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第二章
故郷へ
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ラウル、ルパルナ、ベルのパーティはファルサクスの街を後にして、ラウルの弟であるカレルの死を報告をするためにその故郷に向かっていた。
実はラウルの故郷など何処にあるのか全く知らない。
なにせ本物のラウルはフランクと入れ替わって死んだのだ。今ここにいるのは、ラウルの肉体に入れ替わったフランクなのである。
(多分、場所はルパルナが知ってると思うから、適当に道を進んで何か言われたらうまく言って取り繕う感じでいくか・・・。)
そんなラウルの様子を見ながら、ベルはニヤついている。
「な、なんだよ・・・ベル」
「べつにー?」
フフッと笑ってラウルの馬の頭からルパルナの馬の頭に飛び移るベル。
「っていうか、あんた達いつの間にどこで出会ったのよ」
ルパルナがベルの頬をつっつきながら訊いてきた。
(正直に言えるわけないんだよなあ・・・。)
「あー・・・ゴブリンの洞窟に囚われていたみたいなんだ。気が付いたらいて・・・。」
ラウルは溜息をこぼしながら、歯切れ悪そうに言う。
「そう!そうなのよ~。ゴブリンたちに捕まってて、食べられるところだったの。そしたらあなた達が来たのでスキを見て逃げてきたの!でも、か弱い私一人じゃ故郷まで戻れないでしょ?だからラウルに助けを求めたの。すぐに姿を見せなかったのは、あなた達が信用できそうか見極めるためだったのよ」
つるつると嘘をつく妖精だ・・・。
「ふーん。まあ、いいけどね。で、故郷ってどこにあるの?」
「ずーっとずーっと北よ」
「え?じゃ、逆方向じゃない。私たちと一緒でいいの?北に行く旅人に話付けてあげようか?」
「いいのいいの。のんびり旅するのも楽しいし!だから、これからよろしくね」
ベルはルパルナの指先にキスをする。
「わかったわ!よろしくね」
ベルと話していて初めてルパルナが笑みを見せた。
───夜までに村や集落が見つからなかったので、仕方なく野営となった。
焚火を囲みながら食事をとる。ルパルナとベルはすっかり打ち解けて、ずっと何やら楽しそうに話していた。
もしルパルナと二人きりだったら静かな道行だったろうなと思うと、ベルの存在はとても大きいと感じたラウルだった。
(ベルのおかげで退屈させないでいられる。それは良かったが、あいつ、呪いの一種なんだよな・・・複雑だ)
「ねえねえ、ベルって戦えたりするの?武器をもって戦うとかはできないのわかるけど、魔法とかつかえるんでしょ?回復魔法とかは覚えてないの?」
「回復は使えないの。攻撃魔法は使えないことはないけど・・・私の魔法攻撃なんかじゃ痛くもないと思う。小さな灯りを作ったり、火を熾したりならできるよ」
ルパルナのカップから飲み物をくすねながらベルが言った。
「そっか。じゃ、戦闘中は隠れていなさいね」
「わかったわ~よろしくね。二人とも!」
「ラウル、やっぱりゼファーが抜けたのは大きいと思うの。」
ラウルはビクッとした。知らない名前が出たからだ。
「そ、そうだな・・・。」
「お母さんの具合が悪かったって知ったから仕方なかったけどね。でもやっぱり治療師は必要だと思う」
(前にパーティにいた治療師の事だったのか)
「そうだな。だが、なかなか一人で旅をしている治療師はいないよな。いてもすぐ勧誘されてしまう。せめてベルが回復魔法でも使えたらよかったが」
意地悪を言ってみる。
「ふーんだ」
ベルはぷいっとしてそう言うと、パンに齧りつく。ルパルナがくすっと笑った。
一見少年のような姿の彼女だが、黒曜石のような黒髪と服から露出している部分の白い肌が焚火の火に照らし出されて、少女とはいえ、妖艶な美しさを醸し出していた。
(普通にかわいらしい女の子なんだよな・・・)
「ん?ラウル、なあに?」
こちらの視線に気が付いたのか、少しはにかみながら訊いてきた。
翠の瞳が潤み、頬が火照って見える。その様子にラウルは戸惑った・・・。
「いや、な・・・なんでもないよ」
「えー?なーに?」微笑むルパルナ。
───その時だった
ベルがパンを取りこぼすと右手の森の奥をじっと見つめる。そして言い放った。
「ねえ、火の手が上がってる。人の叫び声・魔物の気配も感じる」
実はラウルの故郷など何処にあるのか全く知らない。
なにせ本物のラウルはフランクと入れ替わって死んだのだ。今ここにいるのは、ラウルの肉体に入れ替わったフランクなのである。
(多分、場所はルパルナが知ってると思うから、適当に道を進んで何か言われたらうまく言って取り繕う感じでいくか・・・。)
そんなラウルの様子を見ながら、ベルはニヤついている。
「な、なんだよ・・・ベル」
「べつにー?」
フフッと笑ってラウルの馬の頭からルパルナの馬の頭に飛び移るベル。
「っていうか、あんた達いつの間にどこで出会ったのよ」
ルパルナがベルの頬をつっつきながら訊いてきた。
(正直に言えるわけないんだよなあ・・・。)
「あー・・・ゴブリンの洞窟に囚われていたみたいなんだ。気が付いたらいて・・・。」
ラウルは溜息をこぼしながら、歯切れ悪そうに言う。
「そう!そうなのよ~。ゴブリンたちに捕まってて、食べられるところだったの。そしたらあなた達が来たのでスキを見て逃げてきたの!でも、か弱い私一人じゃ故郷まで戻れないでしょ?だからラウルに助けを求めたの。すぐに姿を見せなかったのは、あなた達が信用できそうか見極めるためだったのよ」
つるつると嘘をつく妖精だ・・・。
「ふーん。まあ、いいけどね。で、故郷ってどこにあるの?」
「ずーっとずーっと北よ」
「え?じゃ、逆方向じゃない。私たちと一緒でいいの?北に行く旅人に話付けてあげようか?」
「いいのいいの。のんびり旅するのも楽しいし!だから、これからよろしくね」
ベルはルパルナの指先にキスをする。
「わかったわ!よろしくね」
ベルと話していて初めてルパルナが笑みを見せた。
───夜までに村や集落が見つからなかったので、仕方なく野営となった。
焚火を囲みながら食事をとる。ルパルナとベルはすっかり打ち解けて、ずっと何やら楽しそうに話していた。
もしルパルナと二人きりだったら静かな道行だったろうなと思うと、ベルの存在はとても大きいと感じたラウルだった。
(ベルのおかげで退屈させないでいられる。それは良かったが、あいつ、呪いの一種なんだよな・・・複雑だ)
「ねえねえ、ベルって戦えたりするの?武器をもって戦うとかはできないのわかるけど、魔法とかつかえるんでしょ?回復魔法とかは覚えてないの?」
「回復は使えないの。攻撃魔法は使えないことはないけど・・・私の魔法攻撃なんかじゃ痛くもないと思う。小さな灯りを作ったり、火を熾したりならできるよ」
ルパルナのカップから飲み物をくすねながらベルが言った。
「そっか。じゃ、戦闘中は隠れていなさいね」
「わかったわ~よろしくね。二人とも!」
「ラウル、やっぱりゼファーが抜けたのは大きいと思うの。」
ラウルはビクッとした。知らない名前が出たからだ。
「そ、そうだな・・・。」
「お母さんの具合が悪かったって知ったから仕方なかったけどね。でもやっぱり治療師は必要だと思う」
(前にパーティにいた治療師の事だったのか)
「そうだな。だが、なかなか一人で旅をしている治療師はいないよな。いてもすぐ勧誘されてしまう。せめてベルが回復魔法でも使えたらよかったが」
意地悪を言ってみる。
「ふーんだ」
ベルはぷいっとしてそう言うと、パンに齧りつく。ルパルナがくすっと笑った。
一見少年のような姿の彼女だが、黒曜石のような黒髪と服から露出している部分の白い肌が焚火の火に照らし出されて、少女とはいえ、妖艶な美しさを醸し出していた。
(普通にかわいらしい女の子なんだよな・・・)
「ん?ラウル、なあに?」
こちらの視線に気が付いたのか、少しはにかみながら訊いてきた。
翠の瞳が潤み、頬が火照って見える。その様子にラウルは戸惑った・・・。
「いや、な・・・なんでもないよ」
「えー?なーに?」微笑むルパルナ。
───その時だった
ベルがパンを取りこぼすと右手の森の奥をじっと見つめる。そして言い放った。
「ねえ、火の手が上がってる。人の叫び声・魔物の気配も感じる」
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