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ドラゴンボーイ

File.00 XXX

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自分がもっと強かったら───何度そう願っただろうか───自分にもっと勇気があったら───何度そう後悔しただろうか───


 突然の爆発により町は焼け野原になり、そこらじゅうで叫び声や悲鳴が聞こえていたような気がする。
 俺は一人、炎の中を歩き回る。
 どこにも行くあてもなく……どこかを目指している訳でもない。
 ただ、誰かに助けて欲しかったんだと思う。
 幾らか歩いていると、目の前に何人かの人が立ちはだかる。その人たちは見た目は人だが明らかに人ではなかった。
 その人たちから逃げ回った。
 何度転んでも立ち上がり、泣きじゃくりながら、体中に怪我を負いながら、走り続けた。
 いつの間にか追っ手はいなくなり、俺は安堵の息を漏らすと同時に、気を失った。
 だけど覚えている。

 俺が気を失う直前に、目の前にはとても綺麗な黄金が写っていた。


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