また後で考えようと、思考を任務の方へ戻す。
「この辺で、地下道が繋がってる場所ってどこだ……?」
地下道が繋がっているのは、司令部か、病院が多い。
方位を確認するも、記憶しているものはない。
「おい。なんか、鳴ってる」
O12からの呼びかけに、一度地上へ戻れば、牧野からの連絡だった。
今までの状況について、報告し終えた楸は、長い沈黙に眉を下げた。
自分でも、こんなことを報告された日には、頭のひとつは抱えたいだろう。というか、無線の向こうの牧野の様子が目に浮かぶ。
「Pの匂いは、まだ辿れるか?」
「Pの匂いは途切れてるけど、追える。けど、明らかに、鼻がいい奴がいるのをかく乱するように、匂いが撒かれてるんだよね」
苛立ったようにT19が、鼻に触れながら答えた。
地下道に入った時からだ。P03の匂いは途切れ、この研究所に辿り着いた時と同じように、車の匂いがした。
しかし、その匂いは、一本道の両側に撒かれていて、どちらに進んだかを判断することが難しくなっていた。
明らかに、こちらの情報を知った上で、かく乱するための動きだ。
「なら、さっさと追いかけようよ」
『ダメだ。許可できない』
「ハァ!? なんで!?」
G45の言葉をすぐに否定する牧野に、今にも無線機を殴って壊しそうな勢いで、怒鳴り返すG45。
『単純に危険だ。その地下道は、現在使われていない地下道だ』
使われていない故に、その後に建てられた研究施設がガス式の緊急処置が行われた際に、周囲に影響を及ぼさないように、一時的な緩衝地点として使われている場合がある。
そのような機構になっていなくても、地下道には、研究施設同様、区画ごとに緊急処置を施せる設備が整えられている。
それこそ、研究施設よりも、より確実に、殺傷力の高い延焼式の緊急処置が設置されている。
『全員が地下道に入った場合、そこにいる研究員が、装置を作動する可能性がある』
今は、ここにヴェノリュシオンたちがいるからこそ、拘束されている研究員たちも警備員も動いていないが、抑止力が無くなれば、訓練をしている警備員は動くだろう。
だからと言って、これ以上、部隊を分けるのは推奨されない。
これ以上部隊を分ければ、必ず位置と行動を把握できないヴェノリュシオンができる。
いくら強い存在とはいえ、彼らに知識はない。自然な物であればまだしも、人工物で触れてはいけない物の存在の知識は皆無だろう。
それは致命的な弱点になる。
「Pを諦めろと?」
短く問いかけるS08に、牧野はまた否定した。
『その地下道が繋がっている場所は、駐屯地の近くの病院だ。こっちで動く』
だから、お前たちは待機だ。と、そう言って無線は切れた。
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