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2. 幼馴染と思ったら
しおりを挟む「ソフィア!今、いいか?」
「あ、トーマス!ちょっと待ってて!」
お隣の肉屋の息子トーマスとは幼馴染で、今日も食材の配達に来てくれたみたい。
「トーマス、すぐ行くから悪いけど裏口へお願い。」
「分かった。」
今入ってる注文を捌いたらトーマスから食材を受け取らなきゃ。
「アントン騎士団長さん、お待たせしました。麦酒のおかわりです。」
「ねえソフィア、さっきの彼は恋人かな?」
「いやいや!アントン騎士団長さん、恋人じゃないですよ!ただの幼馴染です!」
突然アントン騎士団長さんがおかしなことを聞いてきたから思わず大きな声で否定してしまった。
「そうなんだ。ソフィアは恋人はいないの?」
青くて綺麗な目で見つめながら優しく聞かれると、街中のお姉さん方ならきっとホイホイついて行っちゃうよね。
「居ませんよ。行き遅れってみんなから心配されてますけど……。良い縁がないんだから仕方ないですよね!」
「そっか。ごめんね、手を止めちゃって……頑張って。」
アントン騎士団長さんは笑顔で手を振って頑張れと言ってくれた。
裏口に着くとトーマスがすでに食材を冷蔵庫へ運んでくれていたので助かった。
「ごめん、トーマス。ありがとう。」
「いや、それよりソフィア……俺ってただの幼馴染?」
「え?」
まさか聞こえてたとは思わず、ただの幼馴染って言葉がまずかったかと反省する。
「さっき、アントン騎士団長に話してただろ。」
「聞いてたの?」
珍しく不機嫌な表情をしたトーマスは、私の両手をギュッと握った。
「俺、ソフィアのこと好きだから!ただの幼馴染じゃなくて……。だから、考えといて!」
「考えとくって……。」
「だから!幼馴染じゃなくて、恋人になってくれってことだよ!」
短く切った黒髪をガシガシと掻いて、トーマスは赤らめた顔をプイッと背けた。
トーマスがそんな風に私のことを思ってたとは知らなくて、言葉がなかなか出てこなかった。
「いいか、とにかく考えといてくれよな。」
そう言ってトーマスは裏口のドアから出て行った。
「そんな急に言われても……。」
呆然とその場に残された私は、一人呟いた。
その日のお店は忙しかったから、トーマスの言ったことはすぐに頭から抜けてしまったけど、ベッドに入ってからは言われた事をグルグルと何度も考えてしまった。
小さな頃からお隣の肉屋さんの息子で、いつも一緒に遊んでて。
幼い頃は私の方が背も大きかったのに、いつの間にか抜かされてしまっていた。
「そんなトーマスが、私のことを好き……。」
それでもまだ実感なんかなくて、次に会った時にトーマスの顔をどうやって見ればいいのか心配になった。
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