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56:アンティエルの威迫~後編~
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コルネリウス王は前に出た。
「『竜の祖』アンティエル殿、お初にお目にかかります。私はフェリス王国のコルネリウス・フェリスと申します。話は伺っております。私の息子と番であると。」
「うむ、其方の息子は妾の番じゃな。」
「大変に名誉なことで、有りがたいのですが、息子は一国の王子です。本来であれば国の礎としての役割を果たさなければいけないのです。」
「・・・ほう?何が言いたい?」
アンティエルは訝しい顔をした。フェルディナント王子は、ギョッとした。父には、コルネリウス王には竜は国の政には関与しないと散々言っておいたのに、まさか言うつもりではないのかと。そして嫌な予感は当たってしまった。
「貴方様のお力を、我がフェリス王国の為に、お使いいただけないでしょうか?」
「その件は、妾の番から話があったであろう。妾達の盟約により、国には関与しないと決まっておるのじゃ。」
だが、コルネリウス王は引かなかった。
「そ、それは伺っておりますが、先ほども申しましたように、本来王子は国の為に、政略結婚が必要なのです。それができなくなるという事では・・・」
「ほう・・・それなりの見返りが必要じゃと?」
「僭越ながら、仰る通です。」
アンティエルは、コルネリウス王の話を聞いて、それはそれは美しい笑顔になった。それを見たコルネリウス王は、押して良かったと思ったが、すぐにそれは間違いであったと思い知らされた。アンティエルは持っていた扇をパンと、閉じた。
「ふむ、やはりこの姿では説得力に欠けるのじゃろうな。」
アンティエルがそういうと、次の瞬間眩い光に包まれた。
光はドンドン大きくなってゆき、やがて、光が収まってきたその場所には、飛竜の比ではない大きさの白い竜が立っていた。飛竜に似ているようでその姿はまさに神獣、神々しいという言葉がぴったりと当てはまるアンティエルの竜の姿であった。
『誰に向こうて、そのような駆け引きを申しておる!!見返りが欲しいじゃと?妾は6竜が長女、白金のアンティエルじゃ。』
場は騒然とした。さきほどまでの美女が本来の竜の姿を現したからだ。飛竜から女性の姿になっただけでも驚いたが、今度は人の姿から竜の姿を見せられ場は緊張感に包まれた。セレスティアも本来の『竜の祖』の姿を見たのは初めてで、確かにイシュタルもカイエルも飛竜は本来の姿ではないと聞いてはいたが、これほどまでに巨大だとは思ってもみなかったのである。
『元からお主の許可なんぞいる必要はないのじゃ。じゃが、番の気持ちを組んで一応確認するという機会を与えただけじゃ。人間如きが我ら竜を従えられると思うてか?笑止千万、今ならば戯言として聞き流してやらんでもない。さぁどうするのじゃ?』
竜の姿になったアンティエルは、有無を言わせない圧倒的な迫力があった。確かにこの姿の竜が、フェリス王国の味方についてくれたのなら、他国を牽制することは容易くはなるだろう。しかし当の竜本人は、それをしないと名言し、わざわざ竜の姿にまでなって抗弁してくるのであれば、これ以上歎願しても逆に怒りを買うであろうことは、コルネリウス王にもわかった。
「も、申し訳ございません。二度と申しません。」
「そもそも、妾たちはストッパー役を担っておるのじゃ。そんなことも知らずに、戯けたことをぬかしおってからに。二度はないぞ。」
「は、ははっ!」
さすがにコルネリウス王もこれ以上ごり押しするは自殺行為に等しいことは、自他共に誰しもがわかった。
セレスティアはアンティエルの話に中にあったストッパーという意味が一体何のことなのか疑問があったが、さすがに聞き返せる雰囲気ではなかったので、後で聞いてみようと思った。そしてカイエルに視線を映してみれば、カイエルの様子がおかしいことに気が付いた。
「カイエル?」
「う、ううっうっ・・・」
カイエルは竜になったアンティエルを見て動揺していた。目を見開いて、まるで何かに恐れ慄く様に震えてるかと思えば頭を抱え始めた。セレスティアは、慌ててカイエルの元に駆け付けた。
「カイエル?大丈夫?」
セレスティアは、ハッとした。(まさか・・・アンティエルさんの竜の姿を見て記憶が?)カイエルは膝を地面に付き、まだ頭を抱えていた。
「痛い・・・頭が・・・いっ・・・」
「カイエル、無理しないで、控室で休みましょう?」
「は・・・な・・・」
「え?」
「俺から、離れろ!!」
カイエルはいきなり大きな声でそう言うと、自分からセレスティアとの距離をとった。明らかにいつものカイエルではなかった。セレスティアにも訳がわからなかった。
「カイエル、一体どうしたの?」
「ぐぅぁあああああああ!!!」
カイエルは咆哮すると、光に包まれ飛竜の姿となった。
「カイエル?」
『ギャウウゥゥゥ!』
そして、鳴き声を発したと同時に大きな翼を羽ばたかせ、『竜の祭壇』から飛び立ってしまった。セレスティアはまさかカイエルがいきなり飛んで行くとは思わなかったが、慌ててカイエルの名を呼びながら走って追いかけていった。
「カイエル―――!!!」
そうして、残された者達は呆然とカイエルが見えなくなった方向を見つめていた。
「『竜の祖』アンティエル殿、お初にお目にかかります。私はフェリス王国のコルネリウス・フェリスと申します。話は伺っております。私の息子と番であると。」
「うむ、其方の息子は妾の番じゃな。」
「大変に名誉なことで、有りがたいのですが、息子は一国の王子です。本来であれば国の礎としての役割を果たさなければいけないのです。」
「・・・ほう?何が言いたい?」
アンティエルは訝しい顔をした。フェルディナント王子は、ギョッとした。父には、コルネリウス王には竜は国の政には関与しないと散々言っておいたのに、まさか言うつもりではないのかと。そして嫌な予感は当たってしまった。
「貴方様のお力を、我がフェリス王国の為に、お使いいただけないでしょうか?」
「その件は、妾の番から話があったであろう。妾達の盟約により、国には関与しないと決まっておるのじゃ。」
だが、コルネリウス王は引かなかった。
「そ、それは伺っておりますが、先ほども申しましたように、本来王子は国の為に、政略結婚が必要なのです。それができなくなるという事では・・・」
「ほう・・・それなりの見返りが必要じゃと?」
「僭越ながら、仰る通です。」
アンティエルは、コルネリウス王の話を聞いて、それはそれは美しい笑顔になった。それを見たコルネリウス王は、押して良かったと思ったが、すぐにそれは間違いであったと思い知らされた。アンティエルは持っていた扇をパンと、閉じた。
「ふむ、やはりこの姿では説得力に欠けるのじゃろうな。」
アンティエルがそういうと、次の瞬間眩い光に包まれた。
光はドンドン大きくなってゆき、やがて、光が収まってきたその場所には、飛竜の比ではない大きさの白い竜が立っていた。飛竜に似ているようでその姿はまさに神獣、神々しいという言葉がぴったりと当てはまるアンティエルの竜の姿であった。
『誰に向こうて、そのような駆け引きを申しておる!!見返りが欲しいじゃと?妾は6竜が長女、白金のアンティエルじゃ。』
場は騒然とした。さきほどまでの美女が本来の竜の姿を現したからだ。飛竜から女性の姿になっただけでも驚いたが、今度は人の姿から竜の姿を見せられ場は緊張感に包まれた。セレスティアも本来の『竜の祖』の姿を見たのは初めてで、確かにイシュタルもカイエルも飛竜は本来の姿ではないと聞いてはいたが、これほどまでに巨大だとは思ってもみなかったのである。
『元からお主の許可なんぞいる必要はないのじゃ。じゃが、番の気持ちを組んで一応確認するという機会を与えただけじゃ。人間如きが我ら竜を従えられると思うてか?笑止千万、今ならば戯言として聞き流してやらんでもない。さぁどうするのじゃ?』
竜の姿になったアンティエルは、有無を言わせない圧倒的な迫力があった。確かにこの姿の竜が、フェリス王国の味方についてくれたのなら、他国を牽制することは容易くはなるだろう。しかし当の竜本人は、それをしないと名言し、わざわざ竜の姿にまでなって抗弁してくるのであれば、これ以上歎願しても逆に怒りを買うであろうことは、コルネリウス王にもわかった。
「も、申し訳ございません。二度と申しません。」
「そもそも、妾たちはストッパー役を担っておるのじゃ。そんなことも知らずに、戯けたことをぬかしおってからに。二度はないぞ。」
「は、ははっ!」
さすがにコルネリウス王もこれ以上ごり押しするは自殺行為に等しいことは、自他共に誰しもがわかった。
セレスティアはアンティエルの話に中にあったストッパーという意味が一体何のことなのか疑問があったが、さすがに聞き返せる雰囲気ではなかったので、後で聞いてみようと思った。そしてカイエルに視線を映してみれば、カイエルの様子がおかしいことに気が付いた。
「カイエル?」
「う、ううっうっ・・・」
カイエルは竜になったアンティエルを見て動揺していた。目を見開いて、まるで何かに恐れ慄く様に震えてるかと思えば頭を抱え始めた。セレスティアは、慌ててカイエルの元に駆け付けた。
「カイエル?大丈夫?」
セレスティアは、ハッとした。(まさか・・・アンティエルさんの竜の姿を見て記憶が?)カイエルは膝を地面に付き、まだ頭を抱えていた。
「痛い・・・頭が・・・いっ・・・」
「カイエル、無理しないで、控室で休みましょう?」
「は・・・な・・・」
「え?」
「俺から、離れろ!!」
カイエルはいきなり大きな声でそう言うと、自分からセレスティアとの距離をとった。明らかにいつものカイエルではなかった。セレスティアにも訳がわからなかった。
「カイエル、一体どうしたの?」
「ぐぅぁあああああああ!!!」
カイエルは咆哮すると、光に包まれ飛竜の姿となった。
「カイエル?」
『ギャウウゥゥゥ!』
そして、鳴き声を発したと同時に大きな翼を羽ばたかせ、『竜の祭壇』から飛び立ってしまった。セレスティアはまさかカイエルがいきなり飛んで行くとは思わなかったが、慌ててカイエルの名を呼びながら走って追いかけていった。
「カイエル―――!!!」
そうして、残された者達は呆然とカイエルが見えなくなった方向を見つめていた。
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