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第六章
武闘大会④
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次の戦いの時にはラウルのダメージはほぼ無くなっていた。
(あの酷いダメージをこの短時間で回復させるなんて、やはり治療師はすごい。彼女に出会えてよかったな)
「さて、出番のようだ。行ってくる」
ラウルは2回戦の舞台に立った。
相手はラウルが目を付けていた魔術師の一人、マティルダ。
彼女はやぼったい黒いローブに身を包み、蔦の絡まった、赤い水晶を咥えた蛇の頭の魔杖を持っている怜悧な感じの美人だった。だが疲労の為か、生気があまり感じられない。おそらく前戦の疲労が抜けきっていないのだろう。ラウルは一気に勝負を付けるべきだと感じた。
(一日で全て決するトーナメントは魔術師はきついだろうな・・・だが、油断はしない)
「・・・・それでは始め!!」
歓声とともに、試合は始まった。ラウルはいつもの通り、火焔魔鎧を発動。マティルダは魔杖を振るい、呪文を唱える。もちろん、魔法に疎いラウルには、何を言ってるのかも何の呪文なのかもわからない。すると突然ラウルの周囲が沼化して、体が沈みだした。
「・・・これは!」
「・・・周囲を沼地に変えました。ですが私の術はこれだけではありません・・・」
沼地のあちこちが3m以上盛り上がると、それらは人の形を成していった。
「行け!スワンプゴーレム!」
身震いするような雄叫びを上げながら、スワンプゴーレムはラウルに襲い掛かってきた。
そうこうしているうちに、ラウルの身体は腰のところまで沈んでいた。しかし、沈んだのはそこまでだった。
(底なし沼では無かったのは不幸中の幸いか・・・)
スワンプゴーレムの攻撃は太い両手での力任せの強烈な打撃。そして、連中の隙間を塗って繰り出される魔法攻撃。雷撃の魔法を中心に、純粋な魔力の連弾を織り交ぜてくる。
ラウルは身動きが満足に取れないので、それらを四方八方から受け続ける。
(さすがの火焔魔鎧でもあと少ししたら壊れてしまう・・・。できるかどうか確信はないが、やってみるしかないな)
ラウルは前戦で止めに使った火龍斬を同じように沼に真っすぐ放った。しかし今度は地割れが相手に向かうのではなく、真っすぐ下に全力で放っていた。
「火龍よ!!俺を飛ばせ!!」
火龍斬の勢いを使って、ラウルは上空に飛ぶ。そして龍のうねりを利用して、マティルダに接近する。
彼女は慌てて氷の魔法で迎撃した。次々と当たる氷の礫に、ついに火焔魔鎧は砕け散る。しかし構わずラウルは渾身の一撃を放とうとした瞬間───
「参りました。もう手がありません・・・・」
マティルダは降参した。
「魔術師は不利だというのに、強かった。」
「いいえ、弱いから負けたんです」
「なあ、俺とパーティを組んで旅をしないか?君のような優秀な魔術師を探していたんだ」
「お誘いは嬉しいのですが、私には相方がおります・・・。ごめんなさい」
「そうか・・・残念だ」
ラウルは勝ち残り、次の闘いに進むことになった。
「お疲れ様!さ、回復するよ」
ナディが回復薬を渡してくれた。そして、鎧を外すとダメージの様子を見る。
「見た感じだと打撲位かな。塗り薬で対応しよう」
回復の歌を歌いながら、優しく塗り薬を身体に塗ってくれる。最初の試合の酷い傷に塗った薬とは別のものだという。
「ねね、あの魔術師どうだったの?」
「振られたよ。もう仲間がいるんだそうだ」
「ざんねーん」
「ラウル、魔力は残ってるの?」
「大丈夫だと思うが、この先枯渇するのは間違いないな・・・万全で行けるのは次までか・・・その次か・・微妙なところだ」
「そっか。魔力の回復はすぐにできないから、ごめんね」
「いや、そういうものだと思ってるから大丈夫。ナディはやれることだけやってくれ」
「わかったわ!」
「ラウルー!次はジェマイエフの騎士団長だって!」
「・・・全力で当たらないといけない相手だな。魔力はここまでのようだ。ナディ、重傷を負うかもしれないから頼むな」
「任せて。ハリムの里の秘薬を使ってあげるから!」
(あの酷いダメージをこの短時間で回復させるなんて、やはり治療師はすごい。彼女に出会えてよかったな)
「さて、出番のようだ。行ってくる」
ラウルは2回戦の舞台に立った。
相手はラウルが目を付けていた魔術師の一人、マティルダ。
彼女はやぼったい黒いローブに身を包み、蔦の絡まった、赤い水晶を咥えた蛇の頭の魔杖を持っている怜悧な感じの美人だった。だが疲労の為か、生気があまり感じられない。おそらく前戦の疲労が抜けきっていないのだろう。ラウルは一気に勝負を付けるべきだと感じた。
(一日で全て決するトーナメントは魔術師はきついだろうな・・・だが、油断はしない)
「・・・・それでは始め!!」
歓声とともに、試合は始まった。ラウルはいつもの通り、火焔魔鎧を発動。マティルダは魔杖を振るい、呪文を唱える。もちろん、魔法に疎いラウルには、何を言ってるのかも何の呪文なのかもわからない。すると突然ラウルの周囲が沼化して、体が沈みだした。
「・・・これは!」
「・・・周囲を沼地に変えました。ですが私の術はこれだけではありません・・・」
沼地のあちこちが3m以上盛り上がると、それらは人の形を成していった。
「行け!スワンプゴーレム!」
身震いするような雄叫びを上げながら、スワンプゴーレムはラウルに襲い掛かってきた。
そうこうしているうちに、ラウルの身体は腰のところまで沈んでいた。しかし、沈んだのはそこまでだった。
(底なし沼では無かったのは不幸中の幸いか・・・)
スワンプゴーレムの攻撃は太い両手での力任せの強烈な打撃。そして、連中の隙間を塗って繰り出される魔法攻撃。雷撃の魔法を中心に、純粋な魔力の連弾を織り交ぜてくる。
ラウルは身動きが満足に取れないので、それらを四方八方から受け続ける。
(さすがの火焔魔鎧でもあと少ししたら壊れてしまう・・・。できるかどうか確信はないが、やってみるしかないな)
ラウルは前戦で止めに使った火龍斬を同じように沼に真っすぐ放った。しかし今度は地割れが相手に向かうのではなく、真っすぐ下に全力で放っていた。
「火龍よ!!俺を飛ばせ!!」
火龍斬の勢いを使って、ラウルは上空に飛ぶ。そして龍のうねりを利用して、マティルダに接近する。
彼女は慌てて氷の魔法で迎撃した。次々と当たる氷の礫に、ついに火焔魔鎧は砕け散る。しかし構わずラウルは渾身の一撃を放とうとした瞬間───
「参りました。もう手がありません・・・・」
マティルダは降参した。
「魔術師は不利だというのに、強かった。」
「いいえ、弱いから負けたんです」
「なあ、俺とパーティを組んで旅をしないか?君のような優秀な魔術師を探していたんだ」
「お誘いは嬉しいのですが、私には相方がおります・・・。ごめんなさい」
「そうか・・・残念だ」
ラウルは勝ち残り、次の闘いに進むことになった。
「お疲れ様!さ、回復するよ」
ナディが回復薬を渡してくれた。そして、鎧を外すとダメージの様子を見る。
「見た感じだと打撲位かな。塗り薬で対応しよう」
回復の歌を歌いながら、優しく塗り薬を身体に塗ってくれる。最初の試合の酷い傷に塗った薬とは別のものだという。
「ねね、あの魔術師どうだったの?」
「振られたよ。もう仲間がいるんだそうだ」
「ざんねーん」
「ラウル、魔力は残ってるの?」
「大丈夫だと思うが、この先枯渇するのは間違いないな・・・万全で行けるのは次までか・・・その次か・・微妙なところだ」
「そっか。魔力の回復はすぐにできないから、ごめんね」
「いや、そういうものだと思ってるから大丈夫。ナディはやれることだけやってくれ」
「わかったわ!」
「ラウルー!次はジェマイエフの騎士団長だって!」
「・・・全力で当たらないといけない相手だな。魔力はここまでのようだ。ナディ、重傷を負うかもしれないから頼むな」
「任せて。ハリムの里の秘薬を使ってあげるから!」
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