【R-15】【二章完結】世界最強の爆乳魔術師のお姉さんは今後生涯、最愛の少年ご主人様の奴隷です

こころ さづき

文字の大きさ
20 / 54
第一章:世界最強の魔術師と隷属の首輪

020 告白

しおりを挟む
「花飾りの射手」ことカヤとの死闘、そして別れから数日後───。

 ガイルは、「花飾りの射手」討伐というAランク任務を成功させたことで、その実力を認められ、Aランク冒険者へと昇格した。それは、並大抵の努力では到達できない、冒険者としての栄誉ある地位であり、ギルド内外から称賛の声が上がった。

「やりましたわね…! Aランク昇格、おめでとうございます、ご主…いえ、ガイル様!…ふふっ、でも、当然の結果ですわ。あなた様なら、更なる高みを目指せますもの!」

 セレスティアは、ガイルの成長を誰よりも喜んでいた。冒険者ギルドでAランク昇格を告げられた時、彼女はまるで自分のことのように飛び上がり、その場でガイルを抱きしめた。彼の努力が実を結んだこと、そして、その成長に自分が少しでも貢献できたことが、何よりも嬉しかった。しかし、その喜びを共有する一方で、彼女の指導以上に、ガイル自身の不屈の精神と努力が彼をAランクへと押し上げたのだと、セレスティアは理解していた。

 だが、ガイルの心は、晴れやかではなかった。セレスティアの献身的な愛と完璧な奉仕を受けるたび、胸が締め付けられるような痛みを覚える。祝いの席でも、セレスティアが隣で微笑むたびに、彼は視線を逸らし、杯を重ねた。その胸中には、拭い去れない罪悪感が渦巻いていた。

(俺はセレスティアを欺いている…。首輪の力で縛り付け、彼女の心を偽りの愛で満たしている…。本当の彼女は、俺をどう思うだろうか? 軽蔑するだろうか? それとも…拒絶するだろうか…?)

 宴が終わり、宿に戻る際、ふと夜空を見上げた際、彼はカヤとの最期の会話を思い出した。

『…どうか…これからも、仲良くしてやってくださいね…』

 姉の言葉が、まるで昨日のことのように、耳の奥で鮮やかに蘇る。あの優しい声が、今の自分を責めているように聞こえた。カヤは、自分とセレスティアが、本当の意味で支え合い、共に生きていくことを望んでいたのではないだろうか。今の自分は、姉の願いを裏切っているのではないか。

(俺は…このまま嘘をつき続けるのか…? セレスティアの心を、弄び続けるのか…?)

 問いは、暗闇の中でこだまする。答えは、まだ見つからない。しかし、ガイルの瞳に、微かな光が宿り始めていた。

(もう…逃げない。セレスティアに、全てを打ち明けよう…)


 ---


 ガイルは、セレスティアに大事な話があると伝えた。場所は、二人がいつも使っている、宿の一室。卓袱台の上に置かれたランプが、部屋全体をぼんやりと照らしている。

 ガイルは卓袱台の前に座ると、一度大きく深呼吸した。向かい側に座るセレスティアは、いつもと変わらぬ穏やかな表情で彼を見つめている。

「セレスティア…」

 意を決してガイルは切り出した。

「…まずは…姉さんのことについて改めて御礼を言わせてほしい」

 セレスティアは静かに頷いた。セレスティアは、静かにガイルの言葉に耳を傾けている。その表情は穏やかだが、わずかに瞳が揺れているように見えた。

「…『解呪の聖石』がなければ、姉さんは死霊のままだった。セレスティア、お前のおかげで姉さんは救われたんだ。本当に…ありがとう…」

 ガイルはそこで言葉を切り、セレスティアの反応をうかがった。彼は、あの聖石が王から借り受けたものであり、彼女自身のこれまで得てきた全てを担保にして一時的に譲り受けた貴重なものだということを後で知った。それだけに、この感謝の言葉も、簡単に口にできるものではないと感じていた。

 セレスティアは、ガイルの視線を受け止め、小さく微笑んだ。そして、彼の言葉を噛みしめるように、ゆっくりと口を開いた。

「…わたくしも…お姉様を救うことができて…嬉しいです。あの方の最期の願いを…少しでも叶えられたのなら…せめてもの救いですわ…」

 セレスティアの言葉を聞きながら、ガイルはあの聖石の輝きを思い出していた。カヤを救った、あの神秘的な力。そして、その力は今もセレスティアの手の中にある…。彼は、ある考えに囚われ、どうしても確かめなければならない衝動に駆られていた。

「…セレスティア…すまない。…その…」

 ガイルは言い淀み、一度言葉を切った。そして、意を決したようにセレスティアを見つめ、震える声で言った。

「…もう一度、その聖石を…見せてくれないか…? …どうしても、確かめたいことが、あるんだ…」

 セレスティアは一瞬、何かを考えるような表情を見せたが、すぐにいつもの穏やかな笑みを浮かべた。

「…ええ、構いませんわ、ご主人様」

 セレスティアは肌身離さず持ち歩いているポーチから小箱を取り出し、そっと箱を開けた。聖石は、まるでガイルの心の揺らぎに呼応するかのように、静かに、しかし力強く青白い光を放っていた。その静謐な輝きは、今のガイルの張り詰めた緊張感を、より一層際立たせているようだった。

 ガイルは意を決して口を開こうとするが、緊張でうまく声が出ない。それでも、なんとか、言葉を紡ぎ出そうと、震える唇を必死に動かした。

「セレスティア…俺は、お前にずっと聞きたいことがあった…」

「…なんでしょう、ご主人様」

 セレスティアは、いつもと変わらぬ穏やかな表情で、ガイルを見つめた。

「お前は…本当に、俺のことを愛しているのか…?それとも…これは、首輪のせいなのか…?」

 ガイルの言葉に、セレスティアはきょとんとした表情を浮かべた。小首をかしげ、まるで何を言われたのか理解が追いついていないかのようだ。

「…ええと、どういう意味でしょうか…?」

 その声は、いつもより幼い印象を受ける。まるで、ガイルの真意が掴めず、純粋に問い返しているかのようだった。

 …数秒の沈黙が流れる。ガイルは息を呑み、セレスティアはわずかに眉をひそめた。…が、それ以上の感情は読み取れない。

「…このままじゃ…俺は、もう耐えられないんだ…」

 ガイルは絞り出すような声で言った。これまで、罪悪感と嘘で塗り固められた関係に苦しんできた。セレスティアの笑顔を見るたびに、胸が締め付けられるような思いだった。真実を知りたい。彼女の本当の気持ちを知って、この苦しみから解放されたい。そして、もし、彼女の愛が偽りならば…その時は…。

「…お前の本当の気持ちを知りたいんだ…」

 ガイルは、セレスティアの瞳を真っ直ぐに見つめながら、そう言った。その瞳には、真実を知りたいという強い意志と、わずかな恐怖が入り混じっていた。

 セレスティアは、何も答えず、ただ静かにガイルを見つめている。その瞳は、ランプの光を受けて、静かに揺らめいているように見える…が、そこにどんな感情が宿っているのか、ガイルには読み取ることができない。

「この『解呪の聖石』を使って、首輪の呪縛を解いてくれ…そして、本当のお前の気持ちを教えてほしい…。俺は…真実を知りたいんだ…」

 言葉にしながら、ガイルは自分の心臓が早鐘のように鳴り響くのを感じた。まるで、これから下される判決を待つ罪人のような気分だった。セレスティアの答えが、自分の未来を、二人の関係を、永遠に変えてしまうかもしれない。その重圧に、押しつぶされそうになる。

 セレスティアは、ガイルの顔をじっと見つめた後、ゆっくりと、そして力強く、ガイルの手を掴んだ。その手は、わずかに震えているように感じられた。

「セレスティア…?」

「…ふふふ」

 突然、セレスティアが静かに笑みを浮かべた。その笑みが何を意味するのか、ガイルには全く分からなかった。彼女は小さく息を吐き、そして、震える声で言った。

「…あなたは、本当に、わたくしが、まだ、あの首輪に縛られていると、思っているのですか…?」

「え…?」

 セレスティアは、そう言いながら、自らの首元に手をやった。

「な…!?」

 次の瞬間、ガイルは、驚愕の表情を浮かべる。

 セレスティアの首元には、あの『認識改変の首輪』が未だ嵌められている。しかし、それは、以前見たものとは明らかに違っていた。全体にひびが入り、魔力の光は完全に失われ、まるで、ただの金属の輪のように見えた。

 セレスティアは、壊れかけた首輪を見つめながら、静かに語り始めた。

「…実は、あの首輪の呪いは、王都ではじめて『解呪の聖石』に触れたときに、もうとっくに、解けていたのです…」

「…じゃあ、それから今までのは…」

「………すべて、わたくしの、意志です」

 セレスティアは、そう言って、わずかに寂しげな、複雑な笑みを浮かべた。その瞳には、微かな光が宿っているように見えた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

クラス転移したからクラスの奴に復讐します

wrath
ファンタジー
俺こと灞熾蘑 煌羈はクラスでいじめられていた。 ある日、突然クラスが光輝き俺のいる3年1組は異世界へと召喚されることになった。 だが、俺はそこへ転移する前に神様にお呼ばれし……。 クラスの奴らよりも強くなった俺はクラスの奴らに復讐します。 まだまだ未熟者なので誤字脱字が多いと思いますが長〜い目で見守ってください。 閑話の時系列がおかしいんじゃない?やこの漢字間違ってるよね?など、ところどころにおかしい点がありましたら気軽にコメントで教えてください。 追伸、 雫ストーリーを別で作りました。雫が亡くなる瞬間の心情や死んだ後の天国でのお話を書いてます。 気になった方は是非読んでみてください。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

処理中です...