【完結】竜騎士の私は竜の番になりました!

胡蝶花れん

文字の大きさ
65 / 233

64:カルベルス王国の滅亡~⑥~(過去編)

しおりを挟む
 エレノアは我に返り、カイエルに注意をした。

 「な、なんでいきなり攻撃するの?」

 「だって、こいつら敵意むき出しだもん。先手必勝だろ?これでもまぁかなり手加減したけどな。」

 カイエルが切りつけた部屋の一面は、たった一撃だというのに、広範囲に大きな爪痕があった。エレノアはこれを見て、人に当たっていないようで良かったと思った。

 「手が・・・」

 エレノアがぼそりと呟くと、

 「あぁ、流石に人化解いたら部屋どころか、この建物崩れちゃうからな。部分解除ってやつだよ。」

 「そ、そうなのね」

 カイエルはなんてことないように言うが、エレノアは(きっと『竜』では、当たり前のことなのね。)と納得することにした。そして後退ていた近衛騎士たちではあったが、何とか臨戦態勢を敷き、ボロボロになったドアを開けて、部屋に突入してきた。

 「貴様は何者だ?!」
 「王女の部屋に忍び込むなど?!」

 カイエルはこれを聞くなり驚いて、エレノアに振り向いた。

 「え?王女なの?」

 エレノアは、カイエルには自分が王女ではなく、メイドと言ってあったことを思い出した。

 「そ、そうなの。私一応この国の王女なのよ・・・」

 エレノアは罰が悪そうに、自分が王女であるとカイエルに告白したが、そもそも今回の政略結婚の話まではずっと放置されていただけに、王女の自覚はあまりなかったのだ。

 「ふーん、ま、それはどうでもいいや。」

 カイエルには些末なことだったようだ。

 「おのれ、なんだ化け物のような手は!?」
 「おい、誰か、魔術師も呼んで来い!!物理攻撃じゃ対応しきれんかもしれん!」

 近衛騎士の一人が、カイエルの禍々しい右手を見て、常人ではないこと察し援軍を要請をしていた。

 「はっ、魔術師だと?魔法だったらこの俺に対応できるとでも思っているのか?やれるものならやってみな!」

 カイエルは実際、伊達に『竜の祖』ではないので、よほどの上級魔法以上でないと、自分に効果がないことをカイエルは自覚していたのだ。エレノアの中では竜という者は無条件にきっと強いのだろうなと漠然と思っていた。

 「『竜の祖』である俺に勝てるつもりがあるなら、いくらでもかかってこいよ!!」

 カイエルはそう言うと、蝙蝠のような大きな羽が背中から一瞬で生えてきた。エレノアは驚いたが、やはり『竜』だからこういうこともできるのね、と思っていた。エレノアにとってカイエルはカイエルなので、人であろうと竜であろうとそんなことは気にならなかったのだ。

 「な、『竜の祖』だと?」
 「竜?!」
 「ばかな!伝説の?!だが、あのお姿は・・?!」

 カイエルが竜の祖と名乗ったことと、カイエルの異形の姿に、近衛騎士たちは只事ではないと、場はさらに騒然とした。

 「こ、これは、陛下に陛下に御注進を!!」

 エレノアは、陛下という言葉に、今更ながらにもこれは大事になってしまったと、これから一体どうなってしまうのか全く予想することができなかった。







 「火急にてご報告申し上げます!!」

 慌てて、護衛騎士はその部屋に飛び込んできた。

 「何事だ、騒々しい!!陛下の御前だぞ、控えよ!」

 この場は、重鎮を集めて会議室で、定例会議をしている最中であった。

 「し、失礼しました。それが、そのエレノア様の私室にて、『竜の祖』が顕現されているのです!」 
 
 「『竜の祖』だと?あの伝説の?」
 「そんな、バカなことが!!」
 「何かの間違いではないのか?」

 「詳しくはわかりませんが、エレノア様と親しいご様子でした。」

 「何、エレノアと?」

 エレノアと親しいという言葉に、ロレンシオ王は考えこんでしまった。

 「はい、我々もエレノア様の部屋に侵入者があったと報告を受け、確認しに行ったところ、『竜の祖』に遭遇いたしました。」

 カイエルが三階にあるエレノアの部屋に入るところを他の護衛に見られており、近衛騎士は、エレノアの安否を確認しに行った矢先の出来事であったのだ。 

 「陛下、いかがいたしましょう?『竜の祖』、今は人の形をしておりますが、既に竜と思われる形状を一部覗かせてます。これ以上刺激をしない方が得策とは思いますが・・・」

 これ以上の言葉は近衛騎士はいう事を憚れた。 
 
 「陛下、これは一大事でありますぞ!」
 「『竜の祖』とは、今頃一体なぜ・・・」
 「事実であれば刺激をしない方が・・・」
 
などなど、重鎮たちの間で様々な議論がされていたが、ロレンシオ王は、もし『竜の祖』がエレノアと親しくしているという話が本当のことならば、これを利用しない手はないと、頭の中で策略をめぐらせていた。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

王宮侍女は穴に落ちる

斑猫
恋愛
婚約破棄されたうえ養家を追い出された アニエスは王宮で運良く職を得る。 呪われた王女と呼ばれるエリザベ―ト付き の侍女として。 忙しく働く毎日にやりがいを感じていた。 ところが、ある日ちょっとした諍いから 突き飛ばされて怪しい穴に落ちてしまう。 ちょっと、とぼけた主人公が足フェチな 俺様系騎士団長にいじめ……いや、溺愛され るお話です。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

刷り込みで竜の母親になった私は、国の運命を預かることになりました。繁栄も滅亡も、私の導き次第で決まるようです。

木山楽斗
ファンタジー
宿屋で働くフェリナは、ある日森で卵を見つけた。 その卵からかえったのは、彼女が見たことがない生物だった。その生物は、生まれて初めて見たフェリナのことを母親だと思ったらしく、彼女にとても懐いていた。 本物の母親も見当たらず、見捨てることも忍びないことから、フェリナは謎の生物を育てることにした。 リルフと名付けられた生物と、フェリナはしばらく平和な日常を過ごしていた。 しかし、ある日彼女達の元に国王から通達があった。 なんでも、リルフは竜という生物であり、国を繁栄にも破滅にも導く特別な存在であるようだ。 竜がどちらの道を辿るかは、その母親にかかっているらしい。知らない内に、フェリナは国の運命を握っていたのだ。 ※この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「アルファポリス」にも掲載しています。 ※2021/09/03 改題しました。(旧題:刷り込みで竜の母親になった私は、国の運命を預かることになりました。)

処理中です...