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第一章
討伐準備
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3人は一度ファルサクスの街に戻ってきた。
すぐにラウルの故郷に向かわないのには何か考えがあるようだが、フランクにとっては食い扶持が確保できたのでそのあたりはどうでもいいことだ。
50を過ぎて足に障害のある自分をこうして同行させてくれるだけでありがたい話である。
話によれば、宿も食事も全部彼らが金を出すとのことで、弟の埋葬をしたということを余程恩に感じているのだろう。ラウルは律儀な奴だ・・・そう思った。
それに男だけの旅ではなく、小娘だが女もいる。
女との旅は初めてで、年甲斐もなく少し興奮している自分がいた。
(自分の娘位の年齢だが、旅に花があるのはいいものだな)
思わずニヤついてルパルナを見ているのを、彼女に見咎められてしまった・・・
「おっさん!何じろじろ見てるのさっ!気持ち悪い」
黒い瞳を怒らせながら、ぷくっと頬を膨らせる。
「う、あ、いや違うんだ・・・。変な意味で見てたんじゃなくてな、娘がいたらお前くらいの歳だっただろうなと思ってな」慌てて言い繕う。嘘は言ってない。
「へーそっか。フランクは結婚しなかったの?」
それはフランクの心に鋭い刃を突き立てるような言葉だった。
「い、いや・・・結婚はしてたんだよ。してたんだが・・・」
(ちっ・・・思い出しちまった・・・)
「えー-っしてたんだ!?意外ー!で、どんな人と?」
頬を赤らめて、興味津々といった表情のルパルナ。
だが、フランク様子を見かねてラウルが間に入ってくれた。
「ルパルナ フランクが困ってるぞ」
「・・・ごめんなさい」
「いや、いいのさ。すまんな・・・」
(いいのさ・・・・か)
フランクは小さな溜息をついた。
3人はギルドに向かい、そこの空いているテーブル席に陣取った。ラウルが受付に行ってる間に、ルパルナが素早くエールを注文して持ってきた。
「軽く食べるものも頼んでおいたからね」
ラウルが戻ってくる頃には軽食も届いていて、皆で食事となった。
「二人とも聞いてほしい」
ラウルが話し出した。
「これからのことだが、ゴブリンの巣穴を叩きに行こうと思うんだ。カレルがやられたあの森の奥には以前から巣穴が確認されていたようだ。だから馬車護衛の依頼があったんだが、犠牲が出た今、根本を潰すべきだと話が付いた」
「で、私たちで行こうってことよね?」
「ああ・・・これは敵討ちも兼ねている。ここは何としても俺たちでいきたい。もちろんフランクは戦闘に参加しないでいい。巣穴には俺とルパルナで行くから、荷物を管理していてほしい」
「だが、二人で大丈夫なのか?相手は数が多いし・・・」
フランクは不安を吐露した。
それに答えたのはルパルナだった。
「ラウルは黄金級、私は星3銀級の冒険者だから大丈夫よ」
「黄金に星3銀!?お前たちそんなに強かったのか!」
「すごいでしょー?フフフ」
冒険者にはランクがある。黄金・銀・銅。それぞれに星が付くことによって、同ランクでもより高位の冒険者となる。星が5以上で一つランクが上がる。
黄金級は各王国の将軍程の実力を持っていると言われていて、国王でも一目置くような存在となる。したがって、その人数は決して多くない。
「ちなみに、カレルとディラはどのくらいだったんだ?」
「ディラは星1銀でカレルは銅。カレルは本当に駆け出しだったのよ・・・」
「手助けがあったとは言っても、それであの数を相手にしてたのか。すごい素質があったんだな」
普通、駆け出しの銅クラスの冒険者では、あの数のゴブリンやホブゴブリンなんて相手できない。
守備に徹していたとしても無理がある。結果的に命を散らせたが、それでも戦い抜いたあの若者は、そこらの連中と違うと素直に思った。(だけど、死んじまったらどうもならんよな)
「カレルには父母も期待をしていた。報告を知れば間違いなく落胆するだろうな・・・」
「とにかく不安は無くなったよ。二人がいれば問題なく討伐できるだろうな」
「では、明日出発しよう。フランク、荷物の準備を頼む」
「任せておいてくれ」
準備と言っても、彼らの旅支度は整っていた。あとはフランクの装備と食料などの買い出し位だ。
そういった類の品はギルドで一括で揃うのだが、少し高級な志向の物は外の商店を巡って買い集めることになる。
ルパルナは別として、リーダーのラウルが質素なもので事足りるというスタンスなので、ギルドで適当に買い集めると、自腹で酒を数本買って部屋に戻った。借りた馬の世話は厩の小僧に金を渡してやらせた。
今日は馬の世話までやる気力が無かったからだ。
フランクは部屋に着くと、溜息をついてベッドに座ると項垂れながら酒を呷る。
「くそ・・・ああ、たまらんな・・・!」
すぐにラウルの故郷に向かわないのには何か考えがあるようだが、フランクにとっては食い扶持が確保できたのでそのあたりはどうでもいいことだ。
50を過ぎて足に障害のある自分をこうして同行させてくれるだけでありがたい話である。
話によれば、宿も食事も全部彼らが金を出すとのことで、弟の埋葬をしたということを余程恩に感じているのだろう。ラウルは律儀な奴だ・・・そう思った。
それに男だけの旅ではなく、小娘だが女もいる。
女との旅は初めてで、年甲斐もなく少し興奮している自分がいた。
(自分の娘位の年齢だが、旅に花があるのはいいものだな)
思わずニヤついてルパルナを見ているのを、彼女に見咎められてしまった・・・
「おっさん!何じろじろ見てるのさっ!気持ち悪い」
黒い瞳を怒らせながら、ぷくっと頬を膨らせる。
「う、あ、いや違うんだ・・・。変な意味で見てたんじゃなくてな、娘がいたらお前くらいの歳だっただろうなと思ってな」慌てて言い繕う。嘘は言ってない。
「へーそっか。フランクは結婚しなかったの?」
それはフランクの心に鋭い刃を突き立てるような言葉だった。
「い、いや・・・結婚はしてたんだよ。してたんだが・・・」
(ちっ・・・思い出しちまった・・・)
「えー-っしてたんだ!?意外ー!で、どんな人と?」
頬を赤らめて、興味津々といった表情のルパルナ。
だが、フランク様子を見かねてラウルが間に入ってくれた。
「ルパルナ フランクが困ってるぞ」
「・・・ごめんなさい」
「いや、いいのさ。すまんな・・・」
(いいのさ・・・・か)
フランクは小さな溜息をついた。
3人はギルドに向かい、そこの空いているテーブル席に陣取った。ラウルが受付に行ってる間に、ルパルナが素早くエールを注文して持ってきた。
「軽く食べるものも頼んでおいたからね」
ラウルが戻ってくる頃には軽食も届いていて、皆で食事となった。
「二人とも聞いてほしい」
ラウルが話し出した。
「これからのことだが、ゴブリンの巣穴を叩きに行こうと思うんだ。カレルがやられたあの森の奥には以前から巣穴が確認されていたようだ。だから馬車護衛の依頼があったんだが、犠牲が出た今、根本を潰すべきだと話が付いた」
「で、私たちで行こうってことよね?」
「ああ・・・これは敵討ちも兼ねている。ここは何としても俺たちでいきたい。もちろんフランクは戦闘に参加しないでいい。巣穴には俺とルパルナで行くから、荷物を管理していてほしい」
「だが、二人で大丈夫なのか?相手は数が多いし・・・」
フランクは不安を吐露した。
それに答えたのはルパルナだった。
「ラウルは黄金級、私は星3銀級の冒険者だから大丈夫よ」
「黄金に星3銀!?お前たちそんなに強かったのか!」
「すごいでしょー?フフフ」
冒険者にはランクがある。黄金・銀・銅。それぞれに星が付くことによって、同ランクでもより高位の冒険者となる。星が5以上で一つランクが上がる。
黄金級は各王国の将軍程の実力を持っていると言われていて、国王でも一目置くような存在となる。したがって、その人数は決して多くない。
「ちなみに、カレルとディラはどのくらいだったんだ?」
「ディラは星1銀でカレルは銅。カレルは本当に駆け出しだったのよ・・・」
「手助けがあったとは言っても、それであの数を相手にしてたのか。すごい素質があったんだな」
普通、駆け出しの銅クラスの冒険者では、あの数のゴブリンやホブゴブリンなんて相手できない。
守備に徹していたとしても無理がある。結果的に命を散らせたが、それでも戦い抜いたあの若者は、そこらの連中と違うと素直に思った。(だけど、死んじまったらどうもならんよな)
「カレルには父母も期待をしていた。報告を知れば間違いなく落胆するだろうな・・・」
「とにかく不安は無くなったよ。二人がいれば問題なく討伐できるだろうな」
「では、明日出発しよう。フランク、荷物の準備を頼む」
「任せておいてくれ」
準備と言っても、彼らの旅支度は整っていた。あとはフランクの装備と食料などの買い出し位だ。
そういった類の品はギルドで一括で揃うのだが、少し高級な志向の物は外の商店を巡って買い集めることになる。
ルパルナは別として、リーダーのラウルが質素なもので事足りるというスタンスなので、ギルドで適当に買い集めると、自腹で酒を数本買って部屋に戻った。借りた馬の世話は厩の小僧に金を渡してやらせた。
今日は馬の世話までやる気力が無かったからだ。
フランクは部屋に着くと、溜息をついてベッドに座ると項垂れながら酒を呷る。
「くそ・・・ああ、たまらんな・・・!」
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