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第1章 目覚め
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しおりを挟むゴブリン達を迂回して森に入った俺は気配を消して枝の上を移動していた。
風を纏うことで体が軽くなり機動力も上がったためにできる芸当だ。
先行するビャッコの後ろを付いて行くと、切り開かれた場所にたどり着いた。
「ゴブリンの村か?」
背の低い粗末な建物が並ぶ場所はホブゴブリン達が彷徨いており、奥には少し大きめの建物がある。
こんな村?が形成されていたら発見される気がするんだが、今まで見つかっていなかったのだろう。
「ユゲッ!」
ホブゴブリンが数体隊列を組んで森の中へ向かっていく。
先ほど指示を出したと思われる三角帽子を被り、本を持っている個体が指揮者なのかもしれない。
ビャッコを脇に抱えて、気配を消したまま屋根の上に音もなく着地し、奥の建物の様子を探る。
「……不味いな」
マップに表示された建物の中には敵対していない者を表示する青点が数十人表示されており、それを囲うように赤点が表示されていた。
そして、この中でも一回り大きい赤点。
これがこの群れのボスな気がする。
……ボウゥ
目の前に迫る火球を避け、屋根から飛び降りる。
「グゼモノ! ヤレ!」
三角帽子に見付かったようでホブゴブリンに周りを囲まれてしまった。
「ガウッ!」
背中は大きくなったビャッコが威嚇してくれている。
前列は盾と剣を持ったホブゴブリン、1列後ろは槍を持ったホブゴブリン。
飛んできた矢を剣で弾く。
三角帽子の横に弓を持ったホブゴブリンが2体か。
三角帽子は魔力を練っているようで、何かブツブツ呟いている。
「させるかよ! 風刃!」
周囲に風魔法の風刃を発動し、数体減らすことができた。
三角帽子も風刃を避けるのに魔力を霧散させたので妨害成功だ。
「ゴッ!」
槍を持ったホブゴブリンが突いてきたのでかわして槍の柄を握り引き寄せる。
体制を崩した所を首を狙って剣を振るう。
「ガウッガウッ!!!」
流石は神聖霊獣。
風属性の球体が4つビャッコの周りに現れ、包囲しているホブゴブリン達目掛けて飛んでいき爆発する。
槍を弓兵に投擲して、体を貫く。
槍兵2体の突撃を間を縫うように避け、剣を収納と同時にブレードディアの短剣を両手に出し、すれ違い様に首を狩る。
短剣は魔力流動率が良く、なんの抵抗もなく首を狩れた。
飛んできた矢を避けて、右手の短剣を弓兵に投擲。
次の矢を準備しようとしていた弓兵の頭に当たり、そのままぶっ倒れた。
「ビヨ! ヅラヌゲ!」
魔法を完成させた三角帽子は火槍を飛ばしてきた。
「水槍!」
無詠唱で唱えた水槍は火槍にぶつかり消滅する。
三角帽子が驚いた隙に短剣を投擲して命を刈り取る。
「ぐるぅ!」
ホブゴブリン達を始末し終えた。
「グゾオオオォォォ!!!」
大きめの建物の入り口に体格の良い緑色の大男が立っていた。
ゴブリンジェネラル。
群れを統率するゴブリンの将軍。
建物の前にはゴブリンナイトが5体いて、各々剣や槍を構えていた。
「お前は! 何でいるんだ!!」
後ろから聞こえた声に振り向けば、昼間にいた騎士が叫んでいた。
側には男子高生達だけでなく、女子高生達もいた。
周りにいる騎士達はゴブリンの残党を始末したり、数人でホブゴブリンを相手にしていた。
「ポーターの分際で前線に立ちおって! 死にたいようだな!」
「え!? なぜ、あの人の周りにホブゴブリンが……」
叫んでいる騎士は気づいていないようだが、高校生達は気づいたようだ。
「くくく、どうやら、お前がこの襲撃を扇動していたようだな!!」
「……気が触れてやがる」
何を思ってか俺に突っ込んでくる騎士達。
それとほぼ同時に仕掛けてくるゴブリンナイト達。
前後から突っ込んでくるので屋根の上に飛び上がる。
直後、激突した騎士とゴブリンナイトの乱戦。
いまだに叫ぶ騎士の側で高校生達は困惑ぎみだ。
まぁ、戦力にならないはずのポーターがホブゴブリンと戦って倒してあるのだから困惑するわな。
「……あいつが扇動を? ふざけるなよ!」
あれ? 火口君に睨まれてんな……。
「いやいや、そんな風には見えないけどな」
ゴブリンナイトに矢を射る俺を見ているもう一人の男子高生はまともな感じだ。
「そうだね。騎士達に当たらないように矢も射ってるみたいだし、悪い人には見えないよ」
賢者ちゃんの言葉に女勇者ちゃんも頷いている。
……良い子等やな、火口君以外は。
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