62 / 97
第四章 《第一部》ヒーラー 模索篇
第58話「『ゼウス・マキナ』」
しおりを挟む
ヨダレは何とか収まった。だが、垂れ流していたせいで口元が乾いてカピカピだ……。
しかも、水分をかなり持っていかれたような気がする。
「なにか飲みたい……」
「うむ、私もだ……」
「水魔法は……ダメですね。またエルザがお腹を壊しますし」
いや待て、この場には水の神だったアイリスがいるじゃないか!
……この状況で流石に断らないよな……?
「なぁアイリス――」
「わたくし人間ですので」
ちっ。こいつ、まるで俺が頼むことを読んでいたかのように被せてきやがった。
もういいよ!お前には何も頼まねぇ!二度とな!
「……確か我の記憶では、この辺りに川が流れていたはず」
「なに!?本当かゼーウスよ!」
エルザが食いつき、ゼーウスが首を縦に振る。
よし、そうと決まればそこまで急ぐまでだ。
……
…………
………………
「……なぁ、どこだよ川」
「あれ?我の記憶ではここに流れていたのだが」
「それいつの話だ」
「分からない」
俺はもう一度、アイリスにお願いする。もう頼みの綱がアイリスしか居ない。
「なぁ、アイリス頼むよ!俺たちもう干からびそうなんだ」
「…………ルクスお姉様、如何なさいますか」
頼む!ルクスお姉様!お前の一言で俺たちの命が救われるんだ!
ルクスは悩みに悩んだ末――
「……よし、良いでしょう。アイリス、お願いします」
「やったぜ!」
俺は思わずルクスに抱きついた。
「アスフィ!?」
「流石は俺のルクスだ!感謝してるぜ」
「い、いえ……それはどうも……」
「はぁ……感謝はわたくしにして欲しいものですね」
そういうとアイリスは、なにもない場所に、小規模の湖を作り出した。
「……皆さんどうぞ」
「腹壊さないよな?……特にエルザ」
「わたくしの水は魔法ではありません」
よくわからないが、そうと決まれば――
早速俺たちは飲み尽くさんとする勢いで湖に口をつけた。
美味い……ああ水ってこんなに美味かったのか……。
これからは水に感謝しながら生きていこう。
アイリス様、ありがとう。
***
「――オェェェェェェェ」
エルザが突然、勢いよく吐き出した。
「ア、アイリスよ……なぜ私だけ吐くのだ……魔力は含まれていないのではなかったの……うっぷ……オェェェェェェェ」
「ちょっと待て、こっち見て吐くなよ!」
俺は慌てて距離を取った。だがエルザの顔は青白く、明らかに普通の状態ではない。
「恐らく、アイリスの水にも微量の魔力が含まれていると思いますよ?『水の都フィルマリア』に居た住民からは魔力を感じました。つまり、アイリスの水には魔力が含まれているということですね」
「ルクス……なぜそれを先にエルザに言ってやらないんだ」
「……エルザなら大丈夫かと。それに多分止めても無駄でしたよ」
「…………その筈は。わたくしは神……あ、そういう……ことですか……」
アイリスは一人でブツブツ呟き、不敵な笑みを浮かべていた。
確かにあれは止められないな……。誰よりも真っ先に飲み始めたもんな。それに前回大丈夫じゃなかったんだよなぁ。
今回は前回よりかなり飲んでるが、大丈夫かなエルザのやつ……。
***
しかし、俺達が思っていたよりエルザの状態はかなり深刻なものだった。
エルザはその後、倒れてしまい、それっきり目を覚まさない。
時刻は既に夜を迎えている。
「神の水を多量に摂取した末路だろう」
呆れた顔で言うゼーウス。
「そんなこと言ってる場合かよ!」
「そうですよ!エルザは一体どうなるんですか!?」
俺とルクスは焦っていた。あの頑丈なエルザが倒れたのだ。無理もない。
俺たちはその意外な結果に動揺していた。
「落ち着いて下さい、ルクスお姉様、アスフィさん」
落ち着いたトーンでそう言うアイリス。
「わたくしの水は神力を宿すもの。魔力に似ていますが、魔力ではありません。……恐らく、魔力暴走ではなく、ただ神の力に充てられただけです」
「それはつまりどうなるんだ?」
「寝れば治ります」
本当かよ……エルザが倒れるなんて余程の事だぞ……。
だが、紛れもないアイリスが言うんだ。
ここは言う通りに寝かせておくしかないか。
それに、どっちにしろ俺たちにはどうしようもないしな。
***
俺たちは焚き火を焚き、眠ることにした。
今回の見張りは俺がすると前に出た。
「任せました、アスフィ」
「ああ」
ルクスは眠りについた。
「……なぁ、お前達は寝なくていいのか」
「神は寝なくても大丈夫だ」
「わたくしは神ではありませんが、寝付けなくて」
「そうか……なら少し話さないか」
俺は神と”自称”神を辞めたものと話すことにした。
「お前らに言いたい……いや、聞きたいことがある。俺には……俺の中には、自分じゃない何かが居るんだ」
「ええ、そうでしょうね」
「……それを聞いてお前はどうしたい『神の子』よ」
「その『神の子』ってのもよく分からないがな……昔から気づいていたんだ。俺は時々俺じゃない感情が出てくる事がある。それを抑える努力をしてきた……だが――」
俺はあの日のことを思い出す。
「…………俺の幼馴染……レイラが死んだ時……それが抑えられなくなった。この姿もきっとそれとなにか関係しているのかもしれない」
「そうですね」
「我からは何も言えない」
レイラが死んでいるのを見た時、俺は俺を抑えられなくなった。
今までもそんなことが何回かあった気がする。覚えている節と覚えてない節があるが。
ただ、一つ言えることは俺は『普通の人間』じゃないということだ。
神でもない。こいつらの言う、『この世界の者』じゃないのかもしれない。
なら……それなら俺は……
「……俺は一体何者なんだろうな」
「それは――」
「ポセイドン」
「…………すみません、出過ぎた真似を」
「いい」
アイリスは何かを言いかけた。だが、それはゼウスの声によって、最後まで言うことは無かった。
「我がお前を『神の子』だと言うのはなぜだと思う」
「……分からない」
神の子……俺は神じゃない。
「『神の子』それはつまり、お前自身を神と言っている訳では無い」
「どういうことだ……。お前は……ゼウスは俺の父さんと母さんが神だって言いたいのか?」
「……我はこれ以上は何も言えない。盟約によってな」
また盟約か。盟約ばっかりだなこの世界は。
だが仮に……もし俺の両親の……あるいは片方が神であるなら、ゼウスの言う事の辻褄が合う気がする。
「さて、我も寝るとしよう」
「わたくしもそうします」
「神は寝なくてもいいんじゃなかったのか?」
と、俺が聞くと二人の神は、必要無いだけで眠るのは好きだと言った。
「……仕方ない、俺が見張りをしてやる」
「必要ない。我がいる限り魔物の類は近寄ってこないだろう」
なんだよそれ。便利だな。
「……だとしても念の為だ」
「そうか、勝手にしろ」
ゼーウスとアイリスは眠った。
「『神の子』か………………」
次の日の朝、見張りをルクス達に任せ、俺も少し眠ることにした。
――俺は夢を見た。
『よぉ、また会ったな』
(またお前か……姿を見せろ)
『姿は見せられない。これも盟約だ、悪いな』
(この世界は盟約ばっかりでうんざりだ。ゼウスもアイリスも)
『そんなこと言うな。これはお前のためでもある盟約だ』
(俺のため?)
『ああ、詳しくは言えない、これも盟約だ』
(もういい、盟約、盟約って聞き飽きた。で、何の用だ。もう消えたかと思ったが?)
『消えるわけが無いだろう。なんせお前の中には――』
(盟約、か)
『……まぁその通りだな。よく分かって来たじゃないか。……だが今回は忠告をしに来ただけだ』
(忠告?)
『ゼウ……ゼーウスにも言われただろ?』
(そういえば、ゼーウスが確かにそんなことを……)
『アイツはあんなんでも一応神だからな』
(お前はゼーウスの何を知ってる)
『……全てだ。まぁとにかく注意しろ』
(だから何にだよ)
『マキナ《・・・》にだよ』
***
俺は目が覚めた。……あいつは何が言いたかったんだ。
「マキナ……か……ん?」
静かすぎる。まだ寝ているのか? ふと俺は周囲を見渡した。
ルクス達が……居ない……? どういうことだ。
辺りには誰もいない。眠っていたはずのエルザも、見張りをしていたはずのルクスも。二人の神も……俺以外誰もいない。
俺はこの大地に一人取り残されていた。
「……なんだ、この身の毛のよだつ感じは」
俺は皆を探した。走った。ただただ走って探した。
……
…………
………………
見つけた。
ルクスとエルザが倒れていた。俺はすぐさま駆け寄った。
「…………なんだよ……これ」
ルクスとエルザの体には傷ひとつ無い。
にも関わらず、二人は目を覚まさない。
「遅かったな『神の子』よ」
「わたくし達では何もできません」
「お前たちがやったのかぁっ!!!」
「違う、落ち着け。我たちでは無い。やったのはアイツだ――」
ゼーウスは上空を指差した。
『やったのは我だ、アスフィ・シーネット』
「ゼウス……が二人?」
ゼウスと同じ顔、同じ背丈の瓜二つの物がそこに居た。
「片割れよ。こいつには近寄るなと言ったはずだ」
『近寄ってはいないだろう……そっちから来ただけだ』
「……そうか」
こいつら何を……言っている? ゼウスが二人? ……どういうことだ。
「おいお前! ルクスとエルザに何をした!」
『………なにも』
「そんなわけないだろう!」
俺はゼウスと瓜二つの少女に激怒した。
感情が抑えられなかった。
『……我はただ……そう、眠らせただけのこと』
「ねむ………らせた?」
『聞いたことは無いか?『呪い』という言葉を』
なに……まさかルクスとエルザにも『呪い』を……?
母さんと同じ『呪い』を……?
ってことは、もうルクスとエルザは……
「……お前、覚悟しろよ」
『盟約により我はお前に近づけない。だが、お前から向かって来ると言うならまた話は別だ』
許さない……許さない……許さない許さない許さない。
俺はこいつを絶対に許さない。
しかも、水分をかなり持っていかれたような気がする。
「なにか飲みたい……」
「うむ、私もだ……」
「水魔法は……ダメですね。またエルザがお腹を壊しますし」
いや待て、この場には水の神だったアイリスがいるじゃないか!
……この状況で流石に断らないよな……?
「なぁアイリス――」
「わたくし人間ですので」
ちっ。こいつ、まるで俺が頼むことを読んでいたかのように被せてきやがった。
もういいよ!お前には何も頼まねぇ!二度とな!
「……確か我の記憶では、この辺りに川が流れていたはず」
「なに!?本当かゼーウスよ!」
エルザが食いつき、ゼーウスが首を縦に振る。
よし、そうと決まればそこまで急ぐまでだ。
……
…………
………………
「……なぁ、どこだよ川」
「あれ?我の記憶ではここに流れていたのだが」
「それいつの話だ」
「分からない」
俺はもう一度、アイリスにお願いする。もう頼みの綱がアイリスしか居ない。
「なぁ、アイリス頼むよ!俺たちもう干からびそうなんだ」
「…………ルクスお姉様、如何なさいますか」
頼む!ルクスお姉様!お前の一言で俺たちの命が救われるんだ!
ルクスは悩みに悩んだ末――
「……よし、良いでしょう。アイリス、お願いします」
「やったぜ!」
俺は思わずルクスに抱きついた。
「アスフィ!?」
「流石は俺のルクスだ!感謝してるぜ」
「い、いえ……それはどうも……」
「はぁ……感謝はわたくしにして欲しいものですね」
そういうとアイリスは、なにもない場所に、小規模の湖を作り出した。
「……皆さんどうぞ」
「腹壊さないよな?……特にエルザ」
「わたくしの水は魔法ではありません」
よくわからないが、そうと決まれば――
早速俺たちは飲み尽くさんとする勢いで湖に口をつけた。
美味い……ああ水ってこんなに美味かったのか……。
これからは水に感謝しながら生きていこう。
アイリス様、ありがとう。
***
「――オェェェェェェェ」
エルザが突然、勢いよく吐き出した。
「ア、アイリスよ……なぜ私だけ吐くのだ……魔力は含まれていないのではなかったの……うっぷ……オェェェェェェェ」
「ちょっと待て、こっち見て吐くなよ!」
俺は慌てて距離を取った。だがエルザの顔は青白く、明らかに普通の状態ではない。
「恐らく、アイリスの水にも微量の魔力が含まれていると思いますよ?『水の都フィルマリア』に居た住民からは魔力を感じました。つまり、アイリスの水には魔力が含まれているということですね」
「ルクス……なぜそれを先にエルザに言ってやらないんだ」
「……エルザなら大丈夫かと。それに多分止めても無駄でしたよ」
「…………その筈は。わたくしは神……あ、そういう……ことですか……」
アイリスは一人でブツブツ呟き、不敵な笑みを浮かべていた。
確かにあれは止められないな……。誰よりも真っ先に飲み始めたもんな。それに前回大丈夫じゃなかったんだよなぁ。
今回は前回よりかなり飲んでるが、大丈夫かなエルザのやつ……。
***
しかし、俺達が思っていたよりエルザの状態はかなり深刻なものだった。
エルザはその後、倒れてしまい、それっきり目を覚まさない。
時刻は既に夜を迎えている。
「神の水を多量に摂取した末路だろう」
呆れた顔で言うゼーウス。
「そんなこと言ってる場合かよ!」
「そうですよ!エルザは一体どうなるんですか!?」
俺とルクスは焦っていた。あの頑丈なエルザが倒れたのだ。無理もない。
俺たちはその意外な結果に動揺していた。
「落ち着いて下さい、ルクスお姉様、アスフィさん」
落ち着いたトーンでそう言うアイリス。
「わたくしの水は神力を宿すもの。魔力に似ていますが、魔力ではありません。……恐らく、魔力暴走ではなく、ただ神の力に充てられただけです」
「それはつまりどうなるんだ?」
「寝れば治ります」
本当かよ……エルザが倒れるなんて余程の事だぞ……。
だが、紛れもないアイリスが言うんだ。
ここは言う通りに寝かせておくしかないか。
それに、どっちにしろ俺たちにはどうしようもないしな。
***
俺たちは焚き火を焚き、眠ることにした。
今回の見張りは俺がすると前に出た。
「任せました、アスフィ」
「ああ」
ルクスは眠りについた。
「……なぁ、お前達は寝なくていいのか」
「神は寝なくても大丈夫だ」
「わたくしは神ではありませんが、寝付けなくて」
「そうか……なら少し話さないか」
俺は神と”自称”神を辞めたものと話すことにした。
「お前らに言いたい……いや、聞きたいことがある。俺には……俺の中には、自分じゃない何かが居るんだ」
「ええ、そうでしょうね」
「……それを聞いてお前はどうしたい『神の子』よ」
「その『神の子』ってのもよく分からないがな……昔から気づいていたんだ。俺は時々俺じゃない感情が出てくる事がある。それを抑える努力をしてきた……だが――」
俺はあの日のことを思い出す。
「…………俺の幼馴染……レイラが死んだ時……それが抑えられなくなった。この姿もきっとそれとなにか関係しているのかもしれない」
「そうですね」
「我からは何も言えない」
レイラが死んでいるのを見た時、俺は俺を抑えられなくなった。
今までもそんなことが何回かあった気がする。覚えている節と覚えてない節があるが。
ただ、一つ言えることは俺は『普通の人間』じゃないということだ。
神でもない。こいつらの言う、『この世界の者』じゃないのかもしれない。
なら……それなら俺は……
「……俺は一体何者なんだろうな」
「それは――」
「ポセイドン」
「…………すみません、出過ぎた真似を」
「いい」
アイリスは何かを言いかけた。だが、それはゼウスの声によって、最後まで言うことは無かった。
「我がお前を『神の子』だと言うのはなぜだと思う」
「……分からない」
神の子……俺は神じゃない。
「『神の子』それはつまり、お前自身を神と言っている訳では無い」
「どういうことだ……。お前は……ゼウスは俺の父さんと母さんが神だって言いたいのか?」
「……我はこれ以上は何も言えない。盟約によってな」
また盟約か。盟約ばっかりだなこの世界は。
だが仮に……もし俺の両親の……あるいは片方が神であるなら、ゼウスの言う事の辻褄が合う気がする。
「さて、我も寝るとしよう」
「わたくしもそうします」
「神は寝なくてもいいんじゃなかったのか?」
と、俺が聞くと二人の神は、必要無いだけで眠るのは好きだと言った。
「……仕方ない、俺が見張りをしてやる」
「必要ない。我がいる限り魔物の類は近寄ってこないだろう」
なんだよそれ。便利だな。
「……だとしても念の為だ」
「そうか、勝手にしろ」
ゼーウスとアイリスは眠った。
「『神の子』か………………」
次の日の朝、見張りをルクス達に任せ、俺も少し眠ることにした。
――俺は夢を見た。
『よぉ、また会ったな』
(またお前か……姿を見せろ)
『姿は見せられない。これも盟約だ、悪いな』
(この世界は盟約ばっかりでうんざりだ。ゼウスもアイリスも)
『そんなこと言うな。これはお前のためでもある盟約だ』
(俺のため?)
『ああ、詳しくは言えない、これも盟約だ』
(もういい、盟約、盟約って聞き飽きた。で、何の用だ。もう消えたかと思ったが?)
『消えるわけが無いだろう。なんせお前の中には――』
(盟約、か)
『……まぁその通りだな。よく分かって来たじゃないか。……だが今回は忠告をしに来ただけだ』
(忠告?)
『ゼウ……ゼーウスにも言われただろ?』
(そういえば、ゼーウスが確かにそんなことを……)
『アイツはあんなんでも一応神だからな』
(お前はゼーウスの何を知ってる)
『……全てだ。まぁとにかく注意しろ』
(だから何にだよ)
『マキナ《・・・》にだよ』
***
俺は目が覚めた。……あいつは何が言いたかったんだ。
「マキナ……か……ん?」
静かすぎる。まだ寝ているのか? ふと俺は周囲を見渡した。
ルクス達が……居ない……? どういうことだ。
辺りには誰もいない。眠っていたはずのエルザも、見張りをしていたはずのルクスも。二人の神も……俺以外誰もいない。
俺はこの大地に一人取り残されていた。
「……なんだ、この身の毛のよだつ感じは」
俺は皆を探した。走った。ただただ走って探した。
……
…………
………………
見つけた。
ルクスとエルザが倒れていた。俺はすぐさま駆け寄った。
「…………なんだよ……これ」
ルクスとエルザの体には傷ひとつ無い。
にも関わらず、二人は目を覚まさない。
「遅かったな『神の子』よ」
「わたくし達では何もできません」
「お前たちがやったのかぁっ!!!」
「違う、落ち着け。我たちでは無い。やったのはアイツだ――」
ゼーウスは上空を指差した。
『やったのは我だ、アスフィ・シーネット』
「ゼウス……が二人?」
ゼウスと同じ顔、同じ背丈の瓜二つの物がそこに居た。
「片割れよ。こいつには近寄るなと言ったはずだ」
『近寄ってはいないだろう……そっちから来ただけだ』
「……そうか」
こいつら何を……言っている? ゼウスが二人? ……どういうことだ。
「おいお前! ルクスとエルザに何をした!」
『………なにも』
「そんなわけないだろう!」
俺はゼウスと瓜二つの少女に激怒した。
感情が抑えられなかった。
『……我はただ……そう、眠らせただけのこと』
「ねむ………らせた?」
『聞いたことは無いか?『呪い』という言葉を』
なに……まさかルクスとエルザにも『呪い』を……?
母さんと同じ『呪い』を……?
ってことは、もうルクスとエルザは……
「……お前、覚悟しろよ」
『盟約により我はお前に近づけない。だが、お前から向かって来ると言うならまた話は別だ』
許さない……許さない……許さない許さない許さない。
俺はこいつを絶対に許さない。
0
あなたにおすすめの小説
【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度がカンスト!? ~追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と甘々ライフ~
月城 友麻
ファンタジー
『お前みたいな無能、最初から要らなかった』
恋人に裏切られ、仲間に陥れられ、家族に見捨てられた。
戦闘力ゼロの鑑定士レオンは、ある日全てを失った――――。
だが、絶望の底で覚醒したのは――未来が視える神スキル【運命鑑定】
導かれるまま向かった路地裏で出会ったのは、世界に見捨てられた四人の少女たち。
「……あんたも、どうせ私を利用するんでしょ」
「誰も本当の私なんて見てくれない」
「私の力は……人を傷つけるだけ」
「ボクは、誰かの『商品』なんかじゃない」
傷だらけで、誰にも才能を認められず、絶望していた彼女たち。
しかしレオンの【運命鑑定】は見抜いていた。
――彼女たちの潜在能力は、全員SSS級。
「君たちを、大陸最強にプロデュースする」
「「「「……はぁ!?」」」」
落ちこぼれ軍師と、訳あり美少女たちの逆転劇が始まる。
俺を捨てた奴らが土下座してきても――もう遅い。
◆爽快ざまぁ×美少女育成×成り上がりファンタジー、ここに開幕!
迷宮に捨てられた俺、魔導ガチャを駆使して世界最強の大賢者へと至る〜
サイダーボウイ
ファンタジー
アスター王国ハワード伯爵家の次男ルイス・ハワードは、10歳の【魔力固定の儀】において魔法適性ゼロを言い渡され、実家を追放されてしまう。
父親の命令により、生還率が恐ろしく低い迷宮へと廃棄されたルイスは、そこで魔獣に襲われて絶体絶命のピンチに陥る。
そんなルイスの危機を救ってくれたのが、400年の時を生きる魔女エメラルドであった。
彼女が操るのは、ルイスがこれまでに目にしたことのない未発見の魔法。
その煌めく魔法の数々を目撃したルイスは、深い感動を覚える。
「今の自分が悔しいなら、生まれ変わるしかないよ」
そう告げるエメラルドのもとで、ルイスは努力によって人生を劇的に変化させていくことになる。
これは、未発見魔法の列挙に挑んだ少年が、仲間たちとの出会いを通じて成長し、やがて世界の命運を動かす最強の大賢者へと至る物語である。
転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする
初
ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。
リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。
これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』
ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。
全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。
「私と、パーティを組んでくれませんか?」
これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !
本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。
主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。
その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。
そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。
主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。
ハーレム要素はしばらくありません。
神様、ちょっとチートがすぎませんか?
ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】
未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。
本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!
おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!
僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。
しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。
自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
---------------
※カクヨムとなろうにも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる