攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】

水無月いい人(minazuki)

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第八章 フィー 幻想大戦篇《第二部》

第104話「重なる者」

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『盟約』に誓い、これまで何度も見た白の空間に飛ばされた俺とフタバ。
 
「じゃ早速始めよっか! 先行は譲るよ! 聞きたいことがあるならどうぞ!」
 
 聞きたいこと……か。ありすぎるな。正直三つじゃ全然足りない。ここは慎重に選ぶ必要があるな。
 
 まず一つ目の質問は『アンノーン』の目的についてだな。
 よし、まずはこれでいこう。
 
「お前の目的はなんだ」
「え……? 私の? そんなのでいいの?」
「あ、ああ。さぁ答えろ」
「…………………お金? かな」
「は?」
 
 こいつ今お金って言ったか? 俺の聞き間違いじゃないよな?
 
「おい、それって――」
「おっと! それ以上聞くと二つ目にカウントされるよ? いいのかい?」
 
 俺は咄嗟に口を閉じた。
 
「…………悪い、今のは無しだ」
「いいよ」
 
 危ない所だった。思わず質問を無駄にするところだった。
 にしても、金? 『アンノーン』の目的が金だと? 本当にそうなのか? だが、嘘をついているようでは無いようだ。嘘をつけば『盟約』に違反したと見なされ消滅するはず。していないところを見るにコイツは嘘をついていない。……しかし腑に落ちない。
 
「……じゃあ二つ目……を聞いていいんだよな」
「うん、いいよ。今は君のターンだからね」
 
 二つ目。さて、何にするか。こいつの目的の部分をもっと深堀したい所だが、上手くかわされそうだしな。違う質問にするのが妥当か。
 
「では、二つ目だ」
「うん、どうぞ」
「ここに俺達を閉じ込める理由はなんだ。気まぐれではないだろう」
「……そうだね。気まぐれではない。君たちが邪魔だったからという話になったからそうしただけだよ」
 
 話になった……? つまり一人で出した答えではないということか。マズイ、上手く答えを躱されている気がする。真実を暴こうとしてもその奥の真相が全く見えてこない。やっぱり俺はバカだ。マキナであればこんなヘマはしないんだろうな。あるいはエルザか。あいつは基本バカお嬢様だが、大事な場面では人が変わったかのように頼りになる。
 
「あと一つだね」
「…………では最後の質問だ」
「うん、どうぞ」
「………『アンノーン』。お前は一人か?」
「………………良い質問だね。答えはノー・・だ」
 
 という事はやはり一人ではないのか。『アンノーン』は複数人居る……この質問に至ったのには理由がある。
 
 向こうの世界で現れたという『アンノーン』と、オーディンとの通信を妨害し、こちらに話しかけてきた『アンノーン』。俺の目の前にいる『アンノーン』はそのどちらとも違う気がした。
 
 口調や笑い方、品性のようなものが俺に干渉してきた者とは違った気がした。俺は目の前のコイツの事を知らない。だが、何故だろうか。俺はコイツを知っている気がする。
 
「じゃ、次は私の番だね」
 
 次はフタバの番だ。全く質問の予想が付かない。こいつは俺に何が聞きたいんだ……?
 
「そんな気構えなくていいよ、軽い質問にしてあげるから!」
「ああ、それなら助かる」
 
 もちろん信じてなどいない。
 
「……君は今、エーシルとの『盟約』で得た闇の力を行使できるのかい? もちろんこの場合、今私達がいるこの日本という世界でという意味だよ」
 
 ん……? なに? 死を呼ぶ回復魔法デスヒールの事を言っているのかこいつ。
 
「……まだ試したことは無いが、使えるんじゃないか?」
「…………ふーん、分かったよ」
「こんな曖昧な答えでも良いのか?」
「うん! 君がもし使えなくても使える・・・と思い込んでいればそれが答えになるし、その逆もそうだよ」
 
 そうなのか。だが実際使えるんだろうか。俺は使える気でいたがこの質問をされた事で少し疑問に思う。だが、試すにしては危険すぎる魔法だ。そんな機会は無さそうだな……。
 
「じゃ、二つ目いくね」
「ああ」
「君は神についてどう思う?」
 
 神について……そんなものを聞いてどうするんだ。
 しかし、答えなければならない。俺が神について思っている事か。
 
「そうだな……身勝手なやつらだと思う」
「うんうん、だよね!」
「ただ、可哀想だとも思う」
「ふーん……そう」
 
 なんだこいつ。神に恨みでもあるのか? 露骨にテンションが下がったな。
 
「次が最後だフタバ」
「……うん、そうだね。じゃあ最後はね――」
 
 最後の質問。今までの質問は意図が読めなかった。一体どんな質問をしてくるのか。
 
「――君は今、罪悪感を抱いているかい?」
「…………イエス」
「だろうね。ではこれで最後だ」
「こんな質問でいいのか」
「言ったでしょ? 軽い質問だって」
 
『盟約』をしてまでする質問には思えなかったな。だが、フタバは満足そうな顔だった。
 
「はい、じゃあ『盟約』はここで終わる」
「なんか呆気ないな」
「あははは! そうだね!」
 
『盟約』によって作り出されたこの白い空間にヒビが入り始める。
 何度見てもこの世界の終わりを迎えるようなこの瞬間が嫌いだ。
 マキナとの別れを思い出してしまう。
 
 結局あまり情報は引き出せなかった。やっぱり戦うしかこの幻想世界から出る方法は無いのか。こちらにはエルザが居るから負けることはないと思うが。
 
「あ、そうだ! 戦う、なんて選択肢は辞めた方がいいよ? 私に勝てるわけないからね!」
「お前心でも読んだか」
「あはは! まさか!」
 
 確かに力を発揮できないとは言え、セリナの背後を取るくらいだ。実力はあるんだろう。だが、ここは日本。ヒト・・である以上、異世界の住人であるエルザには勝てないだろう。
 
「戦うなら止めはしないよ」
「この世界から出る方法が聞き出せなかったからな。手荒にはなるが、この世界から出る為なら俺は誰だろうと容赦しない。最悪お前を殺してでもここから出るつもりだ」
「……殺すなんて怖いこと言うね。それなら私も全力で迎え撃つよ。言っとくけど、手加減しないからね?」
 
 手加減か。それはこっちのセリフだ。
 
「この空間を出たら戦闘開始だ」
「残念だけどそうだね!」
「じゃあなオーディン・・・・・
「うん! また………え?」
「はっ、引っかかったなバカめ。俺を甘く見すぎだ」
 
「…………そ」
  
 白い空間が開けた時、それが戦闘開始の合図となった。
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