恋人は冷たい土の下に。

星野

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おかえり、僕の愛した人

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知り合って4年。
共に記念日を3回過ごした。
けれど4回目は訪れない。

またあの頃のように2人で、
笑いあえたらいいのに。



「おはよう」
暖かいベッドから目覚めて声をかける。
「……おはよう…」
寝ぼけた声で返事が返ってきた。
それだけのことに幸せを感じた。
またこうして彼女に会える日が来るとは思っていなかったのだ。
しかしこの声を聞くことができるのも、姿を見ることができるのも、僕だけなのだ。彼女はもう、確かに死んでいるのだ。


学生の頃からの付き合いの僕たちは、社会に出ると同時に同棲を始めた。同棲を始めて1年ほど経った頃、数週間前に、彼女は不慮の事故で死を迎えたのである。

それから少しして、僕は確かに葬式に参列し、彼女の骨を土に埋めたのを確認した。

彼女は僕に会うために帰ってきたのだ!!!
その再開の瞬間、僕は戸惑いよりも先に、激しい胸の高鳴りと、しばらく感じることのなかった、まるで、生きた心地という幸せと温もりの安堵に襲われていた。
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