20 / 29
20. え?領主様だったの?
しおりを挟む夜は酒場のフォンドールも、昼間は私が讃岐うどん屋をすることになった。
それによって酒場の方は新しくホールに男性店員と女性店員を雇うことになり、私は昼間のうどん屋だけをすることになる。
昼間は店名も変えてシンプルに『うどん屋』という名前にした。
この世界でうどんは存在しないから、讃岐うどんの店はここ『うどん屋』しかない。
日本人の前世の記憶がある私からしたら、『うどん屋』と言う響きが馴染みがあるし、この世界の人が讃岐うどんに親しみを持ってもらいたくて決めた。
さあ、もうそろそろ今日もうどん屋開店!
「いらっしゃいませ!何にしますか?」
「えっとー、かけうどんときつねうどん。あと、野菜の天ぷら盛り合わせ一つ。」
「はい、お待ちください。」
うどん屋の方は厨房に真面目で勉強熱心なレナという女性店員を一人雇って、私はお客さんに説明ができるようにホールに出ることにした。
「いらっしゃいませ!何にしますか?」
「わかめうどんとぶっかけうどん、きつねうどんとエビの天ぷら三つください。」
「はい、お待ちくださいね!」
このうどん屋では箸も置いてあるが、フォークの先が二つに分かれていて少し間の広い、うどん専用の食器も置くことにした。
これが結構好評で、はじめはフォークもどきで食べているうちに常連さんになるほど箸を使いたがり、使い方が上達している人も増えた。
「すみません、こちらにソフィアさんという方はいらっしゃいますか?」
「はい、私ですけど。」
「私はクリスと申します。我が主人が怪我を致しまして、こちらに来れないので、私が代わりにこれをお持ちいたしました。」
「……大豆と小麦粉?フィリップさん?」
「左様でございます。主人の名は、フィリップ・フォン・ゴルダン。ゴルダン領の領主でございます。」
「……へ?領主様?え?」
初めて会った時農夫のような格好で大豆畑にいて、大豆のことを説明してくれたフィリップさんを思い出してみるけど、全く領主感なかったけど?
「やはりご存知なかったのですね。我が主人は頻繁に民と交流を図られるお方なので、きっと畑ででもお会いしたのでしょうが、正真正銘ゴルダン領主でございます。」
「……そ、それでお怪我をされたとお聞きしましたが、フィリップさん……いえ、領主様は大丈夫なんですか?」
「それが……。ベッドから起き上がれない状態でして。是非お見舞いに来ていただけないでしょうか?」
フィリップさんにはすごくお世話になっているから、しかも領主様というお忙しい立場にも関わらずいつも配達してくれてたなんて……。
「はい。それでは参ります。」
その日臨時休業にしてすぐにクリスさんと一緒にゴルダン領へと向かった。
0
あなたにおすすめの小説
32歳、恋愛未経験の私に彼氏ができました。お相手は次期社長で完璧王子なのに、なぜか可愛い。
さくしゃ
恋愛
32歳、恋愛未経験の私に彼氏ができました。お相手は次期社長で完璧王子なのに、なぜか可愛い。
「甘酒って甘くないんだ!」
ピュアで、
「さ、さお…ふしゅうう」
私の名前を呼ぼうとして呼べなくて。
だけど、
「し、しゅ…ふしゅうう」
それは私も同じで。
不器用な2人による優しい恋愛物語。
果たして私たちは
「さ…ふしゅぅぅ」
下の名前で呼び合えるのでしょうか?
料理スキルしか取り柄がない令嬢ですが、冷徹騎士団長の胃袋を掴んだら国一番の寵姫になってしまいました
さら
恋愛
婚約破棄された伯爵令嬢クラリッサ。
裁縫も舞踏も楽器も壊滅的、唯一の取り柄は――料理だけ。
「貴族の娘が台所仕事など恥だ」と笑われ、家からも見放され、辺境の冷徹騎士団長のもとへ“料理番”として嫁入りすることに。
恐れられる団長レオンハルトは無表情で冷徹。けれど、彼の皿はいつも空っぽで……?
温かいシチューで兵の心を癒し、香草の香りで団長の孤独を溶かす。気づけば彼の灰色の瞳は、わたしだけを見つめていた。
――料理しかできないはずの私が、いつの間にか「国一番の寵姫」と呼ばれている!?
胃袋から始まるシンデレラストーリー、ここに開幕!
神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!
カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。
前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。
全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!
「25歳OL、異世界で年上公爵の甘々保護対象に!? 〜女神ルミエール様の悪戯〜」
透子(とおるこ)
恋愛
25歳OL・佐神ミレイは、仕事も恋も完璧にこなす美人女子。しかし本当は、年上の男性に甘やかされたい願望を密かに抱いていた。
そんな彼女の前に現れたのは、気まぐれな女神ルミエール。理由も告げず、ミレイを異世界アルデリア王国の公爵家へ転移させる。そこには恐ろしく気難しいと評判の45歳独身公爵・アレクセイが待っていた。
最初は恐怖を覚えるミレイだったが、公爵の手厚い保護に触れ、次第に心を許す。やがて彼女は甘く溺愛される日々に――。
仕事も恋も頑張るOLが、異世界で年上公爵にゴロニャン♡ 甘くて胸キュンなラブストーリー、開幕!
---
下賜されまして ~戦場の餓鬼と呼ばれた軍人との甘い日々~
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王宮から突然嫁がされた18歳の少女・ソフィアは、冷たい風の吹く屋敷へと降り立つ。迎えたのは、無愛想で人嫌いな騎士爵グラッド・エルグレイム。金貨の袋を渡され「好きにしろ」と言われた彼女は、侍女も使用人もいない屋敷で孤独な生活を始める。
王宮での優雅な日々とは一転、自分の髪を切り、服を整え、料理を学びながら、ソフィアは少しずつ「夫人」としての自立を模索していく。だが、辻馬車での盗難事件や料理の失敗、そして過労による倒れ込みなど、試練は次々と彼女を襲う。
そんな中、無口なグラッドの態度にも少しずつ変化が現れ始める。謝罪とも言えない金貨の袋、静かな気遣い、そして彼女の倒れた姿に見せた焦り。距離のあった二人の間に、わずかな波紋が広がっていく。
これは、王宮の寵姫から孤独な夫人へと変わる少女が、自らの手で居場所を築いていく物語。冷たい屋敷に灯る、静かな希望の光。
⚠️本作はAIとの共同製作です。
乙女ゲームの中の≪喫茶店の店長≫というモブに転生したら、推しが来店しました。
千見るくら
恋愛
社畜OL、乙女ゲームの世界に転生!?
でも私が転生したのは――女主人公でも攻略対象でもなく、ただの喫茶店の店長(モブ)だった。
舞台は大人気乙女ゲーム『ときめき☆青春学園~キミの隣は空いてますか?~』。
放課後、女主人公と攻略キャラがデートにやってくるこの店は、いわば恋愛イベントスポット。
そんな場所で私は、「選択肢C.おまかせメニュー」を選んでくる女主人公のため、飲料メーカーで培った知識を駆使して「魂の一杯」を提供する。
すると――攻略キャラ(推し)の様子が、なんかおかしい。
見覚えのないメッセージウインドウが見えるのですが……いやいや、そんな、私モブですが!?
転生モブ女子×攻略キャラの恋愛フラグが立ちすぎる喫茶店、ここに開店!
※20260116執筆中の連載作品のショート版です。
魔力ゼロと捨てられた私を、王子がなぜか離してくれません ――無自覚聖女の王宮生活――
ムラサメ
恋愛
伯爵家で使用人同然に扱われてきた少女、エリナ。
魔力も才能もないとされ、義妹アリシアの影で静かに生きていた。
ある日、王国第一王子カイルの視察で運命が動き出す。
誰も気づかなかった“違和感”に、彼だけが目を留めて――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる