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113.
しおりを挟む「逃がすわけないじゃん。捕まえたままで行動する」
確かに、有力な情報を持ってるBLACKをみすみす逃がすのはダメか。
「刹那を隠してる場所はどこ」
「……暗闇に、ポツンと佇む木の箱」
「どういう意味」
「場所を、お、しえてさしあげたんです」
息をするのもやっとなくらい星渚にきつく首を絞められつつも小さく溢す。
比喩を使うにも程があんだろ。場所を詩的に表現してる場合じゃねえよ。
でもこいつはそれ以上言う気はないらしく、口を開かない。
「外に出るよ」
星渚がリーダーの首から手を離し、次は手首を拘束して関係者用のドアから外に出ていくからそれに俺達も続く。
BLACKが大人しく捕まえられてついてくるのは変に感じたが、暴れられるよりはマシ。
「木の箱……ならビルじゃない」
「でもこの辺りはビルばかりだ」
「木。木っつーことは……木の……木造じゃねえの?古い昔ながらって感じのやつ」
「壁も木で造られてるみたいな?」
星渚がドアから離れて目を細め、周囲に家がないか探す。
暗さに目が慣れていない分、どうしても動きが鈍くなってしまう。1歩を踏み出すのにも手間取る。
「この暗さじゃまともに判断出来ねえし、その碧音がいる家がここからすっげえ離れた場所にあるとも考えられるよな?」
BLACKが碧音を車に乗せて、遠くに閉じ込めてるかも。簡単には見つからないように。
「それはないね」
「星渚、何で断言出来るんだよ」
BLACKは用意周到な奴らだ、やりかねないだろ。
「俺だったらこう思うから。もし自分達がこっちにいる間に、何らかの方法で刹那に逃げられたら困る。そして閉じ込めた部屋の様子や、その場所までどれくらい時間がかかったか体感時間とかも詳細に警察に話されたら終わり」
「なるべく碧音は近くにいさせたいってなるってことだ」
「……なるほどな」
ならやっぱりライブハウス周辺、ということになる。
もう1度手当たり次第隅々まで探すしかないか。
俺と藍、星渚が頭をフル回転させてリーダーの言った言葉の本当の意味を見つけようとしている間、BLACKは一言も喋らず動かない。
俺達じゃ絶対分からないと、たかを括っているらしい。
表現ははっきり見えないけど、この状況を楽しんで笑ってるんだろどうせ。
「小さな木の箱……物置小屋じゃない?」
「ポツンと佇むだから、家よりも可能性は高いと思うぞ」
星渚と藍のおかげでだんだん絞れてきた。
「俺が探した範囲には物置っぽい建物はなかっ………、いや」
「皐月?」
星渚がまた出入り口に戻ってくる。
待てよ、そう言えば。
ポツンと佇んでいて、小さくて古い木造の――……あ。
「機材置き場」
「機材置き場ぁ?何それ」
「この敷地内にはライブハウスと、物置小屋があるんだ。普段ライブイベントのための道具やコードとかが仕舞われてる」
藍が星渚にざっと説明した。
「俺、そんなのあるって気づかなかったけど」
「位置的にライブハウスの死角にあって見えないから」
「俺も、前にスタッフが出入りしてるの見て気づいたわ」
俺らの会話を聞いてBLACKの誰かがハッと息を飲んだ音がした。図星なんだろ。
「とにかく行こうぜ」
やっと暗闇に目な慣れてきた、歩くペースを上げて記憶を頼りに物置小屋へ急ぐ。
その最中パッと後ろが明るくなったと思ったら、それは藍が携帯の画面の光を利用して道を照らしてるところだった。
藍、ナイス!
BLACKの手首を力強く引っ張り早く歩けと急かす。
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