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第一章 春
プロローグ
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たぶん、一目惚れだったのだと思う。
感情がない、と友人たちに揶揄われる自分が、と驚く気持ちもあったが、その浮き立つような高揚感をヴィンセントはあっさりと受け入れた。
紫煙の中で忙しそうに立ち動く小さな姿を思い出すと、胸が温かくなる。
小柄で折れそうなほど細い身体を包む、真新しい白いシャツとサテンのリボンタイ。柔らかそうな赤い髪は朝露に輝く薔薇のように鮮やかで、すらりとした手足は春の牝鹿のようにしなやかだった。
彼に渡されたウイスキーは甘く、とても香り豊かだと驚いたけれど、それは果たして本当に酒の匂いだったのだろうか。
初恋に浮かれるぼんやりとした気持ちで、ヴィンセントは何度も名前も知らない青年のことを思う。
彼のことを知りたい。
願わくば、その名前を呼ぶことを許して欲しい。
そうヴィンセントが祈ったのは冬の終わり、最後の名残とばかりに雪がひどく降った寒い寒い夜のことだった。
感情がない、と友人たちに揶揄われる自分が、と驚く気持ちもあったが、その浮き立つような高揚感をヴィンセントはあっさりと受け入れた。
紫煙の中で忙しそうに立ち動く小さな姿を思い出すと、胸が温かくなる。
小柄で折れそうなほど細い身体を包む、真新しい白いシャツとサテンのリボンタイ。柔らかそうな赤い髪は朝露に輝く薔薇のように鮮やかで、すらりとした手足は春の牝鹿のようにしなやかだった。
彼に渡されたウイスキーは甘く、とても香り豊かだと驚いたけれど、それは果たして本当に酒の匂いだったのだろうか。
初恋に浮かれるぼんやりとした気持ちで、ヴィンセントは何度も名前も知らない青年のことを思う。
彼のことを知りたい。
願わくば、その名前を呼ぶことを許して欲しい。
そうヴィンセントが祈ったのは冬の終わり、最後の名残とばかりに雪がひどく降った寒い寒い夜のことだった。
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