群青の夏、僕らは明日を願った。

青葉はな

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「どうですか?」

ちょっとでしゃばり過ぎたかな。けど、そう思ったのは事実。皆驚いた表情で目をパチパチさせている。

きょとん、とした碧音君可愛い!写メ撮りたいむしろ一眼レフカメラで連写して部屋に飾りたい。

「明日歌ちゃん……」

「……明日歌」

やっぱり、ダメでしたか。がくん、首を下げ項垂れた。

「っそれだよ、それにしよう!」

「もう一度決め、……え?」

「たまには良いこと言うじゃねえか!」

藍さんと碧音君に名前を呼ばれた時私の案はボツだと思っていたのに。

星渚さんの言葉を理解して間抜け面してしまった。

がくがく、肩を皐月に揺さぶられる。ちょ、元気になってくれたのはいいけど力強すぎ。

「その手があったかー、なるほどねぇ」

「よし、やり直しすんぞ!」

「明日歌ちゃん。助かったよ」

どんよりとしたオーラはどこへやら。やっと 元の状態に戻ってくれた。一時はどうしようかと焦ったけど。

「明日歌。お前のおかげ」

先程より幾分か穏やかになった碧音君。

「もっと褒めて!」

碧音君に褒められたことなんて今まで極僅かしかないから、ここぞとばかりに攻める。

「嫌だ」

「いいでしょ、碧音君に褒められたい!」

「金取るぞ」

お金払えばやってくれるのか、と期待する自分は重症だ。

「一瞬でもいいから!そしたら満足」

碧音君に『お願いします』と言いつつどさくさに紛れて抱きつこうとしたら、ペットボトルを顔面に投げつけられた。

なんてサディスティック。

憂いに満ちた双眸と気怠げな雰囲気でため息を吐く姿も好き。

「碧音君!」

「……」

ペットボトルを投げつけられたくらいじゃ、全くへこたれない。何故って慣れてるから。碧音君ははあ、溜め息を吐き黒髪を耳にかけた。

「1回だけな」

「はい!」

目を見開き、言葉を一言一句聞き逃すまいと全神経を集中させた。

かさつきのない、潤った唇がゆっくり開かれて。

「大変良く出来ました」

「っ……!!な、な、なっ」

体温が上昇し、一気に顔が熱くなっていくのが分かる。熱い。

「良く出来ました」

「ぐは!!」

出血大サービスでもう1回言ってくれた碧音君に、私のハートは撃ち抜かれました。

恐らく、私の反応を面白がって言ったのだろうけど。

「碧音君、それは狡い!反則」

色気たっぷりの碧音君にそんなこと言われて、悶えないわけがない。

星渚さんと皐月に『バカじゃねえの』みたいな目で見られてるけど気にしない。

藍さんは苦笑いしてるけど、勿論そんなの気にしない。

「あ、碧音君が格好良すぎて呼吸困難です!」

「誰か散弾銃持ってきてこいつの頭ぶち抜くから」

「これで叩いてみるか?」

「皐月は止めてください」

意地の悪い顔をする皐月から、ギターを素早い動きで奪いさっと元の場所に戻した。

「コントはその辺にして、練習再開するよー。はい、動いて」

パンパン、星渚さんが手を叩き終止符を打った。全力で碧音君への愛を伝えたつもりなのにコントと言われてしまった。

合宿も残された時間は後僅か。その間に構成し直すのだから、急がなければいけない。

「頑張ってくださいね」

声をかければ、藍さんがにっこり優しい微笑みで片手を上げた。

私がいつまでもいたら邪魔だからさっさと練習室を出て、何の課題から手をつけようかと考えながら、階段を上っていったのだった。



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