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【三章】技術大国プラセリア
19.サイクロプスのステータス確認
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「ケイタ、起きてるか?」
耳に心地よいアルトの声で目が覚める。
この声は……カティアか
「――っ!? やっば、いつの間にか寝ちゃってたのか。ごめんカティア、今起きた」
食事を終えたあと、うとうとてしていたところまでは記憶にあるんだが、どうやら寝てしまったらしい。
魔動人形の調整など、時間が許す限りできることはやっておくべきなのに、この体たらくだ。情けない。
「謝るこたねぇよ。こっちこそ、疲れてるだろうに起こしちまってわりぃな」
「いや……カティアとリンにとっては大事なことなんだ、協力すると決めたからには最善を尽くさないと」
「……そんなに気負うな。今までだってさんざんいろんな方法を試してきた。ケイタをここに連れてきたのだってオレにとっちゃあ数ある手段のうちの一つだ、失敗したって文句は言わねぇよ」
……そうなのかもしれない。けど、二人と過ごしてるうちに気付いたことがある。
カティアもリンも、時折とこか寂しそうな顔をする時があるのだ。
その時の二人の気持ちは俺にはわからない。だけど、もうそんな顔はさせたくないと思ったんだ。
「いいんだ、俺がやりたいからやる。ただそれだけだよ。カティアとリンが背負ってるもの、それを少しでも軽くしてやれたらなって思ってる」
「へっ、生意気に小恥ずかしいことをいいやがって。――ありがとな、ケイタ」
「はは、あとどれぐらい頑張ればいいのか見当もつかないけどね。ちなみに具体的にはあとどれぐらい勝てばいいんだ?」
「ん? ああ……毎回選考形式が変わるからなんとも言えねぇんだ。まぁ次に関しては今日あたりには連絡が来るはずだぜ」
他も同じように選考していたなら、ざっくり五十ぐらいのカンパニーが残っている計算になるもんな。トーナメント戦をするにしてはやや多いか。
「――お、噂をすればだな」
外から、カコンと郵便受けに何か入れられたような音が聞こえた。
カティアが確認すると、案の定コンペティションに関しての連絡が来たようだ。
カティアは真剣な面持ちで送られてきた書類に目を通している。
「――なるほどな。……ケイタ、次はどうやらチーム戦のようだぞ」
「チーム戦? どういうことだ?」
「ああ、GODSの開発チームが製作した魔動人形を相手に、参加者同士がランダムにチームを組んで戦うみてぇだ。えーなになに……『勝利することが選考基準ではありません。活躍度合いや独自性を評価し、選考します』だ、そうだ」
まるで負けることは微塵も考えていないような物言いだな。よっぽど自信があるのだろう。
「……なんか、そう言われると絶対倒してやりたくなってくるな」
「ハハッ、いいぜやっちまえよ。なんせ選考基準が曖昧だからな、ボコボコにのしちまえば難癖つけることなんてできねぇだろ」
「いいなそれ、採用だ。はははっ!」
半分本気の冗談を交わしながら、カティアも俺につられて笑う。
こんなふうに軽口を言い合えるようになるほど、親睦を深められたことを感慨深く思う。
「はぁ~あ、久々にこんなに笑った気がするぜ。――んで、今日も廃棄山に行くんだが、ケイタはどうする?」
「あー……そうだな。足手まといになりそうだし、残って魔動人形の調整しててもいいか?」
「まぁそっちのがいいかもな。んじゃあオレはリンを連れて行ってくるから、留守番頼んだぜ。朝飯はオレらが帰ってきてからだからな」
「おう、行ってらっしゃい」
しばらくして、カティアはリンと一緒に廃棄山へと向かった。
よし、俺には俺のできることをやろう。プラモデルは手をかければかけるほど応えてくれるものだ。
モデラースキルのおかげで作業時間が大幅に短縮できるし、いろいろと試すことができる。
それに一度スマホを接続したおかげで、サイクロプスのステータスを確認できるようになったし、これまで以上に改造が捗るだろう。
「どれどれ……まずはステータスを見てみるか」
――――――――――――――
【サイクロプス・アームドカスタム】
火力:3700(+3000)
装甲:3100(+2200)
推力:2800(+500)
魔力:1300
残魔値:1300/1300
【武装】
つぶねばでーる君
とびでる君
のびーるブレード
【特殊機構】
腕部大型スラスター
エーテルコーティング(魔力耐性:小)✕5
――――――――――――――
「おおっ!? これシルバライザーにも匹敵するんじゃないか? さすがに魔力量や機動力では劣るけど、総合値で言えば負けてないぞ。っていうかリンの作った武装ってそのままの名前で表示されるんだな……」
よく見たらサイクロプスの名前欄にも、アームドカスタムと追加されている。
確かに腕パーツは自作したものを使っているけど、名前って勝手に決まるものなのか?
それにしてはリンの付けた名前はそのままみたいだけど……あれか、既製品以外のオリジナル要素がある場合はちゃんと命名すればそう表記されるのか?
よし、次からはなんか作るときは名前を付けてやらないとだな。
「――それにしても等級ってのはどうやって決まるもんなのかね? ステータス画面には等級の表記がないからわからないけど、実際このサイクロプスは準銀等級ぐらいの強さはあると思うんだが……」
魔動人形の等級を見分ける手段は、アーティファクトの外装の色や装飾ぐらいしかない。
ステータスの総合値で決まるのか、それとも別の要素があるのか、いつか検証してみたいところだな。
「ん? あれ、これって――」
スマホの画面端に、通知を知らせるアイコンがあることに気が付いた。
耳に心地よいアルトの声で目が覚める。
この声は……カティアか
「――っ!? やっば、いつの間にか寝ちゃってたのか。ごめんカティア、今起きた」
食事を終えたあと、うとうとてしていたところまでは記憶にあるんだが、どうやら寝てしまったらしい。
魔動人形の調整など、時間が許す限りできることはやっておくべきなのに、この体たらくだ。情けない。
「謝るこたねぇよ。こっちこそ、疲れてるだろうに起こしちまってわりぃな」
「いや……カティアとリンにとっては大事なことなんだ、協力すると決めたからには最善を尽くさないと」
「……そんなに気負うな。今までだってさんざんいろんな方法を試してきた。ケイタをここに連れてきたのだってオレにとっちゃあ数ある手段のうちの一つだ、失敗したって文句は言わねぇよ」
……そうなのかもしれない。けど、二人と過ごしてるうちに気付いたことがある。
カティアもリンも、時折とこか寂しそうな顔をする時があるのだ。
その時の二人の気持ちは俺にはわからない。だけど、もうそんな顔はさせたくないと思ったんだ。
「いいんだ、俺がやりたいからやる。ただそれだけだよ。カティアとリンが背負ってるもの、それを少しでも軽くしてやれたらなって思ってる」
「へっ、生意気に小恥ずかしいことをいいやがって。――ありがとな、ケイタ」
「はは、あとどれぐらい頑張ればいいのか見当もつかないけどね。ちなみに具体的にはあとどれぐらい勝てばいいんだ?」
「ん? ああ……毎回選考形式が変わるからなんとも言えねぇんだ。まぁ次に関しては今日あたりには連絡が来るはずだぜ」
他も同じように選考していたなら、ざっくり五十ぐらいのカンパニーが残っている計算になるもんな。トーナメント戦をするにしてはやや多いか。
「――お、噂をすればだな」
外から、カコンと郵便受けに何か入れられたような音が聞こえた。
カティアが確認すると、案の定コンペティションに関しての連絡が来たようだ。
カティアは真剣な面持ちで送られてきた書類に目を通している。
「――なるほどな。……ケイタ、次はどうやらチーム戦のようだぞ」
「チーム戦? どういうことだ?」
「ああ、GODSの開発チームが製作した魔動人形を相手に、参加者同士がランダムにチームを組んで戦うみてぇだ。えーなになに……『勝利することが選考基準ではありません。活躍度合いや独自性を評価し、選考します』だ、そうだ」
まるで負けることは微塵も考えていないような物言いだな。よっぽど自信があるのだろう。
「……なんか、そう言われると絶対倒してやりたくなってくるな」
「ハハッ、いいぜやっちまえよ。なんせ選考基準が曖昧だからな、ボコボコにのしちまえば難癖つけることなんてできねぇだろ」
「いいなそれ、採用だ。はははっ!」
半分本気の冗談を交わしながら、カティアも俺につられて笑う。
こんなふうに軽口を言い合えるようになるほど、親睦を深められたことを感慨深く思う。
「はぁ~あ、久々にこんなに笑った気がするぜ。――んで、今日も廃棄山に行くんだが、ケイタはどうする?」
「あー……そうだな。足手まといになりそうだし、残って魔動人形の調整しててもいいか?」
「まぁそっちのがいいかもな。んじゃあオレはリンを連れて行ってくるから、留守番頼んだぜ。朝飯はオレらが帰ってきてからだからな」
「おう、行ってらっしゃい」
しばらくして、カティアはリンと一緒に廃棄山へと向かった。
よし、俺には俺のできることをやろう。プラモデルは手をかければかけるほど応えてくれるものだ。
モデラースキルのおかげで作業時間が大幅に短縮できるし、いろいろと試すことができる。
それに一度スマホを接続したおかげで、サイクロプスのステータスを確認できるようになったし、これまで以上に改造が捗るだろう。
「どれどれ……まずはステータスを見てみるか」
――――――――――――――
【サイクロプス・アームドカスタム】
火力:3700(+3000)
装甲:3100(+2200)
推力:2800(+500)
魔力:1300
残魔値:1300/1300
【武装】
つぶねばでーる君
とびでる君
のびーるブレード
【特殊機構】
腕部大型スラスター
エーテルコーティング(魔力耐性:小)✕5
――――――――――――――
「おおっ!? これシルバライザーにも匹敵するんじゃないか? さすがに魔力量や機動力では劣るけど、総合値で言えば負けてないぞ。っていうかリンの作った武装ってそのままの名前で表示されるんだな……」
よく見たらサイクロプスの名前欄にも、アームドカスタムと追加されている。
確かに腕パーツは自作したものを使っているけど、名前って勝手に決まるものなのか?
それにしてはリンの付けた名前はそのままみたいだけど……あれか、既製品以外のオリジナル要素がある場合はちゃんと命名すればそう表記されるのか?
よし、次からはなんか作るときは名前を付けてやらないとだな。
「――それにしても等級ってのはどうやって決まるもんなのかね? ステータス画面には等級の表記がないからわからないけど、実際このサイクロプスは準銀等級ぐらいの強さはあると思うんだが……」
魔動人形の等級を見分ける手段は、アーティファクトの外装の色や装飾ぐらいしかない。
ステータスの総合値で決まるのか、それとも別の要素があるのか、いつか検証してみたいところだな。
「ん? あれ、これって――」
スマホの画面端に、通知を知らせるアイコンがあることに気が付いた。
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