1 / 3
前編
王都のルーファス商会の玄関で、私は空しい戦いをしていた。
「だぁからぁ! お前には用は無いんだよ! 伯父様に会いに来たの!」
「ルーファス様は外出中です」
「伯父様の部屋で待たせろよ!」
「部外者は入れられません」
「俺は甥だぞ! 部外者じゃ無いだろう!」
「うちの商会の者ではありませんから」
「俺は伯父様の後継者だぞ!」
「今は部外者です」
いつまでこの会話をループしたら諦めてくれるんだろう…。
私はコレット、20歳。13歳で孤児院を出てから7年ルーファス商会で働いているそこそこ中堅だ。
私に怒鳴っているのは、デニス・ジーモン。ルーファス商会会長のエドガー・ルーファス・ジーモン男爵の弟の息子。
ルーファス様は幼いころから虚弱で長くは生きられないと言われていたため、いずれ男爵の座が自分に転がり込んで来ると信じているルーファス様の弟夫婦の子供だ。一家そろって棚からぼたもちを待っているうちに、こいつは18歳になっても仕事をしたことが無い、仕事をする気が無い立派なクズに育った。
「平民風情が!」
「ジーモン様も平民ですよね」
「俺は男爵の後継者だ! このオールドミス!」
「おやおや、失礼な言葉が聞こえたな」
いつの間にかルーファス様が帰っていたようだ。体が細いせいか、いつも足音をさせずに近くにいる。
「デニス。商会を継ぐ気があるのなら、女性に対する態度を改めた方がいいな」
「伯父様、俺は…」
「それから、カジノから請求書が届いたよ。私は支払わないから自分で何とかしなさい」
「そんなっ! あんな金額をどうやって」
「カジノで稼げばいいだろう?」
デニスに軍資金を握らせるルーファス様。鬼だ。デニスは上機嫌で帰って行った。
「ルーファス様、顔色が悪いです。商談は上手くいかなかったのですか?」
「キール様は厳しいね。テンツ織をうちの赤で染めたら売れると思うんだけどなぁ」
ジーモン男爵領は染色が盛んだ。ルーファス様は、各地の布をジーモン領の独特な染色で染めた物を売る商会を8年前に始めた。その事業は軌道に乗り、5年前に王都に出店した。
追いかけて来た弟一家は、すっかり王都に染まったようだ。
「テンツ織は薄手なので急がなくても。これから寒くなるので、レピア領のシュタイン織をもっと納品してもらうように出来ませんか? あと、レダ工房から生糸の染の依頼です」
「あそこは注文がうるさいでしょう」
「でも、必ず流行しますからそれに合う小物を作るチャンスです」
「そこは女性に任せるよ」
「興味持ってください!」
「無理~」
「だぁからぁ! お前には用は無いんだよ! 伯父様に会いに来たの!」
「ルーファス様は外出中です」
「伯父様の部屋で待たせろよ!」
「部外者は入れられません」
「俺は甥だぞ! 部外者じゃ無いだろう!」
「うちの商会の者ではありませんから」
「俺は伯父様の後継者だぞ!」
「今は部外者です」
いつまでこの会話をループしたら諦めてくれるんだろう…。
私はコレット、20歳。13歳で孤児院を出てから7年ルーファス商会で働いているそこそこ中堅だ。
私に怒鳴っているのは、デニス・ジーモン。ルーファス商会会長のエドガー・ルーファス・ジーモン男爵の弟の息子。
ルーファス様は幼いころから虚弱で長くは生きられないと言われていたため、いずれ男爵の座が自分に転がり込んで来ると信じているルーファス様の弟夫婦の子供だ。一家そろって棚からぼたもちを待っているうちに、こいつは18歳になっても仕事をしたことが無い、仕事をする気が無い立派なクズに育った。
「平民風情が!」
「ジーモン様も平民ですよね」
「俺は男爵の後継者だ! このオールドミス!」
「おやおや、失礼な言葉が聞こえたな」
いつの間にかルーファス様が帰っていたようだ。体が細いせいか、いつも足音をさせずに近くにいる。
「デニス。商会を継ぐ気があるのなら、女性に対する態度を改めた方がいいな」
「伯父様、俺は…」
「それから、カジノから請求書が届いたよ。私は支払わないから自分で何とかしなさい」
「そんなっ! あんな金額をどうやって」
「カジノで稼げばいいだろう?」
デニスに軍資金を握らせるルーファス様。鬼だ。デニスは上機嫌で帰って行った。
「ルーファス様、顔色が悪いです。商談は上手くいかなかったのですか?」
「キール様は厳しいね。テンツ織をうちの赤で染めたら売れると思うんだけどなぁ」
ジーモン男爵領は染色が盛んだ。ルーファス様は、各地の布をジーモン領の独特な染色で染めた物を売る商会を8年前に始めた。その事業は軌道に乗り、5年前に王都に出店した。
追いかけて来た弟一家は、すっかり王都に染まったようだ。
「テンツ織は薄手なので急がなくても。これから寒くなるので、レピア領のシュタイン織をもっと納品してもらうように出来ませんか? あと、レダ工房から生糸の染の依頼です」
「あそこは注文がうるさいでしょう」
「でも、必ず流行しますからそれに合う小物を作るチャンスです」
「そこは女性に任せるよ」
「興味持ってください!」
「無理~」
あなたにおすすめの小説
婚約破棄?それならこの国を返して頂きます
Ruhuna
ファンタジー
大陸の西側に位置するアルティマ王国
500年の時を経てその国は元の国へと返り咲くために時が動き出すーーー
根暗公爵の娘と、笑われていたマーガレット・ウィンザーは婚約者であるナラード・アルティマから婚約破棄されたことで反撃を開始した
やはり婚約破棄ですか…あら?ヒロインはどこかしら?
桜梅花 空木
ファンタジー
「アリソン嬢、婚約破棄をしていただけませんか?」
やはり避けられなかった。頑張ったのですがね…。
婚姻発表をする予定だった社交会での婚約破棄。所詮私は悪役令嬢。目の前にいるであろう第2王子にせめて笑顔で挨拶しようと顔を上げる。
あら?王子様に騎士様など攻略メンバーは勢揃い…。けどヒロインが見当たらないわ……?
もう、終わった話ですし
志位斗 茂家波
ファンタジー
一国が滅びた。
その知らせを聞いても、私には関係の無い事。
だってね、もう分っていたことなのよね‥‥‥
‥‥‥たまにやりたくなる、ありきたりな婚約破棄ざまぁ(?)もの
少々物足りないような気がするので、気が向いたらオマケ書こうかな?
最後に言い残した事は
白羽鳥(扇つくも)
ファンタジー
どうして、こんな事になったんだろう……
断頭台の上で、元王妃リテラシーは呆然と己を罵倒する民衆を見下ろしていた。世界中から尊敬を集めていた宰相である父の暗殺。全てが狂い出したのはそこから……いや、もっと前だったかもしれない。
本日、リテラシーは公開処刑される。家族ぐるみで悪魔崇拝を行っていたという謂れなき罪のために王妃の位を剥奪され、邪悪な魔女として。
「最後に、言い残した事はあるか?」
かつての夫だった若き国王の言葉に、リテラシーは父から教えられていた『呪文』を発する。
※ファンタジーです。ややグロ表現注意。
※「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載。
他国ならうまくいったかもしれない話
章槻雅希
ファンタジー
入り婿が爵位を継いで、第二夫人を迎えて後継者作り。
他国であれば、それが許される国もありましょうが、我が国では法律違反ですわよ。
そう、カヌーン魔導王国には王国特殊法がございますから。
『小説家になろう』『アルファポリス』に重複投稿、自サイトにも掲載
断罪茶番で命拾いした王子
章槻雅希
ファンタジー
アルファーロ公爵嫡女エルネスタは卒業記念パーティで婚約者の第三王子パスクワルから婚約破棄された。そのことにエルネスタは安堵する。これでパスクワルの命は守られたと。
5年前、有り得ないほどの非常識さと無礼さで王命による婚約が決まった。それに両親祖父母をはじめとした一族は怒り狂った。父公爵は王命を受けるにあたってとんでもない条件を突きつけていた。『第三王子は婚姻後すぐに病に倒れ、数年後に病死するかもしれないが、それでも良いのなら』と。
『小説家になろう』(以下、敬称略)・『アルファポリス』・『Pixiv』・自サイトに重複投稿。