竜皇女と呼ばれた娘

Aoi

文字の大きさ
120 / 342
開拓編

戦闘準備

しおりを挟む
村に向かって来ているであろう人狼族を迎え撃つ為ヴァイオレット達は準備に取り掛かった
数が多いという人狼族に対抗するには数が劣っているので、村の周辺に罠を仕掛けることにした
小細工はあまり得意ではないヴァイオレットだが、数に物を言わせて自分達が突破されでもしたら村に危害が及ぶ可能性がある
それを防ぐ為の罠なのだが、罠の仕掛け方なんて知らないヴァイオレットは単純な落とし穴程度しか作ることができなかった


『こんな単純な罠に引っかかってくれるかなぁ……そういえば人狼族は数が多いって言ってたけどどれ位いるの?』
『正確な数までは分かりませんが多分千は超えているかと思われます』
『千!?それだけの数となるとかなり厳しいなぁ……』
『とはいえ相手の殆どは自陣にいるでしょうから実際にこちらに向かって来ている数は二、三百程度だと』
『あそっか、全員で向かってくるわけじゃないよね。それくらいの数だったらどうにかなるかも』


しかしそれでも相手の数的有利は変わらない
罠が突破され村に入られそうになった時を考え村の中にいる者達でも応戦できるよう投石用の石を運ばせる
ヴァイオレットが相手が来そうな場所に落とし穴を作っていると、ノーム達が近寄ってきた


『ん?どうしたの?』
『なになに……私達にも罠作りを手伝わせてくれないかと言っています』
『えっ?罠を?気持ちは嬉しいんだけど穴を掘って土を被せるだけだからその必要はないかな』


ガリアに訳して伝えてもらうと、ノーム達は皆で話し出したと思ったら村の中へと走っていった
少しするとノーム達は余っていた木材と蔦の縄を皆で運んできて森の方へ
それで一体何をするのかと見にいってみると、蔦の縄で結んだ木材を木に吊るし蔦を地面より少し浮かした状態で張り始めた
数分程で完成させるとノームの一人がその蔦にわざと引っかかり吊るした木材が落ちてくるという実演をしてみせてくれた


『おぉ!なんかよく分からないけど罠が完成した!ノーム族は器用なんだねぇ』


落下した木材が当たれば相手を無力化させるだけの十分な威力もある
回避されたとしても他にも罠があるかもしれないと自然と足は鈍るだろう
これと落とし穴を仕掛けておけばとりあえずすぐに突破されることはないはず
ヴァイオレットはノーム達にあるだけの木材と蔦を渡して罠作りを任せることにした
これに加えあとはイグニスの爪で相手を威圧する。これまでと同じような効果を発揮してくれれば全員でないにしても数を減らすことくらいはできるはずだ

そうして人狼族を迎え撃つ準備が着々と進められていき、終える頃には辺りはすっかり暗くなってしまった
相手は夜目も利く為夜に襲ってくることも十分に考えられたので交代で見張りを行うことに
段々と夜が更けっていき今日の襲撃はないかと思ったその時、村から少し離れた場所で突然上空に炎の柱が現れた
それは上空からの偵察を任せていたルージュの竜の息吹による敵発見の合図だった


『来たみたいだね。よし、皆行くよ』
『『おぉ!』』

しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

最強剣士が転生した世界は魔法しかない異世界でした! ~基礎魔法しか使えませんが魔法剣で成り上がります~

渡琉兎
ファンタジー
政権争いに巻き込まれた騎士団長で天才剣士のアルベルト・マリノワーナ。 彼はどこにも属していなかったが、敵に回ると厄介だという理由だけで毒を盛られて殺されてしまった。 剣の道を極める──志半ばで死んでしまったアルベルトを不憫に思った女神は、アルベルトの望む能力をそのままに転生する権利を与えた。 アルベルトが望んだ能力はもちろん、剣術の能力。 転生した先で剣の道を極めることを心に誓ったアルベルトだったが──転生先は魔法が発展した、魔法師だらけの異世界だった! 剣術が廃れた世界で、剣術で最強を目指すアルベルト──改め、アル・ノワールの成り上がり物語。 ※アルファポリス、カクヨム、小説家になろうにて同時掲載しています。

長女は家族を養いたい! ~凍死から始まるお仕事冒険記~

灰色サレナ
ファンタジー
とある片田舎で貧困の末に殺された3きょうだい。 その3人が目覚めた先は日本語が通じてしまうのに魔物はいるわ魔法はあるわのファンタジー世界……そこで出会った首が取れるおねーさん事、アンドロイドのエキドナ・アルカーノと共に大陸で一番大きい鍛冶国家ウェイランドへ向かう。 魔物が生息する世界で生き抜こうと弥生は真司と文香を護るためギルドへと就職、エキドナもまた家族を探すという目的のために弥生と生活を共にしていた。 首尾よく仕事と家、仲間を得た弥生は別世界での生活に慣れていく、そんな中ウェイランド王城での見学イベントで不思議な男性に狙われてしまう。 訳も分からぬまま再び死ぬかと思われた時、新たな来訪者『神楽洞爺』に命を救われた。 そしてひょんなことからこの世界に実の両親が生存していることを知り、弥生は妹と弟を守りつつ、生活向上に全力で遊んでみたり、合流するために路銀稼ぎや体力づくり、なし崩し的に侵略者の撃退に奮闘する。 座敷童や女郎蜘蛛、古代の優しき竜。 全ての家族と仲間が集まる時、物語の始まりである弥生が選んだ道がこの世界の始まりでもあった。 ほのぼののんびり、時たまハードな弥生の家族探しの物語

無魔力の令嬢、婚約者に裏切られた瞬間、契約竜が激怒して王宮を吹き飛ばしたんですが……

タマ マコト
ファンタジー
王宮の祝賀会で、無魔力と蔑まれてきた伯爵令嬢エリーナは、王太子アレクシオンから突然「婚約破棄」を宣告される。侍女上がりの聖女セレスが“新たな妃”として選ばれ、貴族たちの嘲笑がエリーナを包む。絶望に胸が沈んだ瞬間、彼女の奥底で眠っていた“竜との契約”が目を覚まし、空から白銀竜アークヴァンが降臨。彼はエリーナの涙に激怒し、王宮を半壊させるほどの力で彼女を守る。王国は震え、エリーナは自分が竜の真の主であるという運命に巻き込まれていく。

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?

シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。 クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。 貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ? 魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。 ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。 私の生活を邪魔をするなら潰すわよ? 1月5日 誤字脱字修正 54話 ★━戦闘シーンや猟奇的発言あり 流血シーンあり。 魔法・魔物あり。 ざぁま薄め。 恋愛要素あり。

俺に王太子の側近なんて無理です!

クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。 そう、ここは剣と魔法の世界! 友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。 ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

異世界の片隅で、穏やかに笑って暮らしたい

木の葉
ファンタジー
『異世界で幸せに』を新たに加筆、修正をしました。 下界に魔力を充満させるために500年ごとに送られる転生者たち。 キャロルはマッド、リオに守られながらも一生懸命に生きていきます。 家族の温かさ、仲間の素晴らしさ、転生者としての苦悩を描いた物語。 隠された謎、迫りくる試練、そして出会う人々との交流が、異世界生活を鮮やかに彩っていきます。 一部、残酷な表現もありますのでR15にしてあります。 ハッピーエンドです。 最終話まで書きあげましたので、順次更新していきます。

疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!

ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。 退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた! 私を陥れようとする兄から逃れ、 不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。 逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋? 異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。 この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?

処理中です...