転生JKの推しはワンコ系王子様!推しの恋愛後押ししてたはずが何故か私が溺愛されていました

蓮恭

文字の大きさ
30 / 33

30. ジョージって誰よ⁉︎

しおりを挟む

 大変な騒ぎになったと、大広間は好奇と失望とそれにこれから先どうなるのかという期待で包まれている。

 集まった貴族たちのほとんどは今回のことに無関係な者たちだから、蚊帳の外でこの断罪を楽しんでいるように見えた。

「国王陛下、恐れながら王太子ロレシオは正直に発言いたします」
「よし! 許すぞ! 王太子よ、美香様はジェレミーに騙されて婚姻を結ばされようとしておる。お前が助けなければこの国は大変なことになろうぞ」

 ロレシオは自分の味方だと信じて疑わない国王陛下は、ロレシオの発言を今か今かと待ち侘びている。

「陛下、ジェレミーの申したことは全て真実です。何故なら私も一緒に調べ上げた事実ばかりだからです。陛下と宰相、そしてリッシュ伯爵家やその縁故の者たちが犯した罪は全て把握しております。国宝を数多く他国へ流したことは大変な罪です。もしその宝を利用して戦を仕掛けられるようなことがあればどうするつもりだったのですか?」
「そ、そんなことは……あるわけがない。儂はただ……、金に変えろと言っただけで……。戦になるようなことは……」
「国王陛下、ご存知でしょう? 宰相の妻は元々隣国の貴族です。今、隣国の一部の者がこの国に戦を仕掛けようとしているという情報があるのですよ。その者たちに戦の資金源として国宝が渡っていることを確認しました。これは大変な罪となります。分かりますよね?」

 それって、まさかあの『外患誘致罪がいかんゆうちざい』みたいなもの?
 すごく怖い話だったから、私も病室で本を読んで調べたことがあった。
 日本だったら死刑だよ。

「王太子! 其方は何故儂を追い落とそうとするんだ⁉︎    ジェレミーに美香様を奪われて悔しくはないのか⁉︎」
 
 国王陛下、そんなことこんな大衆の面前で言うことないのに。
 どうしてジェレミーとロレシオの父親がこんな人の気持ちも考えられない人なんだろう。

「国王陛下、ジェレミーと美香様は心から愛し合っているのです。謀りごとなどそこには存在しません。それに、今から貴方は国王ではなくなりますからね。私も忙しくなるでしょうから、ジェレミーにはしっかりと私の補佐をしてもらうことにしています」
「な、なんだと⁉︎    どういうことだ⁉︎」

 長年すれ違っていたジェレミーとロレシオが分かり合えたなんて想像もしていなかったんだろう。
 国王陛下の狼狽ぶりは大変なものだった。

「ここに集まる皆に宣言する! 国王陛下は罪を犯した。この国の平和を乱すような大変な罪だ。よって、ただ今をもって国王の地位を剥奪し、罪を償ってもらおう。異議のあるものは今ここで申し立てよ!」

 宰相も、リッシュ伯爵も、そして恐らくその縁故者である貴族数名も青い顔をして震えているばかりで何も言わない。

「それでは、正式な王位継承の儀までは仮に私がまつりごとを行う。それで良いか?」

 広間に集まった貴族たちはやっと事の大きさに理解が追いついたのか、皆が頭を下げて新しい国王となるロレシオに敬意を表した。

 そんな中、アニエスだけは歯を食いしばってドレスを強く握りしめている。

! あの女を殺して!」

 そう叫んだかと思えば、玉座の脇で王族を守るはずの騎士が一人私の方へと走り寄って来ている。

 アニエス! ジョージって誰よ⁉︎

 その騎士は、鎧を身につけたその隙間からギラついて血走った目をしているのが見えた。  

「アニエスの為に! 死ねぇー!」

 もう、こんなことってあるの⁉︎
 頭では警報が鳴り響いて逃げろと言うのに、足は動かない。
 アニエスってば、どうやってこのジョージ騎士を籠絡したんだろうか、とかどうでも良いことばかり考えてしまう。

 早く逃げなきゃ、早く……!

 走り寄りながらその騎士は、腰に差した長剣をスラリと抜き、その妖しく輝く刀身で斬りかかってきた。

 ゆっくりとスローモーションでその場面が流れていくのに、私の足も身体も何も動かない。
 声を出すことも出来ずに、ただ斬りかかってくる騎士を見つめていた。

「美香ッ!」

 ガキンッ!と騎士の剣を受けたのは、ジェレミーの剣で。
 騎士の一撃を防いだジェレミーが素早く自らの剣で斬り返して、すぐ目の前で騎士と斬り結んでいる。

「アニエス・オブ・リッシュを捕らえよ!」

 我に帰ったロレシオがそう命じれば、騎士たちがアニエスの方へと向かう。
 同時にジェレミーと斬り結んでいる騎士は、横目でアニエスの方を見てから叫んだ。

「アニエス様!」

 その隙にジェレミーは目の前のジョージという騎士の剣を跳ね飛ばした。
 ジョージの剣は大広間の中でクルクルと回転して床に突き刺さり、パキンと真っ二つに折れた。

 それからはアニエスは騎士たちに連行され、ジョージという騎士も連行された。
 

 

しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい

咲桜りおな
恋愛
 オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。 見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!  殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。 ※糖度甘め。イチャコラしております。  第一章は完結しております。只今第二章を更新中。 本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。 本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。 「小説家になろう」でも公開しています。

【完結】ヒロインに転生しましたが、モブのイケオジが好きなので、悪役令嬢の婚約破棄を回避させたつもりが、やっぱり婚約破棄されている。

樹結理(きゆり)
恋愛
「アイリーン、貴女との婚約は破棄させてもらう」 大勢が集まるパーティの場で、この国の第一王子セルディ殿下がそう宣言した。 はぁぁあ!? なんでどうしてそうなった!! 私の必死の努力を返してー!! 乙女ゲーム『ラベルシアの乙女』の世界に転生してしまった日本人のアラサー女子。 気付けば物語が始まる学園への入学式の日。 私ってヒロインなの!?攻略対象のイケメンたちに囲まれる日々。でも!私が好きなのは攻略対象たちじゃないのよー!! 私が好きなのは攻略対象でもなんでもない、物語にたった二回しか出てこないイケオジ! 所謂モブと言っても過言ではないほど、関わることが少ないイケオジ。 でもでも!せっかくこの世界に転生出来たのなら何度も見たイケメンたちよりも、レアなイケオジを!! 攻略対象たちや悪役令嬢と友好的な関係を築きつつ、悪役令嬢の婚約破棄を回避しつつ、イケオジを狙う十六歳、侯爵令嬢! 必死に悪役令嬢の婚約破棄イベントを回避してきたつもりが、なんでどうしてそうなった!! やっぱり婚約破棄されてるじゃないのー!! 必死に努力したのは無駄足だったのか!?ヒロインは一体誰と結ばれるのか……。 ※この物語は作者の世界観から成り立っております。正式な貴族社会をお望みの方はご遠慮ください。 ※この作品は小説家になろう、カクヨムで完結済み。

行き遅れにされた女騎士団長はやんごとなきお方に愛される

めもぐあい
恋愛
「ババアは、早く辞めたらいいのにな。辞めれる要素がないから無理か? ギャハハ」  ーーおーい。しっかり本人に聞こえてますからねー。今度の遠征の時、覚えてろよ!!  テレーズ・リヴィエ、31歳。騎士団の第4師団長で、テイム担当の魔物の騎士。 『テレーズを陰日向になって守る会』なる組織を、他の師団長達が作っていたらしく、お陰で恋愛経験0。  新人訓練に潜入していた、王弟のマクシムに外堀を埋められ、いつの間にか女性騎士団の団長に祭り上げられ、マクシムとは公認の仲に。  アラサー女騎士が、いつの間にかやんごとなきお方に愛されている話。

攻略なんてしませんから!

梛桜
恋愛
乙女ゲームの二人のヒロインのうちの一人として異世界の侯爵令嬢として転生したけれど、攻略難度設定が難しい方のヒロインだった!しかも、攻略相手には特に興味もない主人公。目的はゲームの中でのモフモフです! 【閑話】は此方→http://www.alphapolis.co.jp/content/cover/808099598/ 閑話は最初本編の一番下に置き、その後閑話集へと移動しますので、ご注意ください。 此方はベリーズカフェ様でも掲載しております。 *攻略なんてしませんから!別ルート始めました。 【別ルート】は『攻略より楽しみたい!』の題名に変更いたしました

転生したので推し活をしていたら、推しに溺愛されました。

ラム猫
恋愛
 異世界に転生した|天音《あまね》ことアメリーは、ある日、この世界が前世で熱狂的に遊んでいた乙女ゲームの世界であることに気が付く。  『煌めく騎士と甘い夜』の攻略対象の一人、騎士団長シオン・アルカス。アメリーは、彼の大ファンだった。彼女は喜びで飛び上がり、推し活と称してこっそりと彼に贈り物をするようになる。  しかしその行為は推しの目につき、彼に興味と執着を抱かれるようになったのだった。正体がばれてからは、あろうことか美しい彼の側でお世話係のような役割を担うことになる。  彼女は推しのためならばと奮闘するが、なぜか彼は彼女に甘い言葉を囁いてくるようになり……。 ※この作品は、『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。

【完結済】私、地味モブなので。~転生したらなぜか最推し攻略対象の婚約者になってしまいました~

降魔 鬼灯
恋愛
マーガレット・モルガンは、ただの地味なモブだ。前世の最推しであるシルビア様の婚約者を選ぶパーティーに参加してシルビア様に会った事で前世の記憶を思い出す。 前世、人生の全てを捧げた最推し様は尊いけれど、現実に存在する最推しは…。 ヒロインちゃん登場まで三年。早く私を救ってください。

記憶喪失の私はギルマス(強面)に拾われました【バレンタインSS投下】

かのこkanoko
恋愛
記憶喪失の私が強面のギルドマスターに拾われました。 名前も年齢も住んでた町も覚えてません。 ただ、ギルマスは何だか私のストライクゾーンな気がするんですが。 プロット無しで始める異世界ゆるゆるラブコメになる予定の話です。 小説家になろう様にも公開してます。

処理中です...