【R-18】正義のヒーローが悪の組織の女幹部に籠絡されたせいでヒーロー戦隊が壊滅して世界征服危機が訪れるなんてことは絶対起きるわけがない!!

こころ さづき

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001 ダークドミネーションの女幹部ナウラの策!

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 薄暗い地下の会議室に、重苦しい空気が漂っていた。壁は黒ずんだコンクリートで覆われ、ひび割れが無数に走っている。中央に置かれた長テーブルは、傷だらけで表面が剥げかけ、古びた金属の脚が床に軋む音を立てていた。テーブルの上には、散乱した地図や設計図が無秩序に積み重なり、一部は端が焦げて黒く変色していた。天井から吊り下げられた裸電球が弱々しく揺れ、時折チカチカと点滅し、部屋全体に不気味な影を投げかけていた。空気は湿気を帯び、黴臭さが鼻をつき、どこか遠くで水滴がポタポタと落ちる音が響き渡る。

 テーブルの周りに集まったのは、悪の組織『ダークドミネーション』の幹部たちだった。彼らの顔には、苛立ちと疲労が色濃く浮かんでいた。先ほどまでの戦闘で、戦隊ヒーロー『ライトウイングス』に再び敗北を喫したばかりだ。彼らの華やかなカラースーツと、鳥の様に鮮やかに舞う姿が脳裏に焼き付いて離れない。幹部たちは互いに顔を見合わせ、口を開くのをためらっていたが、やがて重い沈黙を破ったのは、組織のリーダー格であるガルザードだった。

 ガルザードは、体躯こそがっしりとしていたが、その顔は青白く、やつれていた。額には深い皺が刻まれ、鋭い眼光が電球の光を反射してギラリと光る。彼の声は低く、喉の奥から絞り出すように響いた。「まただ。またあの小僧どもにやられた。奴らの動きは素早く、連携は完璧だ。このままでは我々の野望は潰えてしまうぞ」。彼の手がテーブルを叩き、鈍い音が部屋に反響した。指先には爪が伸び、黒ずんだ汚れがこびりついている。

 その言葉に、他の幹部たちがざわめき始めた。左端に座るゾルガは、瘦せこけた体に黒いローブを纏い、長い指で顎を撫でながら目を細めた。

「確かに奴らは厄介だ。そして、我々が彼らの正体を知らないという弱点は変わらない。あのスーツの下に何があるのか、基地はどこにあるのか……それさえ掴めば、形勢は逆転する」

 彼の声はかすれ、まるで風が枯れ木の間を抜けるような音だった。鼻腔に漂う湿気と混じり合い、聞く者の耳に不快感を与えた。

 右側に立つ巨漢のバロッグは、拳を握り潰しそうな勢いでテーブルに叩きつけた。筋肉질の腕に浮かぶ血管が脈打ち、汗が額から滴り落ちて床に小さな染みを作った。

「なら力ずくで吐かせればいい!俺があの青い奴を捕まえて、骨の一本でも折ってやれば、すぐに口を割るさ!」

 彼の息は荒く、口から吐き出される熱気がテーブルの上の紙をわずかに揺らした。だが、その提案にゾルガが冷たく笑う。

「お前のような脳筋では、奴らに近づく前にやられるだけだ」

 バロッグの顔が赤く染まり、怒りに震えたが、ガルザードが手を挙げて制した。

 そして、テーブルの奥に静かに座っていた女幹部ナウラが、初めて口を開いた。彼女の声は、他の者たちとは異なり、柔らかく澄んでいたが、その裏に冷酷な響きを隠していた。

「力も策も、これまで通りのやり方ではライトウイングスに勝てないことは明白です。私に一つの策があります」

 彼女が立ち上がると、長い黒髪が背中を滑り落ち、電球の光に照らされて艶やかに輝いた。深紅のドレスが彼女の曲線を際立たせ、足音が床に軽く響く。彼女の唇に浮かぶ微笑みは、どこか妖艶で、まるで獲物を狙う蛇のようだった。

 ガルザードが眉を上げ、興味深げに彼女を見た。

「ほう、ナウラ。お前が何か企んでいる顔だな。言ってみろ」

 他の幹部たちも一斉に視線を彼女に集中させた。ゾルガの目は猜疑心に満ち、バロッグは鼻を鳴らして腕を組んだ。

 ナウラは一歩前に進み、テーブルの縁に手を置いた。彼女の手には薄い黒のグローブが嵌められていた。

「ライトウイングスを直接叩くのではなく、彼らの懐に入り込むのです。私が人間の姿を装い、彼らに近づきます。そして、彼らの信頼を得て、正体と基地の場所を引き出すのです」

 彼女の声は穏やかだったが、その言葉には鋭い刃のような冷たさが宿っていた。会議室に漂う黴臭い空気が、彼女の香水の甘い匂いと混ざり合い、不思議な緊張感を生み出した。

 ゾルガが目を細め、疑わしげに呟いた。

「なるほど……確かに悪くはないが、お前が人間のふりをできるのか?奴らは鋭いぞ」

 ナウラは小さく笑い、首を振った。

「心配は無用です。私は人間の感情を完璧に模倣できます。笑顔も涙も、必要とあれば愛さえも演じられる。彼らが私を疑う理由は与えません」

 彼女の瞳が一瞬、光を受けたように輝き、それはまるで深い闇の中に潜む炎のようだった。

 ガルザードがゆっくりと頷き、口元に薄い笑みを浮かべた。

「面白い。ナウラ、お前に任せよう。だが失敗は許さん。奴らの首を握り潰す鍵はお前が握っていると思え」

 彼の声に力がこもり、テーブルに置かれた地図が震えた。

 バロッグが不満げに唸ったが、ナウラは彼を一瞥しただけで無視し、静かに席に戻った。彼女の指が髪を軽くかき上げると、かすかな風が動き、会議室の空気が一瞬だけ軽くなった。電球が再びチカチカと点滅し、影が揺れる中、ダークドミネーションの新たな策略が動き始めていた。

「ナウラ、お前の言う策だが……具体的にどうするつもりだ?ライトウイングスは街のどこかに潜んでいる。奴らを見つけ出すだけでも一苦労だぞ」

 ガルザードの声には、期待と疑念が混じり合っていた。彼の唇がわずかに歪み、歯の間からかすかな息が漏れ、彼の苛立ちをさらに煽っているかのようだった。

 ナウラは落ち着いた仕草で髪を耳にかけ、視線をガルザードに合わせた。彼女の瞳は深く、まるで底の見えない湖のようだった。

「まず、私が市民として街に溶け込みます。彼らは正義の味方を気取っているのですから、困っている者を放っておけないはず。偽の危機を演出し、彼らをおびき寄せるのです」

 彼女の声は滑らかで、まるで絹の布が風に揺れるような柔らかさがあった。だが、その言葉の裏には計算し尽くされた冷酷さが潜んでいた。彼女の指がテーブルの縁を軽く撫でると、かすかな擦れる音が響き、ゾルガの耳に不快に届いた。

 ゾルガが身を乗り出し、長い爪で顎を掻きながら口を挟んだ。

「危機を演出するだと?例えばどうする気だ。お前が悲鳴を上げて助けを呼べば、奴らが飛んでくると思っているのか?甘いな」

 彼の声は嘲笑に満ち、口元が歪んで歯茎が覗いた。ローブの裾が床に擦れ、埃が小さく舞い上がる。彼の吐息が冷たく、会議室の湿気と混じって一層重苦しい空気を生み出した。

 ナウラはゾルガの挑発に動じず、むしろ小さく微笑んだ。その笑みは、まるで氷の上に咲く花のように美しくも冷たかった。

「甘いかどうかは結果が証明します。私は単に叫ぶだけではなく、彼らの心を掴む状況を作り出します。例えば、ダークドミネーションの怪人を街に放ち、私がその犠牲者を演じる。怪人が私を襲う寸前でライトウイングスが現れ、私を救うのです」

 彼女の言葉は淀みなく流れ、まるで事前に何度も練習した台詞のように完璧だった。彼女の指が髪を軽く巻き、甘い香水の匂いが一瞬だけゾルガの鼻を掠めた。

 バロッグが突然立ち上がり、巨体が椅子を軋ませて倒しそうになった。

「怪人を出すなら俺が行く!あの赤いやつを叩き潰してやる!」

 彼の声は野太く、会議室の壁に反響して耳に響いた。汗が彼の額から滴り落ち、テーブルの上に小さな水滴を散らした。その熱気が、冷え切った部屋にわずかな暖かさをもたらしたが、同時に彼の荒々しさが場の空気を乱した。

 ガルザードが片手を上げ、バロッグを制した。

「落ち着け、バロッグ。お前が行けばただの乱闘になるだけだ。ナウラの策は繊細さが命だ。お前のような粗暴者には向かん」

 彼の声には威厳があり、バロッグが渋々腰を下ろすと、椅子がギシリと悲鳴を上げた。ガルザードの視線が再びナウラに戻る。

「怪人を使うのは悪くない。だが、どの怪人を選ぶ?奴らが疑わない程度に派手で、しかしナウラを傷つけすぎない程度に抑える必要がある」

 ナウラは静かに頷き、テーブルの上に散らばった紙の中から一枚を抜き出した。それらは怪人の設計図であり、数々の異形の姿が浮かんでいた。

「この『シャドウクロウ』を使います。鋭い爪と素早い動きで彼らを翻弄しつつ、私には致命傷を与えないよう制御可能です。私が怪人に襲われる場面を演出し、ライトウイングスが介入する隙を作るのです」

 彼女の指が紙を軽く叩くと、かすかな紙の擦れる音が響き、設計図の怪物の目がまるで生きているかのように光を反射した。

 ゾルガが目を細め、設計図を覗き込んだ。

「シャドウクロウか……確かに悪くない選択だ。だが、ナウラ。お前が怪人に襲われる演技をするとして、どうやって奴らの信頼を得るつもりだ?一度助けたくらいで、正体を明かすとは思えんぞ」

 彼の声には依然として疑念が滲み、長い指が設計図の端を摘んで揺らした。

 ナウラの唇が再び弧を描き、自信に満ちた笑みを浮かべた。

「一度では足りないでしょう。だから、私は何度も彼らに接触します。助けられた市民として感謝を述べ、彼らの活動に興味を示し、少しずつ距離を縮めるのです。人間は感情に弱い。彼らが私を仲間だと感じた瞬間、私の手の中に落ちてくるでしょう」

 彼女の声には甘さが混じり、まるで蜂蜜のように耳にまとわりついた。彼女の瞳が電球の光を浴びて輝き、それはまるで夜空に浮かぶ星のようだった。

 ガルザードが深く息を吐き、椅子にもたれると背もたれがきしんだ。

「いいだろう。ナウラ、この作戦はお前に一任する。シャドウクロウの手配はゾルガに任せ、バロッグは怪人の支援に備えろ。失敗すれば、次はお前たちの首が飛ぶと思え」

 彼の声が低く響き、会議室の空気が一瞬にして凍りついた。

 ナウラは静かに立ち上がり、深紅のドレスが床を滑る音を立てた。彼女の足音が遠ざかると、会議室には再び黴臭い湿気と電球の点滅音だけが残った。ダークドミネーションの新たな策略が、静かに、しかし確実に動き始めていた。
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