Aコードコンチェルト

ツヅラ

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第2作戦 依頼遂行

06

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 地震とも違う不規則な揺れが避難所を襲っていた。監視カメラから、上の港の様子を調べた研究員によって怪人のことが報告され、なお一層、研究員は恐怖に震える。
 海の下というのは一種の檻でもあり、一部でも壊され水が入り水没する可能性もあれば、水圧で潰れる可能性だってある。だというのに、全く怖がっていない人間もいた。

「怪人だって」
「大変だなぁ」
「でも行くのめんどくさいな」

 教育機関の頃と同じく三人は、一応、かくれんぼはやめていたものの、動くことはしない。というよりも、今回の場合、弥が遼太と電話をしていて、指示を待っているというのが正しかった。
 研究員を避難させるのを優先させるべきか、怪人を倒すべきか。その両方か。弥が電話を切ると、ポケットにしまいながら、

「怪人を倒してこいだって」
「マジか……」
「めんどーー」

 指示を待っていたはずだが、文句を言う三人に、弥は淡々と遼太に言われたことを伝える。

「遼太が来るまでにいなかったら、全員タバスコわさび寿司マスタード増し増しの刑だって」

 それを聞くやいなや三人は飛び出していった。有言実行の遼太のことだ。どんなに拒んでも口を無理やり開けさせて、放り込まれる。
 そんな中、ルーチェと一緒に残った弥は、出口とは反対方向に歩き出す。

「あの、弥さんは……」
「たぶん、上にいるのがウミナメと同じ。私たちじゃ、どうにもならない」
「!」
「だから、増殖を止めるっていうサンプルに賭ける」

 二人の足は、研究室の方へ向いた。

***

 地上に出ると、久々に太陽の光を浴びられるかと、見上げると、三人の上に影を作っていた、それ。

「「「うわぁぁぁああ!!」」」

 数瞬前まで三人がいた場所には、赤黒いそれが占領し、三人は尻餅をついてそれを見つめる。そして、その答えに至ると、三人は合わせたわけでもないのに、声を合わせ、

「「「タコツボ!!」」」

 何よりも先に、命名した。
 そして、また動き出しそうなタコの足から逃げ出すように、全員が立ち上がり駆け出す。

「今夜はたこ焼きパーティーにしてやるからなァ!!」
「タコって足が十本の方だっけ!?」
「俺はイカ焼きの方が好きです!」

 各々捨て台詞を吐きながら、どうにか足から逃げ出し、コンテナの上に上ると、ようやくその全貌が見えた。港積まれたコンテナに足をかけるように体を海から這い出し、体を支える以外の足は、周辺を叩き潰しては、コンテナなどの残骸を海になぎ落としている。
 そんなタコツボの目と三人の目がバッチリ合った瞬間、三人と一匹は一斉に動き出した。和樹は盾を構え、二人は和樹の後ろに隠れる。数瞬遅れて、黒い波が三人の視界を真っ黒に染めた。

「やだ、シミになっちゃうっ!」

 拓斗が元々黒い鎧やマフラーを見つめながら文句を言うが、それに対して誰も何も言わず、木在は黒く染まった自分のローブの裾を持ち上げた。

「和樹ー水」

 「シミになる」と、軽く汚れを落とすために水を出せる和樹に、ここにかけてとジェスチャーすれば、和樹は嫌そうな顔をした。

「後で洗濯すればいいじゃん」

 和樹の白かった盾は全面黒く染まっていたが、元々盾とはそういう役目だ。

「鎧の洗濯ってどうやるんだよ?」
「普通に洗濯機に放り込むんじゃないの?」
「変身したまま洗濯機回すの?」

 鎧は、変身を解けばどこかに消える。洗濯するとなれば、変身したままだろうが、そもそも鎧の洗濯なんてしたことがない。

「そもそも、木在のそれって鎧だったのか」

 拓斗の素朴な驚きに、木在は反応に困るが、和樹すら頷いている。

「うっそぉ……確かにザ・鎧じゃないけどさ。てか、お前ら、今まで俺がコスプレか何かして戦ってると思ってたの?」
「「うん」」

 タコツボよりも先にこの二人を倒すかと、杖を構えると二人は慌てて、木在から逃げ出そうとしたが、その一歩目を踏み出した瞬間、その動きがぎこちなくなった。

「これヤバい」
「ツルツルなのにネバネバ」

 ヌチャヌチャと粘着質の嫌な音を立てて、気を付けながら走る二人に、木在もそっと墨に足を乗せれば、乗せただけでわかる、その危険さ。

「走ったら転ぶ自信がある……!」

 遠くからの属性攻撃が主である木在は、近距離攻撃をする二人に比べて、こういった状況にあまり慣れていない。一歩歩くだけでも慎重になる。しかし、そんなぎこちない動きの三人を見過ごすはずも無く、タコツボはまた勢いよく墨を吹き出してきた。
 悲鳴を上げながら、滑り込んで回避する木在と和樹を見た拓斗が、突然高笑いしながら、墨の上を滑り始めた。

「そうか! 発想の転換! 走れないなら、滑ればいいじゃなァァァアアア――」

 そのままコンテナの隙間に落ちていった。

「……」
「……」
「「バカクトーッ!!」」

 二人の叫びは、空にいた伸元にもはっきりと聞こえていた。

「なにしてるんだ……あいつらは」
「アホの子だから仕方ない」
「リョウ……! 来たのか」

 赤い鎧に身を包んだ遼太の背中には、伸元と同じように翼が生えていた。

「お前のとこの奴が、貿易港までならって、飛行能力を貸してくれてな。いやーやっぱ、空を飛ぶって楽しいな。人間の夢だよな!」

 後ろで伸元に軽く会釈する、遼太に飛行能力を渡した陽夜は、遼太の方を見ると薄ら笑いを浮かべた。その瞬間、遼太に生えていた翼は消え、重力に従い、遼太の体は地面に落ちていく。

「へっ?」
「貿易港には着きましたから~」
「――ッんのマニュアル野郎ォォオオオ!!」

 眼下でコンテナの一つが歪み、変形したが、鎧をまとっていた遼太なら無事だろう。しかし、何も落とすことはないと、伸元は少しだけ批難の視線を送れば、陽夜は頬に手をやり、

「あらら……? だって、人間なら地面に足をつけているのがお似合いでしょ?」

 笑って、言い切ったのだった。

***

 モニターで状況を見ていたルーチェは、震える手を合せ、祈っていた。画質も悪ければ、死角も多いカメラの映像では、拓斗たちの様子を全て確認することはできないが、タコツボがただ目の前の物を壊すだけではなく、なにか目的をもって動き回っているところを見る限り、まだ無事であることはわかる。しかし、拓斗たちも、タコツボに大したダメージを与えられていないようだ。

「ぁ」

 弥の短い発言に、ルーチェがすぐに目を向ければ、困ったよう眉をひそめる弥がいた。

「あの三人に、ウミナメと同じかもしれないこと言ってない……」

 さすがにこのタイミングで現れる怪人が、小人内が仕向けたものだと気がつかないとは思わないが、何か嫌な予感が、頭から離れない。恐る恐るルーチェが振り返ってみれば、予想を覆さない拓斗の果敢にタコツボの足にブーメランの形をした刃を投げる姿が映し出されていた。
 拓斗の刃は太いタコツボの足を両断するには至らず、半分ほどしか切れなかった。しかし、半分切れたおかげで、和樹が盾で先端だけを押しのけ、拓斗が尻餅を付いている場所から離れた場所に足が叩きつけられる。

「あっぶねェ!」
「切るならちゃんと切れよ」
「俺、今めっちゃがんばったよね!? 落ちたとこから、切ったんだよ!? 褒めろよ!?」

 戻ってきた刃をキャッチしながら文句を言うと、遠くで何かが落ちた音がした。

「拓斗みたいな奴いるんだなー」
「良い子はマネしちゃいけないんだぞ」

 口を尖らせて言う拓斗を薙ぐように、切れかけのタコツボの足が迫ってくる。しかし、氷の刃が先程の裂け目からその足を裂き、拓斗の顔面スレスレを、タコの断面が通り過ぎていった。
 「ナイス!」といつものように親指を立てて、木在に言おうとそちらに振り返れば、木在の後ろに落ちていた足が妙な動きをしていた。

「仲間の優しさに感動しすぎて涙出てきたのかな……? なんか変なものが」

 その言葉に、不思議そうに和樹と木在も振り返ってみれば、足があった場所に小さなタコツボがいた。三人が状況を理解する数秒の間に、小さなタコツボは木在に足を振り上げる。もう間に合わないと、痛みと衝撃を覚悟したその瞬間、タコツボを縫い止めるように矢が突き刺さった。
 矢が突き刺さった痛みに、振り上げられた足は一瞬、痙攣し動きを止めたが、すぐに木在に降りおろされた。しかし、足に触れたのは黒い長いマフラーだけだった。

「セーフッ!!」
「ナイス! 拓斗!」

 矢が突き刺さっているというのに、先程、木在がいた場所の地面は抉れている。拓斗に助けられていなければ、アレに当たっていたと考えると背筋が震えた。

『オメェら、一旦タコから離れろ!』

 通信に入ってきた遼太の声に、三人はすぐさま走り出し、タコツボから離れる。
 矢に縫い止められ、動けない腹いせか、近くにあるものを無差別に壊している小さなタコツボにもう一本矢を射り、一層強く縫い止めておく。

「あの新種と同じとなると、下手に戦力を投下するより、一気に燃やせる能力者が欲しいところですね」
「あのサイズをか……」

 ウミナメのように細かく裁断してしまえば燃やし尽くせる能力者もいるが、被害や討ち漏らす可能性も増える。かといって、先程のように足先を切るだけでは、本体の足は再生してしまう。帝国軍に要請はするが、難しいことはわかっていた。それどころか、一度戦い、ノウハウを持つ伸元たちに指揮を任せるとまで言い出している。

「あらら……どうしましょうか」

 薄ら笑いを浮かべる仲間に、伸元はコンテナの影で集まっている四人を見下ろす。

「リョウちゃんってば、反則だぞ。あの建物の中で、かくれんぼだって話だったのに」

 顔を合わせるなり、かくれんぼのことを話題に出す拓斗に、遼太は全く誠意のこもっていない謝罪の言葉を述べた。

「さて、それでウミナメ2号だが」
「「「タコツボ」」」
「…………タコツボだが、正直、今の俺たちにはどうにもできん!」

 言い切った遼太に、ならなんで倒してこいと言ったのか、声をそろえて文句を言うが、足元を指した遼太に首をかしげるしかなかった。

「“今”は、だ。言っただろ。ルーチェの遺伝子が増殖を止められるワクチンになるかもしれないって。ぶっつけ本番だが、出来しだい弥が持ってくる。俺たちはそれまで、タコツボがこれ以上ここを壊さねぇように、注意を逸らす。分裂はできる限りさせないように。わかったか?」
「わかったけど、具体的にどうするんだよ?」

 遼太は空を仰ぎ見ると、頭上に飛んでいる彼らに通信を入れる。

「足を縫い止めるとかできるか?」
「あんな肉厚なタコ足縫い止めるとか、無理言わないでください」

 即答だった。

「一応聞くけど、焼きダコ作れる奴は?」
「原子炉にでも突っ込む以外ないな」
「ですよねー俺も期待はしてない。てなことだから、頼むぞ。こっちはどうにか足止めをするから」

 最後の言葉は、通信を聞いているであろう弥に向けられていた。

「珍しいな。リョウちゃんが、結果わからないのに動くなんて」
「確かに。だいたい、用意周到に勝てるようにするのになー」
「負けるにしても、道連れにしてくるのに」
「なんだよ。お前ら、なんでもかんでも文句言うんじゃねぇよ。口元笑ってんぞ」

 仮面でほとんど顔は見えないが、四人は笑いながら、立ち上がった。

「……」

 自分とは違う遼太たちの姿に、小さく息をつくと、「遼太たちを援護する」と、仲間に号令を出した。

***

 画面に映る能力者たちの姿に、手を合わせ祈るルーチェの目には涙が溜まっていた。

「全部、私のせいだ……私の……」
「ルーチェ……違うわ。いつか、起きることだったのよ」

 溢れる涙を母親が拭うが、それでも溢れ出てくる涙。母親は優しく微笑み、ルーチェを抱きしめ、頭を撫でた。

「大丈夫。大丈夫よ。だから、泣かないで」
「でも、でも……!」

 泣きじゃくる自分の娘を、ただただ受け止めることしかできなかった。その背中にかけられた声は、ほんの少しだけ寂しそうな声。

「一緒にいてあげてください。こっちは、任せて」

 覚悟を持ったその声に、頷き、謝った。

「ごめんなさい。あなたたちには頼み事ばかり……」

 離れていく足音に、なお一層強く、自分の娘を抱きしめた。

***

 コンテナのある港から、できる限り離し、今はタコツボの体はタンカーから離れ、海面にあった。

「下手に攻撃して破片が飛べば増殖するから、手を出せないっていうのは、さすがに歯がゆいな」

 伸元と遼太の攻撃は分裂の可能性が高いということで、コンテナの上から様子を見るしかなかった。

「さて、どうしたもんか……てか、応援はどうしたんだよ? 今、来て欲しくはねぇけど」
「一応、港に来てはいるが、前のヴェーベの時みたいに大惨事にならないように、やるなら戦力が揃ってからだと、俺たちには時間稼ぎをしろと」

 ヴェーベは能力者ばかりがいるから、それほど被害は出なかったが、一般人ばかりの本土では被害はヴェーベの比ではないだろう。理由は違っても、待つことは同じなのは遼太たちにとっても助かった。
 八本の足から必死に逃げ回っている仲間でも、飛べない拓斗たちは、海に落ちかけるたびに木在が海面を凍らせ足場を作っていた。

「……木在! 海、凍らせられるか!?」
「海ィ!? どのくらい!?」
「タコツボの体が沈んでる部分、一帯!」
「広っ……!!」

 文句を言いながらも、タコツボの周囲に氷柱を落とし、そこを中心に海を凍りつかせ始める。冷たくなった海から逃げるように、タコツボが動き出すが、その方向にも氷柱が落ちてくる。

「私だって、少しなら氷は使えますっ……!」

 他の援護もあり、タコツボの周りは凍りつき、足も動きを鈍らせている。なによりも、タコツボの周囲に足場ができた。

「これなら、俺だってヨユーで避け――」

 調子に乗って持ち前の素早さで走り回る拓斗は、氷に足を取られ滑り、そのまま海に落ちていった。

「うわぁ……」

 これには、和樹もさすがに呆れていた。

「これで、なんとか時間稼ぎはできそうだが」

 問題は山積みだ。タコツボの足の動きは鈍ったものの、暴れ、叩きつける足で氷が割れ始めている。

「さすがにこの大きさ、二度は無理だからなァ!?」

 木在の訴えもしっかり聞こえている。どんどん割れていく氷に、まだかと焦る中、ようやく待ち望んでいた声が聞こえてきた。

「ワクチン、できた。でも、早くしないと危険」

 使い慣れた形の付加結晶が、手の中で今にも割れそうに震えていた。

「危険って、お前……」

 あちらにも、状況は伝わっていたのだから、もう時間がないことは分かっていたはずだ。正直、あと数秒遅れていたら間に合わない気がする。
 それを感じ取って、なにかやらかしてきたのは容易に察せたが、今はそれが助かった。

「核をすぐに叩けるようにして」
「核? 心臓ってことか? ……タコの心臓は、三つあると聞いたことあるんだが……」
「二つはエラについてる奴だから、核はたぶん残りの一つのだけど……タコの心臓の位置なんか知らねぇよ」

 一番こういった雑学に強い遼太が知らないのでは、わからないかと全員が諦めた瞬間、海から上がった男が嬉々として叫ぶ。

「タコの心臓の位置ならわかるぜ!」

 言うやいなや迷いなく駆け出した拓斗に、誰もついていかなかったが、同じチームの三人だけが気がついた。

「あいつ、港町出身だ……!」
「そういえば、やけに海産物に詳しかったな……」
「さすがヒトデ様!」
「おうとも! 海のスターの名はダテじゃないぜ!」

 伸元も飛び出し、拓斗が切りつけた胴の部分を一閃で切り開くと、赤黒い核が姿を現した。

「遼太!」

 弥が地下通路から飛び出してくるのと同時に、金棒を低く構える。その金棒に弥が飛び乗るのと同時に、力いっぱい振り抜いた。

「ぶっ飛べッ!!」

 弥がタコツボの胴に降り立つ時には、すでに切り開かれた部分は再生をはじめ、閉じ始めていた。届くかはわからないが、やるしかないと、付加結晶を握りつぶした。
 途端に、普段の属性付加とは違う、何かがねっとりと腕に張り付くような感覚が暴風になり、右腕を襲う。

「ーーッ」

 初めての感覚に、拳が緩み、ねっとりとした何かが離れていきそうになり、痛みに耐えながら、それを逃がさないように握りしめる。
 その瞬間、目の前に細い矢と、太い槍が再生を始めた部分をまた開くように突き刺さった。目の前には、核が見える。

「いっけェェエエ!」

 仲間の声と共に、その拳を核に叩きつけ、貫いた。

***

 先程まで、タコだとわかる形をしていたのに、ドロドロと形を崩し、もはや赤黒い何かにしか見えないそれの一番大きな山を作っている場所に、それを見たこともない武器、属性で倒した能力者が立っていた。そして、その能力者に駆け寄る仲間の能力者。

「そういや、推薦で弥は教えてやったのか? 強いぞ」

 怪人を一撃の下、倒したのが何よりの証拠だ。過去の貢献度がそれほど高くなかったのは、人助けを後方支援の木在などに任せてしまっているからで、単純な戦闘力で考えれば、弥は歴代能力者の中でもトップクラスだろう。
 十分に実力のある能力者に入るだろう。しかし、伸元の顔には苦笑が浮かんでいた。遼太もそれが分かっているらしく、意地悪そうに笑っている。

「湊、か……あいつは、無理だろ。あいつというか、な」
「さすがの特Aでも、権力っていうか、あれに勝てない?」
「戦おうとも思わねぇよ。勝ったところで、って話だしな」

 眼下で広がる楽しげな会話に耳を傾けたが、どうやら楽しい会話ではないらしい。三人の慌てる声が聞こえてくる。

「フィードバック!?」

 合わない属性を使うと起きる、付加属性特有の症状だ。遼太が慌てて駆け寄るのを伸元はただ見送った。

***

 部屋の中に、くしゃみが響く。

「風邪? 生姜湯作ろうか?」

 桃太特製生姜湯を飲んでいると、赤哉と白菜が帰ってくる。二人の表情は険しいが、迎える二人の表情は緩かった。

「……もうちょっと緊張感持ってくんない? 蒼哉」
「せっかく、モモが生姜湯作ってくれたのに」

 緩んだ蒼哉の頬をつつきながら、赤哉も生姜湯を飲むと、その頬は緩んだ。

「こっちが頑張って仕事してる時に、何してんの!」
「ハクも飲みなよ~」
「いらない。ショウガ嫌いって言ってるでしょ」
「ココアあるよ?」
「……」

 ニヤニヤと笑う赤哉にだけゲンコツをいれ、桃太からココアをもらうとテーブルに座った。

「それで、順調?」
「局長なら問題ないわよ。何度か暗殺の命令は出てたけど、A級でもなきゃ、私の洗脳から逃げられる奴はいるわけないでしょ」

 電波に乗せて直接、脳に思考を送り込める白菜の能力は、能力者でなければ簡単に洗脳されてしまうし、能力者であってもA級でなければ完全に避けることはできない。
 「さすが」と微笑む蒼哉は、次に赤哉に目を向けた。

「それで、赤哉はさっきから暗いけど、なにかあった?」
「……首都に呼び出しがかかった。貿易港に現れた新種と同じタイプの怪人について、戦闘方法。それから、一撃で倒したっていう嘘か、本当か、わからない能力者の情報を検証してほしいって」

 最後の言葉に、蒼哉は安心したように微笑み、頷いた。
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