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26. やってしまった
しおりを挟むそれからも、気は重かったけど講義を聞きに来てくれる罪のない人たちのためにと王城へ通っていた。
今日も無事講義が終わり、今まで講義で共有した私の知識はあれからこの世界のために役立っているという報告も受けてとても嬉しかった。
それなのに……。
「ユリナ様、ごきげんよう。申し訳ないのですが、今日はユリナ様にお願いがありますの。」
悪役令嬢サブリナは、全く悪いと思っていないであろう態度で話しかけてくる。
「何でしょう?」
「貴女が私の婚約者であるアレクサンドル様といつまでも同じ邸で住んでらっしゃるのはおかしいのではなくて?そこで、陛下にお願いして貴女専用の邸を用意してもらっておりますから、そこが整い次第移ってくださいな。」
勝手なことばかり言うサブリナ嬢に対して、最近ずっと我慢していた怒りが爆発してしまった。
「貴女や陛下のように、自分勝手で人の気持ちも汲み取れない人たちが高貴な人間だなんて笑わせるわ!アレクは貴女たちの所有物でも何でもないんだから!
」
一気に言い放った後にハアハアと息を切らしていると、サブリナ嬢が叫んだ。
「不敬罪よ!いくら異世界からの客人とはいえ、私と陛下のことを侮辱するなんて!誰か!この女を引っ捕らえなさい!」
やってしまった。ジャンはどうなるんだろう。
私が感情を抑えきれなかったせいでジャンに何かあれば死んでも死にきれない。
「私のことは好きに処罰してください。そのかわりジャンには手を出さないで。」
それを聞いて口元に弧を描いたサブリナ嬢は、捕らわれている私の近くへと寄り、扇で口元を隠しながらそっと声を発した。
「よろしくてよ。貴女がずっと囚われの身になるならば。その知識だけを人に共有してくだされば、貴女は必要ありませんもの。」
そのまま兵に捕らわれて、地下にある少し綺麗めの牢に入れられた。
私が帰らなければアレクもジャンも心配すると思うけど、それでもとにかく今はここでこれからどうすればいいのか考えよう。
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