獣人たちは必ず僕に恋をする ~化け狸編~

千來

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Data6. 僕のこと好きだからですか?

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「さっきから独りよがりなこと言って全く意味わかんないんですけど。だから、主任は何者か教えてくださいよ!」

「何だっていいだろ」

「何でそんなに僕とエッチしたいんですか?」

堂々巡りのやりとりに、海晴は苛立って大きい声になる。

「俺がこうなったのはお前のせいだからだ。お前は責任を取る義務がある」

「僕のせい……?」

過去の記憶をさかのぼってみたが、まるで思い当たる節がない。

「それだけじゃわかんないですよ! ヤリたいなら他の人とヤればいいじゃないですか! そうじゃなきゃ、きちんと説明してくださいよ!」

「別れ際の女みたいにいちいちうるせぇなぁ」

「僕のこと好きだからですか?」

「っ……好きじゃねぇよ!」

たじろぎ、強がって否定する三好が幼く見えて、海晴は少し笑いそうになった。

「嘘。さっき、片想いしてるって言ったじゃないですか。ちゃんと自分の気持ちを言ってください」

真面目な目で問い詰めると、うざったそうにしていた三好が視線を下に落とした。
何かを決意したような表情の後、真剣な眼差しで海晴に向き合う。

「…………好きだ。愛してる」

(えっ…………!)

その瞬間、海晴の心臓がドクン、と大きく跳ね上がった。

『愛してる』

思っていなかった言葉だけに、急に身体がカッと熱くなり、赤面して海晴は困った顔になる。

(愛してるだなんてリアルで言われたのは初めてだ。いや、何ドキドキしてんだよオレ……)

強烈な告白のせいで、これまでの三好の行動一つ一つに意味があったのではないかと思うと、感情が掻き乱され、鼓動が速まっていく。

「俺の意志じゃない……」

三好は顔を歪ませて、左手で顔を覆って膝をついた。

「主任……?」

どうしたのかと顔を覗き込もうとすると、三好が突然押し倒してきた。
抵抗するや否や、素早く両手を片手だけで掴まれ、動きを封じられ、パニックになる。

「いっ、嫌だ!」

外してあった海晴のネクタイを引き寄せるように手に取ると、頭上で手首を縛り、テーブルの脚に三好のネクタイで手首を固定させる。
有無を言わさず、海晴のワイシャツのボタンを引きちぎるように左右に開いた。
アルコールでほんのり赤く染まった上半身が露わになる。

「やめてくだ…………!」

海晴は途中で言葉を失い、目を見開いた。
三好の右目も茶金色へ変わり、目の周りには茶色く縁どられた模様がじんわりと浮かび上がった。
頭の上には茶褐色の丸みがかった動物の耳が左右に、尻には毛並みが豊かな大きな尻尾が生えている。

目の周りのパンダ模様、フサフサした獣の耳と大きな尻尾────。

(これって、狸……? 主任は狸の獣人……?)

自身の正体を見られているのに構わず、三好は首筋に舌を這わせてきた。

「ちょっ……やめろ! お店で襲うとか信じられない! 変態! スケべ……あぁっ……!」

乳首を熱い舌でぺろりと舐められ、思わず高い声が出た。
三好は牙を出して笑みを浮かべる。

小さい粒をちろちろと舌先で転がし軽く吸い、片方は獣の爪が生えた指で摘まんで傷つかないように捏ね回す。

「あ……はぁ……ぁん…」

(え……なに? 今の声……)

身体を震わせながら、自分の意志とは裏腹に艶めかしい声が出て海晴は驚いた。
というか引いた。
乱暴されているはずなのに、このまま流されてしまいたいくらい愛撫がやさしい。

「身体の方は随分感じてるようだが、本当に嫌か? いい声で啼くじゃねぇか」

三好は嬉しそうに色気のある低い声でささやいた。
ムスク系の香水と体臭が混じった魅力的な香りが鼻腔をくすぐり、軽い眩暈を覚える。

「嫌です……」

海晴は赤い顔で恥ずかしげに横を向いた。

「キレイな色をしているな。彼女にちゃんと愛してもらっているのか?」

ツンと立っている海晴の乳首を黒い爪ではじきながら訊く。

「っ……、余計なお世話です」

「もったいない。俺なら、身体中愛でてやるのに」

「んっ……、んんっ……! やめてくださいっ……」

乳首をくすぐるように舐めて甘噛みし、股間に手を伸ばす。
声を押し殺すも、身体は敏感に反応してビクン、ビクンと何度も震わせてしまう。

「ふっ、ここは硬くなってるぞ」

三好はスラックスの上から硬くなっている部分を楽しげに擦った。

「はぁっ……お願い……それ以上はやめてください……。僕、彼女がいるんです。浮気したくない……」

海晴は目から涙をぽろぽろとこぼした。
無理矢理乱暴されるのは、浮気とは言わない。
だが、このまま快楽に流されてしまいそうな自分が怖い。
三好の瞳が揺れて、たちまち黒色へ戻っていく。

目の周りのパンダ模様も消え、口から生えている牙も、頭から生えている獣の耳も、尻尾も無くなっていった。
両手も人間の手の形に戻っている。
三好は身体を起こして、胡坐あぐらをかき、苦虫を噛み潰したような顔をした。
尻尾がスラックスを突き破ったせいで、尻に穴が空いていた。

「泣くほどそんなに俺が嫌なのか?」

「主任が嫌ってわけじゃないです。でも、僕には彼女がいるので……だから、すみません……」

「…………」

「ところで主任って、狸の獣人なんですか?」

「…………」

「あのぉ……」

「ギンギンになってるくせに浮気を気にするとか、どんだけ頭が固いんだ」

三好は自分の正体など、もはやどうでもいい様子だった。
これまで出会った女に拒まれたことはない。
それだけに海晴に泣かれて、ショックと共にプライドを傷つけられたのだった。
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