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第11話 成長した肉体での戦い
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好川の提案を受け入れてから三日。
俺は今、学校の外の森を散策中だ。
メンバーは俺、好川、北中先輩、滝本先生の四人。
何故この面子なのかは好川いわく、「悠椰を自由に行動させられ、尚且つ必ずしも継続してパーティ組む必要がないメンバー」、らしい。
その理由は恐らく、今回の散策が北中先輩のレベルアップが目的だからだろう。
北中先輩は自身で言っていた通り、回復職だ。
決して率先して戦う訳ではないが、それでもレベルを上げなければならない。
レベルアップによって得られるステータス値の上昇。
これは肉体を強制的にそのステータス値に合ったモノへと成長させる。
つまりレベルを上げるだけで強くなれてしまうのだ。
そして北中先輩はそんなレベルが上がり強くなった人間を治療しなければならない。
そんな人間に多少暴れられれば、戦闘職ではない北中先輩にはどうする事も出来ないだろう。
その危険を少しでもなくすために、北中先輩自信を強くするべきだという話になったのだ。
とは言っても、これは北中先輩だけに限った話ではない。
回復職やサポート職で、自身で戦う術を持たない人間に自衛できるだけの力を付けさせる。
その第一号が北中先輩だっただけだ。
因みにこの話は好川が滝本先生に打診し、教師陣の中で可決された案だ。
好川の提案を受け入れたあの日以降、好川は他にも滝本先生とかなり色々な話をしているようだ。
俺はと言うと、あの日以降色々と一人で能力の検証を行っていた。
別に好川の事を無視して手伝っていなかったわけではない。
あの日、好川との間でそう言う取り決めをしたからだ。
「交渉や準備等の裏工作は俺が行っておくから、悠椰は当分の間強くなる事だけ考えてくれ」、そう言われたのだ。
勿論それ以外にも色々と決めた事はある。
だが色々と取り決めを行った中で一番印象に残っているのは、やはりお互いに自身の能力に関する詳細は説明しあわないというものだ。
理由は、知らなければ間違えて口走る心配も拷問されて言ってしまう心配もないからというものだった。
正直そこまでしてくる人間が居るのか? とは思ったが、用心するに越したことはないという事だろう。
それに俺としても自身の職業を言わなくてよかったのは助かったからな。
何せ今の職業は職業変更(チュートリアル)とかいう、ふざけているのかと思われるような職業だしな。
「……左に四体、右に五体のゴブリンの集団が一つずつ確認できた」
「では事前の取り決め通り、二手に分かれましょう。俺達は右を担当します」
滝本先生の言葉に、好川がそう答える。
事前の取り決めとはゴブリンの集団が複数確認できた場合、片方は滝本先生と北中先輩が対処し、もう片方は俺と好川が対処するというものだ。
にしてもこんな無茶な要求、よく通したものだ。
多少俺も色々とさせられはしたが、それ程大したことではなかった。
ほぼ好川が一人で滝本先生を説得したようなものだった。
「本当に大丈夫なんだろうな?」
「大丈夫ですよ滝本先生。悠椰の力は見たでしょ? 恐らく素の力だけなら既に滝本先生を超えてますよ」
「確かにアレは凄かったが……」
滝本先生の言うアレとは、恐らく俺がやらされたうちの一つである重量挙げのようなものだろう。
といっても通常の重量挙げとは異なり、使ったのはバーベルではなく軽自動車だったがな。
俺はその軽自動車を[身体強化]を発動しながらではあるが、一人で持ち上げたのだ。
正直やっていた俺自身出来た事に驚いていた。
だが強制的に成長させられた肉体がなじんだのか、北中先輩に治療してもらった翌日から全身の痛みが消え、力がみなぎってくるような感覚は感じていた。
恐らくステータ通りの肉体になろうと、ステータス通りの力を発揮するには多少時間がかかるのだろう。
ここら辺はゲームのようにレベルアップすればすぐさまという訳にはいかないという訳だ。
「……本当に大丈夫なんだな?」
「大丈夫です。それに言ったでしょ? これはどちらにとっても必要な事だと」
「……わかった。だが決して無理はするなよ。危なくなればすぐさまこっちに逃げて来い。それらしい動きをすればこちらもすぐさま助けに行く」
「それでお願いします。それじゃぁ」
「あぁ」
どうやら二人の中で話はついたようだ。
と言うか本当に良くこんな無茶苦茶な提案を通したものだ。
教師陣で決めたパーティは最低でも三人で、更に戦える教師が一人ついて行くってルールをフル無視している行動だからな。
滝本先生と北中先輩と別れてから数分、俺と好川はお目当てのゴブリンの集団を発見した。
「それじゃ事前に決めた通りに行こう」
「わかりました」
事前の取り決めとは基本的にゴブリンは俺が倒しレベルアップの糧とするという、至ってシンプルなものだ。
好川は周辺警戒をしながら、何かあれば俺に合図を送ったり加勢したりしてくれるらしい。
正直ここまでいたれりつくせりで強くなれなければこっちが申し訳なくなってしまう。
「後忘れてるかもしれないから言っておくけど、倒した死体は持ち帰らないといけないから、くれぐれも手加減してくれ」
俺はその言葉に静かに頷く。
ゴブリンの死体を持ち帰るのは、このゴブリンが食べられるからだ。
それがわかったのは二日前の事。
職業が食通と言う特殊な職業の人間がこう言ったのだ。
この生き物は頭以外なら全て食べる事が出来る。
ただし細菌が多いため、しっかりと火を通さなければ腹を壊す。
そう言った彼が言うには、自分は食通と言う職業で食べられる食材と食べられない食材を見分けられる。
更にその食材を一番美味しく食べる調理方法もわかる、と。
正直最初は皆半信半疑だった。
だが現実問題として、食料はいずれ無くなる。
今は災害時用に置いてあった保存食があるが、それも無限じゃない。
保存食が無くなった時の善後策は必要だ。
なので彼の言葉を信じ行動したのは、それを一番わかっていた教職員達。
結果として彼の言葉は正しく、ゴブリンは頭以外食べる事が出来るという事が判明した。
因みにゴブリンの頭には毒があるらしく、食べれば二~三週間寝込む事になるらしい。
なので正確にはゴブリンは頭以外の部位を持ち帰らなくてはならないのだ。
けどどうするか……
今回は前回と違い、武器を持っていない。
だがゴブリン達はお手製と思われる武器をしっかりと持っている。
みた感じ、手斧・鉈・槍・弓・棍棒といった感じか。
まずはどいつから狙うべきか……
「一応俺からのアドバイスだけど、奇襲で一体かたずけるなら槍を持ってる奴がお勧めだ。次点で弓・手斧といった感じだろう」
「弓を持っている奴が最初ではなく、ですか?」
「確かに普通に考えれば遠距離攻撃出来る奴を先に片づけるべきだろうけど、アレは二番目でも大丈夫。何故なら弓を持っている奴と他の奴等の位置が近いからな。槍を持って居る奴を倒し、持っていた槍を奪い返す刀で弓を持っている奴を倒しても問題ない。仮にやれなくても距離をとろうと隙が出来るだろうし、距離をとらずにその場で弓を射るようなら奪った槍で突き倒してしまえばいい。兎に角あの中で扱いやすく武器としてリーチの長い槍は一番の脅威であり、逆に言えばそれを手に入れて弓を持っている奴を倒せば悠椰にとって有利な状況を作り出せるという事だ」
確かに……
言われてみればそうだ。
槍さえ奪えれば、リーチの差でかなり有利に立ち回れるだろう。
アイツらゴブリンの練度は前回戦ってわかっているが、それ程高い訳でも高度な駆け引きが出来るわけでもなかった。
とは言えコイツ等も同じとは断言できない。
なら油断せず、好川の言った案で奇襲し行くべきだろうな。
にしてもあのゴブリン達を見て一瞬でそれを思いつくとは……
やはり頭の回転が速いな。
「ではそれで行きます。周辺の警戒ともしもの時の援護は任せました」
「任せておけ」
好川は軽く胸を叩きながら笑顔でそう言う。
俺はそれを確認してから、ゴブリン達に気づかれないようにしながらすぐそばまで近づく。
そして奇襲するタイミングを見計らう。
すると次の瞬間、最後尾の弓を持ったゴブリンが石につまずき、ゴブリン達の動きが止まる。
今だ!!
俺はそう思い全速力で走り、一瞬にしてゴブリン達との距離を詰める。
突如として現れ近づいてきた俺に対して驚いているのをよそに、俺は槍を持っているゴブリンに狙いを定め、[身体強化]を発動しながら力尽くで槍を奪い取る。
俺の登場に驚き力が抜けていたのか知らないが、槍はゴブリンからすんなりと奪い取る事に成功した。
俺はそのまま気を抜かず、奪った槍の柄の部分で元々槍を持っていたゴブリンを近くの木に向かって思いっきり吹き飛ばす。
そして弓を持って倒れているゴブリンの頭部を槍の穂先で思いっきり刺す。
そうすればゴブリンは一瞬ぴくっと反応した後、息絶える。
これで後三体……いや、吹き飛ばしたゴブリン動けはしないがまだ息があるみたいだな。
「……ギギ!」
「ギィギィ!」
「ギィ!」
だが戦えるゴブリン達は急に何か言い始めたかと思うと、口論を始めだした。
おい……
まだ戦いは終わってないんだぞ?
仲間が殺されてるのに、緊張感が無さすぎだろ……
俺はそう呆れながらも、躊躇うことなく手斧を持っているゴブリンの首目掛けて持っている槍を突き刺し、瞬時に引き抜く。
すると刺されたゴブリンは持っていた手斧をその場に落とし、両手で首から勢いよく吹き出る血を抑えながらその場に倒れ込んだ。
「「ギィギィ!!!」」
ようやく状況を理解できたのか、残った二匹のゴブリンは大声でそう叫びながら俺に向かって勢いよく突っ込んできた。
俺は持っていた槍を右方向に横薙ぎにはらい、突っ込んできていたゴブリン二匹を同じ木に打ち付ける。
そして丁度重なっているタイミングを逃さず持っていた槍を投擲し、一本の槍で二匹のゴブリンを貫いた。
貫かれたゴブリン二匹は必死にもがくが槍の穂が完全に木に刺さっており抜けず、少ししてから動かなくなり力尽きた。
「……フゥ~~」
俺はそれを確認して、大きく息を吐く。
最初にゴブリンと戦った時と違いゴブリンの動きがゆっくりに見え、更に自分の思い通り……いや、それ以上に体が動いてくれた。
これがレベルアップによる、ステータス上昇の恩恵……
俺は今、学校の外の森を散策中だ。
メンバーは俺、好川、北中先輩、滝本先生の四人。
何故この面子なのかは好川いわく、「悠椰を自由に行動させられ、尚且つ必ずしも継続してパーティ組む必要がないメンバー」、らしい。
その理由は恐らく、今回の散策が北中先輩のレベルアップが目的だからだろう。
北中先輩は自身で言っていた通り、回復職だ。
決して率先して戦う訳ではないが、それでもレベルを上げなければならない。
レベルアップによって得られるステータス値の上昇。
これは肉体を強制的にそのステータス値に合ったモノへと成長させる。
つまりレベルを上げるだけで強くなれてしまうのだ。
そして北中先輩はそんなレベルが上がり強くなった人間を治療しなければならない。
そんな人間に多少暴れられれば、戦闘職ではない北中先輩にはどうする事も出来ないだろう。
その危険を少しでもなくすために、北中先輩自信を強くするべきだという話になったのだ。
とは言っても、これは北中先輩だけに限った話ではない。
回復職やサポート職で、自身で戦う術を持たない人間に自衛できるだけの力を付けさせる。
その第一号が北中先輩だっただけだ。
因みにこの話は好川が滝本先生に打診し、教師陣の中で可決された案だ。
好川の提案を受け入れたあの日以降、好川は他にも滝本先生とかなり色々な話をしているようだ。
俺はと言うと、あの日以降色々と一人で能力の検証を行っていた。
別に好川の事を無視して手伝っていなかったわけではない。
あの日、好川との間でそう言う取り決めをしたからだ。
「交渉や準備等の裏工作は俺が行っておくから、悠椰は当分の間強くなる事だけ考えてくれ」、そう言われたのだ。
勿論それ以外にも色々と決めた事はある。
だが色々と取り決めを行った中で一番印象に残っているのは、やはりお互いに自身の能力に関する詳細は説明しあわないというものだ。
理由は、知らなければ間違えて口走る心配も拷問されて言ってしまう心配もないからというものだった。
正直そこまでしてくる人間が居るのか? とは思ったが、用心するに越したことはないという事だろう。
それに俺としても自身の職業を言わなくてよかったのは助かったからな。
何せ今の職業は職業変更(チュートリアル)とかいう、ふざけているのかと思われるような職業だしな。
「……左に四体、右に五体のゴブリンの集団が一つずつ確認できた」
「では事前の取り決め通り、二手に分かれましょう。俺達は右を担当します」
滝本先生の言葉に、好川がそう答える。
事前の取り決めとはゴブリンの集団が複数確認できた場合、片方は滝本先生と北中先輩が対処し、もう片方は俺と好川が対処するというものだ。
にしてもこんな無茶な要求、よく通したものだ。
多少俺も色々とさせられはしたが、それ程大したことではなかった。
ほぼ好川が一人で滝本先生を説得したようなものだった。
「本当に大丈夫なんだろうな?」
「大丈夫ですよ滝本先生。悠椰の力は見たでしょ? 恐らく素の力だけなら既に滝本先生を超えてますよ」
「確かにアレは凄かったが……」
滝本先生の言うアレとは、恐らく俺がやらされたうちの一つである重量挙げのようなものだろう。
といっても通常の重量挙げとは異なり、使ったのはバーベルではなく軽自動車だったがな。
俺はその軽自動車を[身体強化]を発動しながらではあるが、一人で持ち上げたのだ。
正直やっていた俺自身出来た事に驚いていた。
だが強制的に成長させられた肉体がなじんだのか、北中先輩に治療してもらった翌日から全身の痛みが消え、力がみなぎってくるような感覚は感じていた。
恐らくステータ通りの肉体になろうと、ステータス通りの力を発揮するには多少時間がかかるのだろう。
ここら辺はゲームのようにレベルアップすればすぐさまという訳にはいかないという訳だ。
「……本当に大丈夫なんだな?」
「大丈夫です。それに言ったでしょ? これはどちらにとっても必要な事だと」
「……わかった。だが決して無理はするなよ。危なくなればすぐさまこっちに逃げて来い。それらしい動きをすればこちらもすぐさま助けに行く」
「それでお願いします。それじゃぁ」
「あぁ」
どうやら二人の中で話はついたようだ。
と言うか本当に良くこんな無茶苦茶な提案を通したものだ。
教師陣で決めたパーティは最低でも三人で、更に戦える教師が一人ついて行くってルールをフル無視している行動だからな。
滝本先生と北中先輩と別れてから数分、俺と好川はお目当てのゴブリンの集団を発見した。
「それじゃ事前に決めた通りに行こう」
「わかりました」
事前の取り決めとは基本的にゴブリンは俺が倒しレベルアップの糧とするという、至ってシンプルなものだ。
好川は周辺警戒をしながら、何かあれば俺に合図を送ったり加勢したりしてくれるらしい。
正直ここまでいたれりつくせりで強くなれなければこっちが申し訳なくなってしまう。
「後忘れてるかもしれないから言っておくけど、倒した死体は持ち帰らないといけないから、くれぐれも手加減してくれ」
俺はその言葉に静かに頷く。
ゴブリンの死体を持ち帰るのは、このゴブリンが食べられるからだ。
それがわかったのは二日前の事。
職業が食通と言う特殊な職業の人間がこう言ったのだ。
この生き物は頭以外なら全て食べる事が出来る。
ただし細菌が多いため、しっかりと火を通さなければ腹を壊す。
そう言った彼が言うには、自分は食通と言う職業で食べられる食材と食べられない食材を見分けられる。
更にその食材を一番美味しく食べる調理方法もわかる、と。
正直最初は皆半信半疑だった。
だが現実問題として、食料はいずれ無くなる。
今は災害時用に置いてあった保存食があるが、それも無限じゃない。
保存食が無くなった時の善後策は必要だ。
なので彼の言葉を信じ行動したのは、それを一番わかっていた教職員達。
結果として彼の言葉は正しく、ゴブリンは頭以外食べる事が出来るという事が判明した。
因みにゴブリンの頭には毒があるらしく、食べれば二~三週間寝込む事になるらしい。
なので正確にはゴブリンは頭以外の部位を持ち帰らなくてはならないのだ。
けどどうするか……
今回は前回と違い、武器を持っていない。
だがゴブリン達はお手製と思われる武器をしっかりと持っている。
みた感じ、手斧・鉈・槍・弓・棍棒といった感じか。
まずはどいつから狙うべきか……
「一応俺からのアドバイスだけど、奇襲で一体かたずけるなら槍を持ってる奴がお勧めだ。次点で弓・手斧といった感じだろう」
「弓を持っている奴が最初ではなく、ですか?」
「確かに普通に考えれば遠距離攻撃出来る奴を先に片づけるべきだろうけど、アレは二番目でも大丈夫。何故なら弓を持っている奴と他の奴等の位置が近いからな。槍を持って居る奴を倒し、持っていた槍を奪い返す刀で弓を持っている奴を倒しても問題ない。仮にやれなくても距離をとろうと隙が出来るだろうし、距離をとらずにその場で弓を射るようなら奪った槍で突き倒してしまえばいい。兎に角あの中で扱いやすく武器としてリーチの長い槍は一番の脅威であり、逆に言えばそれを手に入れて弓を持っている奴を倒せば悠椰にとって有利な状況を作り出せるという事だ」
確かに……
言われてみればそうだ。
槍さえ奪えれば、リーチの差でかなり有利に立ち回れるだろう。
アイツらゴブリンの練度は前回戦ってわかっているが、それ程高い訳でも高度な駆け引きが出来るわけでもなかった。
とは言えコイツ等も同じとは断言できない。
なら油断せず、好川の言った案で奇襲し行くべきだろうな。
にしてもあのゴブリン達を見て一瞬でそれを思いつくとは……
やはり頭の回転が速いな。
「ではそれで行きます。周辺の警戒ともしもの時の援護は任せました」
「任せておけ」
好川は軽く胸を叩きながら笑顔でそう言う。
俺はそれを確認してから、ゴブリン達に気づかれないようにしながらすぐそばまで近づく。
そして奇襲するタイミングを見計らう。
すると次の瞬間、最後尾の弓を持ったゴブリンが石につまずき、ゴブリン達の動きが止まる。
今だ!!
俺はそう思い全速力で走り、一瞬にしてゴブリン達との距離を詰める。
突如として現れ近づいてきた俺に対して驚いているのをよそに、俺は槍を持っているゴブリンに狙いを定め、[身体強化]を発動しながら力尽くで槍を奪い取る。
俺の登場に驚き力が抜けていたのか知らないが、槍はゴブリンからすんなりと奪い取る事に成功した。
俺はそのまま気を抜かず、奪った槍の柄の部分で元々槍を持っていたゴブリンを近くの木に向かって思いっきり吹き飛ばす。
そして弓を持って倒れているゴブリンの頭部を槍の穂先で思いっきり刺す。
そうすればゴブリンは一瞬ぴくっと反応した後、息絶える。
これで後三体……いや、吹き飛ばしたゴブリン動けはしないがまだ息があるみたいだな。
「……ギギ!」
「ギィギィ!」
「ギィ!」
だが戦えるゴブリン達は急に何か言い始めたかと思うと、口論を始めだした。
おい……
まだ戦いは終わってないんだぞ?
仲間が殺されてるのに、緊張感が無さすぎだろ……
俺はそう呆れながらも、躊躇うことなく手斧を持っているゴブリンの首目掛けて持っている槍を突き刺し、瞬時に引き抜く。
すると刺されたゴブリンは持っていた手斧をその場に落とし、両手で首から勢いよく吹き出る血を抑えながらその場に倒れ込んだ。
「「ギィギィ!!!」」
ようやく状況を理解できたのか、残った二匹のゴブリンは大声でそう叫びながら俺に向かって勢いよく突っ込んできた。
俺は持っていた槍を右方向に横薙ぎにはらい、突っ込んできていたゴブリン二匹を同じ木に打ち付ける。
そして丁度重なっているタイミングを逃さず持っていた槍を投擲し、一本の槍で二匹のゴブリンを貫いた。
貫かれたゴブリン二匹は必死にもがくが槍の穂が完全に木に刺さっており抜けず、少ししてから動かなくなり力尽きた。
「……フゥ~~」
俺はそれを確認して、大きく息を吐く。
最初にゴブリンと戦った時と違いゴブリンの動きがゆっくりに見え、更に自分の思い通り……いや、それ以上に体が動いてくれた。
これがレベルアップによる、ステータス上昇の恩恵……
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