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第1章 目覚め
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しおりを挟む「国王が亡くなった!?」
俺たちがダンジョンに潜っている間に国王が亡くなったとエヴァンから聞いた。
王都中が悲しみにくれているそうだ。
確かにダンジョンから帰ってきた王都はどんよりと雰囲気が重かった気がする。
あの重さはおバカな神様に出くわしたためにリリィ達との空気が重かったためではなかったようだ。
そのリリィ達はというと、国王が亡くなった事にはピンときておらず、ダンジョンで会った神様のことで頭の中が一杯なようだ。
まぁ、元々この国の人じゃないから悲しみがないのも解る気はするがな。
エヴァンにダンジョン踏破の報告をし、宿に戻った俺たちは当たり障りのない会話をしながら夕食を食べ、寝床に入った。
リリィ達には今日の出来事を考える時間が必要な気がしたので、整理がつくまでは休みとするかな。
「王都中が悲しみにくれているにも関わらず、何故7つ目が光らんのだ」
王様が使っていた執務室には4人の人が集まっていた。
王の使っていたデスクに滅紫色の鉱石を置いたゴルロイスは外の様子を眺めながらため息をついた。
「これ以上の悲しみか……。アーサーも殺すか?」
モルドレッドの言葉に薄く笑うエレイン。
「そんなことしなくても良いのですよ」
「エレイン様、他に方法があるのですか?」
エレインの言葉にアーサーを殺す以外の方法があるのかと聞くヴィヴィアン。
「もう、充分なのですよ」
その言葉に振り返ったゴルロイスは自身の目を疑った。
「な、なんだ!? その羽根は!?」
モルドレッドとヴィヴィアンもエレインの背から生える黒い羽根に驚き固まっていた。
「……私はベリアル。傲慢を司る悪魔。お役目ご苦労様」
その言葉を聞いたものはいない。
ゴルロイスとモルドレッド、ヴィヴィアンは首に1枚の黒い羽根が刺さっていて、意識がないのかダラリと床やソファーに倒れていた。
デスクにある滅紫色の鉱石を手繰り寄せる。
「目覚めなさい」
鉱石から3つの珠の光を取り出し、3人の方へ飛ばす。
スッと体の中へ入った途端に3人の姿が変貌する。
シワのあったゴルロイスは20代ぐらいに若返り、出ていた腹がへこんだ。
頭にはマーコールという種類の山羊の角に似た厳つい角が生え、背には蝙蝠に似た羽根が生えていた。
赤黒い洗礼された服装に身を包むゴルロイスだった者は高良かに嗤う。
「ようやくか。永かった」
「間に合わせではありますが、サタン様の体にお合いでしょうか?」
「問題ない」
サタンが顕現するためにゴルロイスの体を使ったベリアルは異変がないか確認をした。
「で、これからどうすんの? レヴィアタン」
「サタン様、アスタロト様の復活に祝福を。ベリアルの働きに感謝を。これからはとりあえず人を喰って力を蓄えるのはどうでしょう?」
モルドレッドだった体の変化は、ブラックバックという種類の山羊の角が頭に生え、背には黒い天使のような羽根が生えていた。
騎士鎧の上から深碧色のマントを新たに羽織っていた。
モルドレッドだった者アスタロトはヴィヴィアンだった者レヴィアタンにこれからどうするのか聞いた。
ヴィヴィアンだった体の変化は、白目がなくなり全体が紺色の蛇のような目になり、肌には爬虫類の鱗が生えていた。
レヴィアタンはサタンとアスタロトの復活を祝福し、ベリアルの働きを誉めてから、今後の動きを提案する。
サタンとアスタロトが頷き、ベリアルへ目配せをする。
「息の良いのが何名か居ります。そのまま食べられても構いませんが、ベルゼビュートにマモン、アスモデウスの復活に使えるかと」
「揃えるのが先だな。この街を食い尽くした後は相性の良い土地で力を蓄えればいいんじゃないか?」
ベリアルの提案を肯定し、この街を破壊して他の土地へバラバラになろうとアスタロトが言う。
サタンが頷き、それぞれが動き出す。
ベリアルが3人を連れて王城を歩き回る。
彼らの通った後に息をするものは居なかった。
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