殿下、真実の愛を見つけられたのはお互い様ですわ!吸血鬼の私は番いを見つけましたので全力で堕としにかかりますから悪しからず

蓮恭

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19. 無事伯爵領の邸に到着しましたわ

 翌日も結局双子たちはアドリエンヌと馬車に乗りたがり、昨日少し気まずい雰囲気になったことを気にしたアレックスはホッとしていた。

「アドリエンヌ!見て。遠くの方に木がいっぱい見えてきたでしょう?あれが私たちの領地だよ。」
「僕らの領地は木がいーっぱい生えてて鹿もいるんだよ!」

 双子たちは窓から見える景色を指差して嬉しそうにアドリエンヌに話した。
 アドリエンヌも、窓の外に広がる青々とした森林に心を躍らせた。

「まあ素敵ね。森には可愛い鹿がいるのね。見てみたいわ。」




 周囲が薄暗くなり、やっと領地の伯爵邸に着いた時には双子たちは疲れ果てていたが何とか目を開けていた。

「「眠いよー。」」
「頑張ったわね。良い子にしてたから、疲れたでしょう。」

 アドリエンヌと双子たちが馬車から降りると、アレックスが出迎えた。

「ようこそ、伯爵邸へ。マリー、フィリップ、アドリエンヌ嬢を邸内に案内して。」
「「はーい!アドリエンヌ、こっち!」」

 双子たちに手を引かれて玄関ホールまで来ると、初老の男性がボウアンドスクレープでアドリエンヌたちを出迎えた。

「アドリエンヌ様、私は伯爵家の家令を務めさせて今だいております、マシューと申します。皆様お疲れでございました。部屋の支度は整っております。アドリエンヌ様には二階の客間をご用意しました。晩餐も準備はできておりますのでどうぞ。」
「マシュー、ありがとう。これから宜しくお願いしますわね。」

 アドリエンヌは家令のマシューに感謝の言葉を述べた。

「「アドリエンヌ、二階はこっちだよ!マシュー、案内するね!」」
「お待ちになって。気をつけなければ転んでしまうわよ。」

 走って階段を駆け登る双子たちに吸血鬼のアドリエンヌは息を切らせることもなく追いつき、ハアハアと呼吸の荒い二人を片腕ずつに抱き上げた。

「「うわー!アドリエンヌ力持ち!」」
「そうでしょう?お部屋はどちらかしら?」
「「あっちー!」」

 二階の客間に案内されたアドリエンヌは、旅装から着替えようとしたが、伯爵邸にはどれくらいの侍女がいるのかどうか聞いていなかった為に呼ぶのが憚られた。

「マリーとフィリップに聞いておけば良かったわ。」

 ポツリと呟いたアドリエンヌは、部屋に運ばれた荷物の中から何とかワンピースを探し出して着替えたのだった。


――コンコンコン……

「アドリエンヌ嬢、晩餐に行きませんか?」

 アレックスが晩餐の誘いに来たので、アドリエンヌは共に食堂へ向かった。



「アドリエンヌ嬢、双子たちとの旅路は疲れたでしょう。申し訳なかったね。」

 先に席についていた伯爵がアドリエンヌに言葉をかけた。
 双子たちは夫人の隣でワイワイと話している。

「いいえ、とても楽しかったですわ。マリーとフィリップは優しくて良い子たちですから。」
「本当のことを言っていいんですよ。兄である僕ですら疲れるんですから。」
「まあ、アレックス様。私は嘘はつきませんことよ。本当に楽しかったのです。」

 そう言ってアレックスとアドリエンヌは笑い合った。
 伯爵もそんな二人を見てどこかホッと安心したようだった。



「お料理はハーブや野菜がたくさん使われているのですね。こちらも邸内で作られているのですか?」

 伯爵家の晩餐は野菜が多く使われており、そのどれもがとても美味しいとアドリエンヌは絶賛した。

「そうですの。タウンハウスではアドリエンヌさんもお手伝いしていただきましたけれど、こちらでは使用人もいますからもっと大規模な畑をつくっているのですわ。」

 夫人が答えると、伯爵は思い出したかのようにアドリエンヌに礼を述べた。

「そういえばタウンハウスでは畑仕事など手伝ってくれたそうで、どうもありがとう。アドリエンヌ嬢はとても働き者で助かるのだとアレックスから聞いたよ。」
「父上!」
「なんだ、本当のことだろう。」

 伯爵から聞いたアレックスの褒め言葉は、アドリエンヌの心を温かくした。

「こちらのお邸でも、森林の作業の合間に時間ができた時にはまたお手伝いさせてくださいね。」
「それは助かります。アレックス、よかったな。」

 伯爵に話を振られたアレックスは、少しばかり頬が赤らんで視線を逸らしたが軽く頷いた。


 




 
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