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第1章 目覚め
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しおりを挟む西門を通り王都の外に出ると簡易の野営地が出来ていた。
数人の冒険者と職員が炊き出しの準備をしている中、森方面を監視できるテントが張られた場所でエヴァンと銀色に輝く騎士鎧を纏った人が言い争いをしていた。
「ふざけるなッ! 冒険者を下げろとはどういうことだ!」
「ゴブリンの襲撃など我々騎士団が抑える。お前ら冒険者は後方で待機していろ」
テーブルを叩きつけて怒鳴るエヴァンと冷静に話す騎士の言い合いは終着しそうにない。
「今はなるべくゴブリンどもを減らすべきだろうがッ!」
「王様の意向だ。速やかに指揮を降りろ。この実戦は勇者様達の初陣だ。邪魔をするな。」
騎士が剣に手を添える。
「俺達、冒険者ギルドは国に属していない! 王様の意向など関係ない!」
「……きさま!」
剣を手に取り斬りかかる騎士にエヴァンは何もせず斬られる。
「エヴァン!?」
倒れるエヴァンを受け止めて、回復魔法をかける。
「お前! 戦場でうろうろするなよ!」
騎士が俺に指を指し、エヴァンごと蹴り飛ばす。
「俺達が戻るまでに飯を作っていろよ! 粗末な飯を出したら叩き斬るからな!」
即時帰還の鐘を鳴らし、冒険者達を森から撤退させる。
騎士は入れ替わりに森に入っていた。
「……うぐッ……」
「エヴァン! 大丈夫か!?」
斬られた傷が治ったエヴァンは意識を戻した。
「こ、ここは?」
「ギルドの執務室だ」
「……あいつらは?」
「森へ入っていったよ。あの後、騎士団長のモルドレッドて奴が来て、野営地をとられた。冒険者は北門から南門の森方面に一定間隔で見張りさせられてる」
「くそがッ!」
ちなみに、逆らったやつは痛め付けられた後に装備を没収されて、ゴブリンを釣る餌として森に連れていかれた。
多くの低ランク冒険者、特に女性の冒険者が見せしめの意味も込めて連れていかれた。
「あいつら、狂ってやがる」
「……くそが」
水桶を持ってルフルさんが部屋に入ってきたので、俺は入れ替わりに部屋を出た。
……こんなの間違っている。
「ゴブリンって、大したことないな」
騎士達が釣ってくるゴブリンを火の勇者火口 聖也は難なく軽々と狩る。
「こいつらを殺るのに抵抗がないのも困ったもんだがな」
刀を持つ侍如月 銀仁朗は生き物を切り殺すことに抵抗がないことに不安があるようだ。
「それは状態異常耐性のおかげだよ。……こらなら美月や佳澄を守りながらでも行けんじゃん」
学校で1、2を争う美女の森下 美月と清水 佳澄に好意がある火口は彼女らを守りながら好感度を上げようとしていた。
「んな簡単に落とせるような奴等じゃないぞ」
ゴブリンを切り殺し如月が火口を諭す。
「やってみないとわからんじゃん!」
剣に火を纏わせて振るう火口の顔は欲望に染まった笑みを浮かべていた。
「これが終わったら、また綺麗な子を抱かせてもらおぅっと!」
彼らを癒すために連れてこられたという若い冒険者を抱こうと意気込む火口に如月は溜め息をこぼしていた。
「……ほどほどにしとけよ。(こっちに染まりすぎだろ)」
「ギンジも抱いとけよ。冒険者として動いてた分、引き締まってて良い感じだからさ」
「……俺はいいんだよ」
如月にも性欲はあるのだが、明らかに無理矢理連れてこられた彼女らを抱こうとは思わなかった。
「勇者様方、次の群れで一旦休憩となります!」
後方で控えていた騎士が彼らに声をかける。
ゴブリン死体の山をセッセッと築く騎士達に火口は次の女を寄越すように言い、如月はヤバイ国かもと思案した。
「怪我をした方は此方に来てくださーい」
野営地に作られた治療所にいる森下と清水は囮となっている冒険者とは知らずに傷を回復魔法で癒していく。
「……はい、これで大丈夫です。ゴブリン退治頑張ってきてください」
健気に自分達を癒してくれる美少女達にゴブリン退治などしていないと言いたい冒険者達は騎士に睨まれて治療所を後にする。
「あ、ありがとう、ございます。それでも、僕たちは……」
「おい! きさま! 治療が終わったら素早く持ち場に戻れ!」
何か言おうとしても騎士が邪魔をして力ずくで外に出していく。
「騎士さん、彼らに手荒なことはしないでください」
「しかし、彼らが戻らなければより多くの者が怪我を負ってしまいます」
清水が騎士に手荒なことはしないように言うが、騎士達は毅然と必要性を訴える。
その言動に後ろめたさなど微塵も感じない。
「ねぇ、美月、如月君、大丈夫かな?」
「あれ、あれ? 佳澄、如月君狙い?」
「え!? ち、違うよー」
耳まで真っ赤になる清水を見た森下は親密になれるように取り計らおうと心に決めた。
「み、美月! 次の人来たよ!」
「もう、しょうがないなー」
彼女達は怪我している人達を次々と回復魔法で癒していく。
囮で使われている冒険者とは知らずに……。
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