不死にて最弱から最強に昇る竜とともに。

れおさん

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11話

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     リアから手渡された書物の内容に目を通して一夜が過ぎた。
 リザードマン騒動からサンドレア王国に戻り、一段落落ち着いた俺と相棒は静かに過ごしていた。
 相棒は日ごろの疲れがたまっていたのとやっと落ち着いた空間にいることのできることから帰ってきて寝だしてから何回も目が覚めたと思ったらまたすぐに眠ったりと。
 俺はいまだにあの真実が受け入れきれずに頭の中で色々と考えを張り巡らす時間が続いていて、俺と相棒はそれぞれ静かな時間を過ごしていたが、その静かさの意味合いも違った時間が流れている。
 あれからも何度も開いて読み直したが、”災厄”に書かれた特徴はまさに相棒と同じだろうと思った。
 ゴブリン親玉の特有の毒攻撃、リザードマンメイジの氷魔法。どちらも受けた後、その仕組みに沿った同じような攻撃の仕方で倒していたし、どちらもその時点で格が違い過ぎるであろう相手の強力な攻撃であったにも関わらず力尽きることもなく難なく受け止めていたのも事実だ。

 「この書物の通りか……。だったら大戦が起こるのか」

 1000年前後に呪いのように繰り返す大戦。
 そのきっかけは様々な上に、毎回大戦を行う国や対立内容も違うのだが、必ず世界中を巻き込む大戦になっているという事実が書かれている。
 それを知った時、そしてそのきっかけかもしれない奴が実際に目の前に現れた時、リアはどんなに恐ろしかっただろうか想像もできない。
 俺たち冒険者は常に命がけである以上、ある程度のことは受け止めなければならない。しかし、そんな俺達でも言葉を失うような内容を知ってもなお、まだ人前である程度気丈にふるまえるリアはとても強い女だ。
 改めてあの受付嬢の強さにまだまだ俺も見習うことがある。

 「俺の目標に新たにこの大戦のきっかけを探るという項目が増えたな……」

 確定はしない無くても、今までのことからほぼ確実に起きると言って街がいないであろう大戦。その大戦のきっかけとなる事故、事件をできるだけ察知を早くしてレイたちと話し合わなければならない。
 まずはレイたちにこの書物の事実を報告しなければならない。
  レイたちと別れる前にこのことが分かれば手っ取り早く話をすることが出来たのだが、そんなことをいまさら悔やんでも仕方が無いか。
 
 「っていうかあいつのことだから感づいているんじゃないだろうか……」

 あれほどの印象に残る派手な攻撃を繰り出している。
 この書物に書いているような情報を一回でも目にしていれば感づいていてもおかしくはなさそうなものであるが。
 
 「確定事項ではないが、これは伝えておくべきか……」

 俺はレイに送る手紙を書き始めた。
 しかし、そうしていると一匹の鳥が飛んできた。
 その鳥にの体には手紙がくくりつけられている。
 その鳥から優しく手紙を取り出すと、水と餌を目の前に出して休ませた。
 その鳥が休みだしたのを確認して手紙を開く。
 その相手は今から手紙を送ろうとしていたレイだった。そしてその内容も、今から俺が伝えようとしていたテーマと同じことが始めに目にはいってきた。

 シーザー。君の横をついている子のことだが、いくつか伝えておきたいことがあって筆をとった。
 君の引き連れている子、それは間違いなく今まで”災厄”と語り継がれてきたものだろう。
 君が以前その子とであったときの話、そして今回の戦闘を実際に目の前にしてもはや勘違いと言うことは無いと思っている。
 詳しいことはサンドレア王国内の歴史書でも読めば僕の言いたいことは分かってもらえると思う。
 これで君はまた一つ大きくてとてつもなく重いものを背負うことになるだろう。
 1人の冒険者として世界の平和、君のことを想う3人、そして君の相棒。
 別にプレッシャーをかけたり意地悪したくてこういう書き方をしているのでは決して無いから悪く思わないでくれ。
 どうも君になんて言葉を書ければいいか分からない。
 でもこれだけは誓う。君が僕に力を貸してくれるように、僕も君が困っているときは全力で協力することを。
 これからも調査と研究を進める。また分かったら連絡の手紙を入れる。
                               レイ

 レイも落ち着いてすぐに調べてくれたのであろう。俺が把握したことと同じようなことはレイにも分かっているようであった。
 
 「しっかし、レイのやつは人に気持ちを伝えるのが下手すぎるんだよなぁ」

 そういいながら書いていた途中の手紙の内容を変更して了解したという意を手紙にしたためて次の日に再び伝書鳥に括り付けて運ばせた。
 そしてその後向かったのはいつもの酒場。
 しかし、今日はクエストを受けるためではない。
 今日の目的は別にあってここに来たのだ。
 見慣れたいつものドアを押して中に入る。入るといつものだらしない冒険者どもがいる光景に変わりは全く無い。
 そんないつも通りの光景をいつものように無視して歩みを進める。
 そして俺はリアの元にまで来た。

 「おはよう、シーザー。今日は何の用で?クエスト受注?」

 相変わらずさわやかに挨拶と受付譲としての仕事を遂行するリアに俺は今日の目的を伝えた。

 「いや、今日はお前のおじいさんに会わせてもらえないかなって」

 その一言でリアの顔がこわばったのがすぐに分かった。おそらくあの書物についてのことだろうと分かったからであろう。

 「分かりました。ちょっとここの仕事は他の方にお任せして私のおじい様のところに案内させていただきますね」

 リアはすぐにそう言って立ち上がると、他の受付嬢の人に少しの間席を空けると頭を下げた後、俺とともに酒場を出た。
 サンドレア王国内の街をリアの先導の元歩いていく。買い物をするもの、はしゃぐ子供。いつもと変わらぬ平和な日常が流れている。
 そんな周りの者達はリアと俺が歩いていくのには全く目を向けることは無い。クエスト案内とでも思っているのであろうか、特に珍しい光景とも思わないようだ。

 「あの本の私が付箋をつけたページ……読みましたか?」

 「ああ、読んだ」

 「どうでしょうか……」

 「そうだな、はっきりといってあいつの正体はあの書物に書かれているものだと思う。だけど大戦に関しては誰も生きていて知っていると言う人はいない。本当にあるのか無いのかというところから、あるとすれば後どれくらい時間があるのか。まだまだ分からない事だらけだ」

 「そうですか……」

 リアの声は元気が無い。それもそうだろう。人が多く犠牲になるような大戦が自分の生きているときにピンポイントで来る可能性がほぼ確定になったようなものだろうから。

 「心配するなとか無責任なことは言えない。どうなるか俺にもレイたちにも分かってない。ただ、リアやリアの家族はちゃんと守れるように俺は動く」

 「本当に守ってくださいよ?」

 「任せろ」

 少しでもリアが元気になれるように声をかけたつもりだが、全く根拠が無いことは彼女にも分かってしまうような声かけ程度しか出来なかった。
 俺もレイに偉そうに言えたものではない。
 しかし、リアはとても受付譲としても、女としても非常に優れた人物であると言うことは俺が誰よりも評価をしているし、レイたちも非常に評価している。
 そのためにリアに対してそのうち”ある誘い”をするつもりなのだが、彼女は受けてくれるだろうか。
 この誘いに乗ってくれれば、リアやリアの家族の身も守りやすくなるので準備が出来次第すぐにでも誘ってみるとしよう。
 そんなやり取りを通してそんなことを思いながら目的地であるサンドレア城に到着した。
 扉や門の前にいる兵士達は俺とリアの顔を見るとすぐに通した。
 しかし反応は全く違っていて、リアに対してはさわやかな笑顔やリアに見とれてちょっと顔を赤くしているのに、俺にはおびえた顔やちょっと嫌そうな顔をする。
 いつものことだから気にしてはいけないがな。
 門をくぐって、サンドレア城内に入る。シャンデリアがつるされて床や壁は大理石で廊下の中央には赤いカーペットが敷かれている。
 大きな階段を上って二階へ、そして大きな城の少し外れの一角にたどり着いた。

 「ここですね」

 リアはドアを開けるとその向こうには俺の身長の何倍もある本棚が何台もあって、その中には隙間無く入れられている。
 そしてそんな本棚に囲まれた中央のテーブルに1人、髪もひげも真っ白な高齢の男性がなにやら羽ペンを持って書物を見ながらメモを取っている。

 「おじいちゃん。仕事してた?」

 「おお、リアか。いいや、趣味程度のメモをとっててな。別に構わんが……そこの男性は?」

 「こんにちは。かねがねリアからお話は聞いております。シーザーと申します。今日はここに調べたいもの、そしてここの書物を誰よりも拝読されているおじい様に色々とお話を聞きたく参りました」

 失礼の無いように自分なりに丁寧だと思う言葉を述べて頭を下げる。
 その後リアが本題を切り出す。
 
 「ほら、前に私が持っていた本あったでしょ」

 「ああ、お前がすごく神妙な顔をして持って行ったやつか?」

 「うん。それを読んでほしかったのが彼だったの……。」

 「ほう、それはどうして?」

 リアは一呼吸おいて搾り出すように

 「彼、”災厄使い”かもしれないの」

 「な、なんと……!もうあれから1000年以上が経ち、いつ大戦が起きてもおかしくは無いと思っていたが……。その大戦を知らせ、終わらせる者をすでに発見どころかてなづけておると!?」

 リアのおじいさんの反応は想像以上のもので年相応の体にもかかわらず驚きのあまり勢いよく立ち上がってこちらに詰め寄ってきた。
 リアに続いて俺が話す。

 「あの本を見る限り、間違いないと思います。ゴブリンの親玉特有の毒攻撃や、リーザードマンメイジが放った氷魔法を実際に受けてそれと同じような攻撃を相手に与えて倒していましたので」

 「なんということだ……」

 ようやく椅子に再び腰をおとすと、

 「二人ともそこへ座りなさい」

 リアのおじいさんに向き合うように俺とリアは座った。
 
 「では、まずは私の知っていることを話をしよう。そのあと関連した本を用意させていただこう。シーザー君だったか。今度私にその”災厄”と思われるものを見せて欲しい。いいだろうか?」

 「はい、問題ありません」

 俺がそう答えると静かに頷いた。
 そしてしばしの間のあとリアのおじいさんが話を始めた。
 
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