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第一章
焚火の誘い
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どれくらいの時間が流れたのか、あれだけ激しかった戦闘の音が次第に小さくなっていった。
───やがて、くぐもった声が聞こえると、あたりは静かになった。
男は茂みからゆっくりと立ち上がると、戦いが行われていた崖近くの広場に恐る恐る向かった。
見たところ動く者や影はない・・・・。
荷馬車に近づいて状況がわかった。
ゴブリン十匹程と、三人の人間が倒れていた。
人間は一人が農夫のようだ。背中に剣が刺さったまま倒れている。
そして恐らく護衛として雇われた戦士。あまり強くはなかったようだが、攻守に奮闘していた様子がわかる。
もう一人は荷馬車の車輪を背に倒れている。魔術師のようだ。
握っている杖からそう判断した。護衛の一人だろう。
男は近くに転がっていた剣を拾うと、倒れているゴブリンを次々と刺していく。
中には身体の大きいゴブリンもいた。
(ホブゴブリンもいたのか・・・。よく相打ちに持ち込めたもんだ。)
「おい、大丈夫か?」
農夫に声を掛けてみるが、既に息絶えていた。
戦士も同様だった。彼はまだ若く見受けられた。
赤毛の戦士は、まだ10代と思しき紅顔の青年で、装備品はまだ新しい。
(駆け出しの冒険者か?若いな。俺の息子くらいじゃないか・・・。)
男が戦士の鎧を外していると、か細い声が聞こえて、一瞬総毛だった。
声のする方には魔術師がいる。まだ生存確認をしていなかったが、生きていたようだ。
慌てて足を引きずって向かうと、魔術師は20代程の若い女で、息も辛うじてある。だが、腹部にひどい出血があり、何もしなければこのまま死ぬだろうと思われる。
「お、おい!しっかりしろ!」
男の問いに苦しい息の中、女魔術師はなんとか答えるのだった。
「カレル・・・一緒に戦った彼は・・・?」
「若い戦士のことか?農夫もだが、二人ともダメだった。死んだよ」
「そんな、私が誘ったばかりに・・・。ああ、守れなかった・・・ごめんなさい・・・ごめんなさいカレル」
女魔術師はそう呟くと、涙を零す。そして激しく咳き込んだ。
「あの・・・馬車に荷物が・・・回復ポーションがあり・・・ありますので、持ってきていただけませんか」
「・・・わかった。」
男は荷馬車に近づいて、無造作に置いてあった鞄を手に取ろうとした。
戦闘にも消えずに残っていた焚火の木が爆ぜる音が大きく聞こえた気がした。
男は振り返り、女魔術師の元に戻る。
「ありがとう・・・・」
彼女はそう呟くように言うと、男を見上げた。
───ズシュッ
女魔術師の首から鮮血が飛び散る。
彼女は眼を大きく見開き、口からも血を溢れさせて身体をビクビクと暫く震わせるとしばらくして絶命した。
血に塗れた顔を袖で拭うと、フランクは彼女の死体を漁り始めた。
小袋を見つけた。中には金・・・銀貨が数枚とギルド登録証が入っている。
更に彼女の身に着けているローブと靴を脱がした。
「これも洗って売れば幾らかになるだろう。悪く思うなよ・・・」
少しの間、男は自ら手にかけた女を見つめた。
そして沈黙したまま彼女の身に着けている服や下着も脱がせ始めた。
あらわになる肌は火の灯りに照らされて仄かに赤く艶めかしく輝く。
暫し死体を見つめると
「・・・やっぱり奴の趣味は理解できない・・・。死体の何がいいんだ」
ポツリとつぶやいて、死体の女に何も感じない自分に胸をなでおろす。
「悪かったなお嬢さん。ちゃんと仲間と一緒に埋めてやる」
そう言うと、女魔術師に背を向けて戦士の方に向かった。
フランクは若い戦士・カレルと農夫の死体を漁り、手に入れた金とギルド登録証は、首から下げている金袋に全て入れ、カレルの装備も手に入れた。
「この剣は結構な良品だな。高く売れそうだ」
月に向かって剣を掲げてその姿を映す。
「さて、それじゃ埋めてやるか」
(今日は徹夜だな)
一つ溜め息をついた。
───やがて、くぐもった声が聞こえると、あたりは静かになった。
男は茂みからゆっくりと立ち上がると、戦いが行われていた崖近くの広場に恐る恐る向かった。
見たところ動く者や影はない・・・・。
荷馬車に近づいて状況がわかった。
ゴブリン十匹程と、三人の人間が倒れていた。
人間は一人が農夫のようだ。背中に剣が刺さったまま倒れている。
そして恐らく護衛として雇われた戦士。あまり強くはなかったようだが、攻守に奮闘していた様子がわかる。
もう一人は荷馬車の車輪を背に倒れている。魔術師のようだ。
握っている杖からそう判断した。護衛の一人だろう。
男は近くに転がっていた剣を拾うと、倒れているゴブリンを次々と刺していく。
中には身体の大きいゴブリンもいた。
(ホブゴブリンもいたのか・・・。よく相打ちに持ち込めたもんだ。)
「おい、大丈夫か?」
農夫に声を掛けてみるが、既に息絶えていた。
戦士も同様だった。彼はまだ若く見受けられた。
赤毛の戦士は、まだ10代と思しき紅顔の青年で、装備品はまだ新しい。
(駆け出しの冒険者か?若いな。俺の息子くらいじゃないか・・・。)
男が戦士の鎧を外していると、か細い声が聞こえて、一瞬総毛だった。
声のする方には魔術師がいる。まだ生存確認をしていなかったが、生きていたようだ。
慌てて足を引きずって向かうと、魔術師は20代程の若い女で、息も辛うじてある。だが、腹部にひどい出血があり、何もしなければこのまま死ぬだろうと思われる。
「お、おい!しっかりしろ!」
男の問いに苦しい息の中、女魔術師はなんとか答えるのだった。
「カレル・・・一緒に戦った彼は・・・?」
「若い戦士のことか?農夫もだが、二人ともダメだった。死んだよ」
「そんな、私が誘ったばかりに・・・。ああ、守れなかった・・・ごめんなさい・・・ごめんなさいカレル」
女魔術師はそう呟くと、涙を零す。そして激しく咳き込んだ。
「あの・・・馬車に荷物が・・・回復ポーションがあり・・・ありますので、持ってきていただけませんか」
「・・・わかった。」
男は荷馬車に近づいて、無造作に置いてあった鞄を手に取ろうとした。
戦闘にも消えずに残っていた焚火の木が爆ぜる音が大きく聞こえた気がした。
男は振り返り、女魔術師の元に戻る。
「ありがとう・・・・」
彼女はそう呟くように言うと、男を見上げた。
───ズシュッ
女魔術師の首から鮮血が飛び散る。
彼女は眼を大きく見開き、口からも血を溢れさせて身体をビクビクと暫く震わせるとしばらくして絶命した。
血に塗れた顔を袖で拭うと、フランクは彼女の死体を漁り始めた。
小袋を見つけた。中には金・・・銀貨が数枚とギルド登録証が入っている。
更に彼女の身に着けているローブと靴を脱がした。
「これも洗って売れば幾らかになるだろう。悪く思うなよ・・・」
少しの間、男は自ら手にかけた女を見つめた。
そして沈黙したまま彼女の身に着けている服や下着も脱がせ始めた。
あらわになる肌は火の灯りに照らされて仄かに赤く艶めかしく輝く。
暫し死体を見つめると
「・・・やっぱり奴の趣味は理解できない・・・。死体の何がいいんだ」
ポツリとつぶやいて、死体の女に何も感じない自分に胸をなでおろす。
「悪かったなお嬢さん。ちゃんと仲間と一緒に埋めてやる」
そう言うと、女魔術師に背を向けて戦士の方に向かった。
フランクは若い戦士・カレルと農夫の死体を漁り、手に入れた金とギルド登録証は、首から下げている金袋に全て入れ、カレルの装備も手に入れた。
「この剣は結構な良品だな。高く売れそうだ」
月に向かって剣を掲げてその姿を映す。
「さて、それじゃ埋めてやるか」
(今日は徹夜だな)
一つ溜め息をついた。
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