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〜特別章〜
Special ep.5
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俺は一人、再びエルブレイドの元へ訪れていた。
「なにかなフィー殿」
「魔法を使える者を知らないか?」
「……魔法か。ワシはそんなものを使えるものは知らぬ。じゃが魔法に似た物はある」
「……なんだよ?」
「『強化技術』……ワシが編み出したものじゃがな」
「魔法じゃないのかそれ」
「うむ、似ているが少し違う。その名の通り技術じゃ。技を極めたものだけが使えるもの。血の巡りを感じ取り、一点から全体に至るまで、血流を行き渡らせる。すると、身体能力が飛躍的に向上するというものじゃな」
仙人みたいな考え方だな……。でもそうか、そういうのを駆使して冒険者たちは魔物や魔獣と戦っているのか。
「じゃが、使えるものは数えるくらいしかおらん。ワシが知っておる限りでは、ワシと、エルフォード、エルザのスタイリッシュ家の者。あとは……ワシの弟子だったハンベルと言う奴だ。今はもうどこかへ行きよっての、ワシも行方は知らん」
「その『強化技術』ってやつ見せてくれよ」
「……いいじゃろう」
ブォンッ
あれ……? エルブレイドの王様どこへ行った? 消えたぞ?
「ここじゃ」
「――なに!?」
エルブレイドは俺の背後に立っていた。
おいおい嘘だろ。ついさっきまで玉座に座っていたじゃないか!?
俺とエルブレイドのあいだには少なくとも二十メートル程の距離があった。それなのにあの一瞬で。……もう魔法の域だろそこまでいくと。
「……まぁワシも年老いておるからの。これくらいしか出来ん。エルザは……いずれワシを追い抜く。楽しみじゃ」
「あのお転婆なお嬢ちゃんがか。強いようには見えんが」
「強いぞ? まだエルフォードには敵わんが、すぐ追い越されるじゃろうな」
冒険者にも序列のようなものがあるのだろうか?
ただ、いま王様から見せられたもの。あれは魔法と言ってもおかしくないレベルだ。もし本当にこの世界に魔法が存在しないなら王様が一番強いだろうな。
少なくとも俺では勝てないな。……マキナはどうなんだろう。
マキナでも厳しいのかな? また機会があったら聞いてみるとしよう。
「そういえばマキナ殿はどうしたんじゃ? いつも一緒じゃろ?」
「あぁ、アイツなんか用事があるとか言って出たよ。俺もどこへ行ったかは知らない。なぁ王様、マキナとはどんな関係なんだ?」
「それは男女の仲という意味かの?」
「茶化すな。俺は真面目に聞いてるんだ」
「……ワシは何も知らんよ。昔、助けられたことがある。ただそれだけじゃ」
どうやら嘘はついてなさそうだな。
マキナも教えてくれないだろうし、この話はこれまでか。
「じゃが、マキナ殿こそ神に相応しいとワシは思うの」
「神? そんなもん居てたまるかよ」
「うむ……そうじゃな、今のは忘れてくれ」
「神がいるならこの世界に魔法を使えるようにするべきだろ?」
「フィー殿はそう思うかの? ……ワシはそうは思わん」
なんでだよ。魔法あったほうが便利だろ。実際俺の回復魔法はかなり役に立ったぞ?
「ワシは……魔法がないこの世界が一番好きじゃ。魔法はあるべきじゃない。絶対にのう」
「そうか? 俺は少なくとも魔法があれば色んな人が救えると思うけどな」
「それを悪用するものも現れる……そうは考えんのかの?」
「それは……仕方ない、だろ」
「仕方ないで済めばいいがの。魔法なんて良くも分からない力に頼るより自分で模索して戦う。それが大事じゃとワシは思う」
努力をしろって言いたいのか? 努力はあまり好きじゃない。
努力しても奪われるだけだ。この世界に来る前のオレのように。
誰かに利用されて終わる。俺はそんなのはぜったいに嫌だ。
「フィー殿、忠告をする」
「忠告? 王様が直々にか。ありがたいね」
「いや、予言と言っていい」
エルブレイドは玉座に座り真剣な表情で俺に言う。
「フィー殿、貴方はいずれ過酷な人生を送ることになるじゃろう。その過程でマキナ殿と愛を育むのは良し。じゃがマキナという人物に気をつけろ」
「……ん?」
何言ってるか全然分からん。
「今は分からなくてもよい。時期に分かる頃が来るじゃろう………それを知るのは世界の始まりが来た時になるかも知れんからのう。じゃがこれだけは言っておく。怪しい神には近付くな。これはフィー殿の為でもあるが、世界の為でもある。これを破った時、お前は死にたくなるほど後悔することになる。それをよく覚えておくことじゃ」
エルブレイドはおちゃらけた表情ではなかった。
真面目に答えている。空気が一瞬ピリついた。
「分かった」
「うむ、忘れるでないぞフィー殿。後悔するのは自分だとそれを覚えておきなさい」
そうして俺は王室を出る。
「……王様は何が言いたかったんだよ。分かんねぇよ」
「なにかなフィー殿」
「魔法を使える者を知らないか?」
「……魔法か。ワシはそんなものを使えるものは知らぬ。じゃが魔法に似た物はある」
「……なんだよ?」
「『強化技術』……ワシが編み出したものじゃがな」
「魔法じゃないのかそれ」
「うむ、似ているが少し違う。その名の通り技術じゃ。技を極めたものだけが使えるもの。血の巡りを感じ取り、一点から全体に至るまで、血流を行き渡らせる。すると、身体能力が飛躍的に向上するというものじゃな」
仙人みたいな考え方だな……。でもそうか、そういうのを駆使して冒険者たちは魔物や魔獣と戦っているのか。
「じゃが、使えるものは数えるくらいしかおらん。ワシが知っておる限りでは、ワシと、エルフォード、エルザのスタイリッシュ家の者。あとは……ワシの弟子だったハンベルと言う奴だ。今はもうどこかへ行きよっての、ワシも行方は知らん」
「その『強化技術』ってやつ見せてくれよ」
「……いいじゃろう」
ブォンッ
あれ……? エルブレイドの王様どこへ行った? 消えたぞ?
「ここじゃ」
「――なに!?」
エルブレイドは俺の背後に立っていた。
おいおい嘘だろ。ついさっきまで玉座に座っていたじゃないか!?
俺とエルブレイドのあいだには少なくとも二十メートル程の距離があった。それなのにあの一瞬で。……もう魔法の域だろそこまでいくと。
「……まぁワシも年老いておるからの。これくらいしか出来ん。エルザは……いずれワシを追い抜く。楽しみじゃ」
「あのお転婆なお嬢ちゃんがか。強いようには見えんが」
「強いぞ? まだエルフォードには敵わんが、すぐ追い越されるじゃろうな」
冒険者にも序列のようなものがあるのだろうか?
ただ、いま王様から見せられたもの。あれは魔法と言ってもおかしくないレベルだ。もし本当にこの世界に魔法が存在しないなら王様が一番強いだろうな。
少なくとも俺では勝てないな。……マキナはどうなんだろう。
マキナでも厳しいのかな? また機会があったら聞いてみるとしよう。
「そういえばマキナ殿はどうしたんじゃ? いつも一緒じゃろ?」
「あぁ、アイツなんか用事があるとか言って出たよ。俺もどこへ行ったかは知らない。なぁ王様、マキナとはどんな関係なんだ?」
「それは男女の仲という意味かの?」
「茶化すな。俺は真面目に聞いてるんだ」
「……ワシは何も知らんよ。昔、助けられたことがある。ただそれだけじゃ」
どうやら嘘はついてなさそうだな。
マキナも教えてくれないだろうし、この話はこれまでか。
「じゃが、マキナ殿こそ神に相応しいとワシは思うの」
「神? そんなもん居てたまるかよ」
「うむ……そうじゃな、今のは忘れてくれ」
「神がいるならこの世界に魔法を使えるようにするべきだろ?」
「フィー殿はそう思うかの? ……ワシはそうは思わん」
なんでだよ。魔法あったほうが便利だろ。実際俺の回復魔法はかなり役に立ったぞ?
「ワシは……魔法がないこの世界が一番好きじゃ。魔法はあるべきじゃない。絶対にのう」
「そうか? 俺は少なくとも魔法があれば色んな人が救えると思うけどな」
「それを悪用するものも現れる……そうは考えんのかの?」
「それは……仕方ない、だろ」
「仕方ないで済めばいいがの。魔法なんて良くも分からない力に頼るより自分で模索して戦う。それが大事じゃとワシは思う」
努力をしろって言いたいのか? 努力はあまり好きじゃない。
努力しても奪われるだけだ。この世界に来る前のオレのように。
誰かに利用されて終わる。俺はそんなのはぜったいに嫌だ。
「フィー殿、忠告をする」
「忠告? 王様が直々にか。ありがたいね」
「いや、予言と言っていい」
エルブレイドは玉座に座り真剣な表情で俺に言う。
「フィー殿、貴方はいずれ過酷な人生を送ることになるじゃろう。その過程でマキナ殿と愛を育むのは良し。じゃがマキナという人物に気をつけろ」
「……ん?」
何言ってるか全然分からん。
「今は分からなくてもよい。時期に分かる頃が来るじゃろう………それを知るのは世界の始まりが来た時になるかも知れんからのう。じゃがこれだけは言っておく。怪しい神には近付くな。これはフィー殿の為でもあるが、世界の為でもある。これを破った時、お前は死にたくなるほど後悔することになる。それをよく覚えておくことじゃ」
エルブレイドはおちゃらけた表情ではなかった。
真面目に答えている。空気が一瞬ピリついた。
「分かった」
「うむ、忘れるでないぞフィー殿。後悔するのは自分だとそれを覚えておきなさい」
そうして俺は王室を出る。
「……王様は何が言いたかったんだよ。分かんねぇよ」
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