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しおりを挟む2人で話しつつ、入場開始時刻になったので列に並ぶ。
「私、ライブ初めてだから緊張してて。服装とか、変じゃないかな?浮いてない?」
白のバルーンスカートの裾を摘まんでみせる。
「お似合いですよ、とっても」
ライブに来てる人はバンドマンも含め派手で奇抜な服装をしている人もいる。
でも波江さんはどちらかといえば清楚めな服だから心配になってしまったのかも。
全然大丈夫ですよ、波江さんらしくて綺麗です。
「明日歌ちゃんは、いつからmidnightのファンになったの?」
「夏の始め頃ですね。midnightのボーカルの星渚さんに妹がいるんです。その妹の菜流にライブに連れていってもらって、会いました」
「それでハマったんだ?」
「強烈に皆のライブが頭に焼きついたんです。鳥肌が立って心を揺さぶられました」
ライブハウス内に入りチケットをスタッフに渡して半券でドリンクを選び、ライブがよく観られるような位置に移動した。
「ライブって、こういう雰囲気なんだ」
「人がワチャワチャしてますよね」
物珍しそうに忙しなくあちこちを見回す波江さん。
「藍は、あそこでギター弾くのかあ」
まだ照明で照らされていないステージを、愛おしそうに眺める。
「midnightの皆、あのステージに立つと雰囲気が変わってすごく格好良くなりますよ。ステージに出てきた途端、観客がキャーッて黄色い声をあげるんです」
男も女も関係なくだ。
「ちょっと妬けちゃうな」
プクリ、小さく頬を膨らませてみせる波江さんの可愛さに私はノックアウト。
女子力を高めるために、波江さんから1から10まで色々と伝授していただきたい。
そしたら皐月と碧音君も私を女として認識してくれるはずだ。
「他の女の人が藍にハートを飛ばしても、藍は波江さんしか見てませんから大丈夫ですよ」
「刹那君も直球だったけど、明日歌ちゃんも照れるくらい直球だね」
「でも本当のことですし」
藍は波江さんのことが大切なんだ。
「ね。明日歌ちゃんは、彼氏いるの?」
「いませんよ!私、女らしくないって言われますから」
特にいつもバカにしてくるあの2人に。自覚はあるんだけど。
「気になってる子は?……もしかして、刹那君?」
「なっ、いや気になるというか。恋、なのかは分からないです」
「刹那君のことを見る目が違ってたから、そう思っちゃった」
波江さんがしたり顔で唇の端を持ち上げる。自分では気づかなかった、そんなこと。
「私で良かったら、相談にのるよ。明日歌ちゃんより少し先輩だからね」
「本当ですか。じゃあその時はよろしくお願いします」
お願いすれば波江さんは、雑然とした薄暗いライブ開場からそこだけ空間が切り取られたように。
まるで、春のような。暖かな微笑を口角に浮かべた。
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