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竜魔決戦編
終結
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ユリウスの暴言に我慢の限界を超えたイグニス
怒りを露わにしているのを見た者達の中からは恐怖で失神する者が多数出た
こんな事なら隕石が降ってきた方がマシだったと思う者もいた
しかし当のユリウスは自分が悪しき竜を討つ勇者かのように振る舞い悦に浸っている
足元に落ちていた剣を拾い構えるとユリウスはイグニスに言い放った
『いくぞ、貴様の命はこの俺が貰い受ける!』
『吾輩に手を出すことがどれだけ愚かな事か、その身に刻み込んでやろう。その後にこの国諸共消し炭にしてやる』
ユリウスに向かってそう宣言したイグニスを見てヴァイオレットはトカゲ呼びされた事に相当キレていることが分かった
ユリウスはたかが一頭の竜が王都を消し炭にするなんて不可能だと思っているのかもしれないが、イグニスの手にかかれば赤子の手をひねるように簡単なこと
王都が本当に消し炭になってしまう前にイグニスを止めようとヴァイオレットが動こうとする
しかしそれよりも早く一連の会話を聞いていたエリザが行動を起こした
『姉上?何の用だ。今この竜を討って王都を救ってやるから離れて……』
ユリウスがそう言いかける前にエリザは強く握り締めた拳で実の弟を思い切り殴った
だが体格差もあってかユリウスが倒れることはなく、すぐさま殴りかかってきたエリザに反発してきた
『姉上!なにを……!』
『黙りなさいユリウス』
自分の力ではユリウスは止まらないと判断したエリザは、拳ではなく魔法を放った
『ぐわっ!い、一体なんの真似だっ……!やめろっ!やめろと言っているのが分からないのか!』
ユリウスが何を言おうと聞く耳を持たず、エリザは倒れるまで問答無用で魔法を撃ち続けイグニスはそれをただ黙って眺めていた
やがて傷だらけになったユリウスは気を失って倒れてしまった
するとエリザはすぐさまイグニスの方を向き謝罪の言葉を述べた
『愚弟が大変失礼致しました。どうかこれで手打ちにして頂けないでしょうか』
深々と頭を下げるエリザの体は震えていた
誰もが恐怖で動くことができない中、エリザはこの王都を守る為に己を奮い立たせて動いた
自分ではどう足掻いても勝てない相手と対峙するのは生きた心地がしなかっただろう
そこでヴァイオレットは急いでエリザの加勢へと向かった
『お父さん、これ以上騒ぎを起こさないで。ここには私の大切な友達がいるんだから』
『お、お父さん……』
『むぅ……まぁいいだろう。それよりヴァイオレットこっちに来い』
『なに?』
イグニスはヴァイオレットを自身の頭に乗るよう促すと、王都にいる人間を威嚇するように大声でこう告げた
『聞けこの国の人間共よ。ここにいるヴァイオレット・カラミティアは吾輩イグニス・カラミティアの愛娘だ。もし危害を加えようものならこの国を焦土と化してやる。その事をゆめゆめ忘れるなよ』
イグニスの言葉を聞いていた者はひたすら頷くことしかできなかった
言いたいことを言い満足すると、イグニスは他の竜を従えて帰って行った
怒りを露わにしているのを見た者達の中からは恐怖で失神する者が多数出た
こんな事なら隕石が降ってきた方がマシだったと思う者もいた
しかし当のユリウスは自分が悪しき竜を討つ勇者かのように振る舞い悦に浸っている
足元に落ちていた剣を拾い構えるとユリウスはイグニスに言い放った
『いくぞ、貴様の命はこの俺が貰い受ける!』
『吾輩に手を出すことがどれだけ愚かな事か、その身に刻み込んでやろう。その後にこの国諸共消し炭にしてやる』
ユリウスに向かってそう宣言したイグニスを見てヴァイオレットはトカゲ呼びされた事に相当キレていることが分かった
ユリウスはたかが一頭の竜が王都を消し炭にするなんて不可能だと思っているのかもしれないが、イグニスの手にかかれば赤子の手をひねるように簡単なこと
王都が本当に消し炭になってしまう前にイグニスを止めようとヴァイオレットが動こうとする
しかしそれよりも早く一連の会話を聞いていたエリザが行動を起こした
『姉上?何の用だ。今この竜を討って王都を救ってやるから離れて……』
ユリウスがそう言いかける前にエリザは強く握り締めた拳で実の弟を思い切り殴った
だが体格差もあってかユリウスが倒れることはなく、すぐさま殴りかかってきたエリザに反発してきた
『姉上!なにを……!』
『黙りなさいユリウス』
自分の力ではユリウスは止まらないと判断したエリザは、拳ではなく魔法を放った
『ぐわっ!い、一体なんの真似だっ……!やめろっ!やめろと言っているのが分からないのか!』
ユリウスが何を言おうと聞く耳を持たず、エリザは倒れるまで問答無用で魔法を撃ち続けイグニスはそれをただ黙って眺めていた
やがて傷だらけになったユリウスは気を失って倒れてしまった
するとエリザはすぐさまイグニスの方を向き謝罪の言葉を述べた
『愚弟が大変失礼致しました。どうかこれで手打ちにして頂けないでしょうか』
深々と頭を下げるエリザの体は震えていた
誰もが恐怖で動くことができない中、エリザはこの王都を守る為に己を奮い立たせて動いた
自分ではどう足掻いても勝てない相手と対峙するのは生きた心地がしなかっただろう
そこでヴァイオレットは急いでエリザの加勢へと向かった
『お父さん、これ以上騒ぎを起こさないで。ここには私の大切な友達がいるんだから』
『お、お父さん……』
『むぅ……まぁいいだろう。それよりヴァイオレットこっちに来い』
『なに?』
イグニスはヴァイオレットを自身の頭に乗るよう促すと、王都にいる人間を威嚇するように大声でこう告げた
『聞けこの国の人間共よ。ここにいるヴァイオレット・カラミティアは吾輩イグニス・カラミティアの愛娘だ。もし危害を加えようものならこの国を焦土と化してやる。その事をゆめゆめ忘れるなよ』
イグニスの言葉を聞いていた者はひたすら頷くことしかできなかった
言いたいことを言い満足すると、イグニスは他の竜を従えて帰って行った
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