魔女と弟子

てん

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「弟子、お前はほんとに魔法を覚える気がないな!!」








「ししょう!

あなたはほんとにわからないひとですね!

だから何回もそう言っているじゃないですか!

最近知り合いの名前をよく忘れるとは思ってましたが、ついに私が言ったことも忘れ始めましたか!」








「だからって風呂洗いと洗濯物を乾かすのに私を使うな!

魔法を覚えるか、お前がやるか、どっちかにしろ!」








「お断りします!

ししょう!

あなたは何度も私に魔法を教えたじゃないですか!

懲りずに何度も何度も!

ほんとにもうしつこくて、何度どついたろうかとおもったことか!」







「弟子!

ししょうに対して『どついたろうか』とはどういうことだ!

大体お前がやる気を出さないから悪いのだ!

お前はやる気を出せば魔法を使えるだろうに!

何度も何度も教えても、何度も何度も誤魔化して、何度も何度も煙に巻く!」






「ししょう!

何度も何度もいいましたが、私はほめられてのびるタイプなのです!

ししょうはほめ方が下手なのです!

もうちょっとほめ方を勉強してください!

ししょう!

あなたは世界で一番の魔女、かたや私は魔法もろくに使えないあなたの弟子!

そんな私があなたを何度も何度も誤魔化して、何度も何度も煙に巻くなんて!

すごいことだと思いませんか!?

逆にすごいと思いませんか!?」







「弟子!

お前はすぐに『逆に』というが、私は『逆に』という言葉は好きじゃない!」






「え!?

えーっと、では。

『一周回って』すごいと思いませんか!?」







「どこを一周回るんだ!?

一周回ったら元通りだろうが!」







「さあ!?

やれやれ、ししょう!

またそんなあげあしをとるようなことを言って!

やれやれ、ししょう!

ではでは、世界を一周回りましょうか!?

世界で一番のあなたとならば世界を回ることもできましょう!

世界を一周回ったならば、回る前と回るあとでは世界が違って見えましょう!

私は感性が豊かですから!

世界を回る前とあとでは世界が違って見えましょう!」







「弟子!

お前にだけはあげあしとりと言われたくない!

たしかに私なら、世界で一番の私なら世界を一周することもできるだろう!

世界で一番の私には、世界なんぞもう見飽きたものさ!」








「うわ!

自分で自分のこと『世界で一番』とか言っちゃった!!

自分で自分のこと『世界で一番』とか言っちゃった!!

弟子のことをほめるのはへたなのに、自分をほめることはお上手ですね!!」








「弟子!

ちょっと表に出ろ!

今日という今日は許さんぞ!

今日という今日は逃がさんぞ!

今日という今日は魔法を覚えろ!」







「ぜーーーーーーーったい嫌!!」
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