群青の夏、僕らは明日を願った。

青葉はな

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――――――――――――


―――…………


「ありがとうございましたー!拍手」


「レベル高かったですね。鳥肌立ちましたもん」

仕切り板で一旦ステージが隠された、瞬間。

「やったあー!!成功、超良かった」

「おっしゃぁあ!今までで最高じゃね?」

「そうね!」

感極まった先輩が、涙目でお互いを抱き合う。先輩の言う通り、文句なしで完璧だった。今もなり止まない拍手と歓声が、何よりの証拠。

「刹那!ありがとな、お前のおかげ」

「刹那君、練習の時は鬼かと思うくらい怖くて泣きそうになったけど、でもそれがあったからこその成功だよ」

俺は鬼じゃない。

「全員良かったぞ。……圧倒的だった」

いつの間にかステージに上がってきていた白石先輩が言い終わると、先輩4人に一斉に抱きつかれた。

苦しい、離せ。特に吉野先輩。

「刹那君がいて、良かったよ。皆そう思ってる」

『いてくれて良かった』雨宮先輩の言の葉が、じんわり身体に染み込む。

お前が必要、いて欲しい、それが俺にとっての誉め言葉。ドラム上手だね、天才だ君には敵わないとよく言われる称賛よりもずっと価値がある。

「そろそろステージから降りてください、準備始めますので」

「あっ、ごめんなさい降ります!」

スタッフに注意され、急いでステージから控え室へ。全ての演奏が終わっても尚先輩の興奮が治まらなかったのは言うまでもない。

「碧音君お疲れ様ー!……ぐへ!」

「公衆猥褻で警察呼ぶから」

イベントが終わり外で待っているという星渚達の元へ行こうと体育館を出たら、ものすごい早さで変態女が近づいてきたのだ。

咄嗟に手に持っていた紙袋をグリグリ顔面に押し付け距離をとる。

このまま息の根を止めるまで押さえ続けようとしたけど、両手でバツを作り限界だとアピールされ渋々やめてやった


「い、息が!酸素が!さすがに命の危機を感じたよ碧音君」

「始めからやらなきゃいいだろ」

ゼーハーゼーハー息を整えるこいつを、冷ややかな目で見る。

「……え……?でも、連絡したとき良いって返信してくれたよね?あの顔文字はハグを許可してくれるって意味だよね?」

「てめえの脳内変換機能は腐ってんのか」

「笑ってる顔文字だったじゃん!ハグのご褒美が、恥ずかしいけど嬉しいって遠回しに伝えてくれたのかと思うじゃないですか」

「もう一度言う。お前の脳内変換機能は腐ってる。認めろ」

「せめて思考が乙女でロマンチストだねって言って」

ああ、付き合ってられない。

返事も疎かに星渚達の待つ場所へと足を進める。

「碧音君、その紙袋何が入ってるの?イベント前に会った時は持ってなかったよね。しかも可愛らしいし」

俺が返事をしなくても大して気にする様子もなく、めげずに新たな話題を持ちかけてきた。

「景品。ベストパフォーマー賞で貰ったやつ」

紙袋からラッピングされた景品を取り出してみせる。

「あれか!良かったね、賞プラス景品も貰えて」

「と言っても、そんな豪華な物じゃないだろ」

「四角くて固いもの入ってたよ。それがちょうど顔に当たって痛かったけど」

何気に嫌味を言われる。自業自得だ、お前の場合。

イベントでは幾つかの賞が設けられていて、相応しい人を観客に投票で選んでもらう。

その内の1つ、最も印象に残るパフォーマンスをした人に贈られるのがベストパフォーマー賞。

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