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71:カルベルス王国の滅亡~⑬~(過去編)
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その少し前
「早く!早く用意しろ!!!」
「お父様、一体どうなさったの?」
ユリアンヌは怪訝な表情をした。
「いいから!早く逃げるんだ!!と、とにかく急いでアーベンレック国に向かうのだ!あそこだったら、匿ってくれるだろうし、そこなら手出しできないはず・・・」
ロレンシオ王は必死なあまり、ブツブツと言ってはいたが、アーベンレック国が匿ってくれる保証もカイエルが手出しできないというのも、現実逃避がしたいが為の妄想にすぎないということを彼はわかっていなかった。
「お父様、一体・・・」
ユリアンヌ王女は、父ロレンシオ王の様子が尋常でないことはわかった。その様子が、何かに怯えているということもよくわかった。
「お父様、理由を言ってくれないとわからないわ。アロイス王子の国に行くにしろ、あまりにも急すぎよ?」
「な、何を悠長なことを言っておる!殺されるぞ!!」
ロレンシオ王の必死の形相と「殺される」という物騒な単語がユリアンヌの恐怖心を一瞬にして煽った。
「お、お父様、殺されるってどういうこと?」
だが、その時、大きな音がした。
「塔が竜に破壊されたぞーー!!」
「うわ――逃げろー!!」
その時、城中に響き渡る声がした。
『待たせたな。』
「ひ、ひぃいいいいい!!!」
ロレンシオ王はわかった。カイエルの声だと。
「な、なんだこの声は?」
「一体どこから聞こえてくるんだ?!」
『さぁ、どうしてエレノアが死んでしまったのか、教えてもらおうか?何故エレノアが死ななければならなくなったのか?俺はこう見てもちゃんと平等を心掛けていてな。片方だけでなく、お前の言い分も聞いてやると言ってるんだ。優しいだろう?』
「え?エレノア死んじゃったの?」
ユリアンヌは驚いたが、
「え、やだ。じゃどうするのよ。代わりにペルニツァ王国にお嫁に行ってもらえないじゃない。役にも立たずに死んじゃったのね、ホント使えない女だわ。」
エレノアの訃報を聞いても、ユリアンヌの態度は傲慢で思いやりに欠けるものであった。
「ば、ばか!」
ロレンシオ王は慌てて、ユリアンヌ王女を窘めようとしたが、時すでに遅し
『ほぅ・・・不遜な輩は1匹ではなかったか・・・』
「ち、違うんです。ユリアンヌは、その!!」
ロレンシオ王は必至で取り繕うとしていたが、
『さすがお前の娘だな。と言いたいところだが、エレノアという心優しい娘もいた。育ちの差がこうもでてるとはな。ふむ、聞くまでもない。やはり、神父の言ったことは正しかったようだ。』
「だ、誰よ?!この私に上から物を言うなんて、顔を見せないさい!」
ユリアンヌは声の主のことは知らなかったので、あくまで傲慢な物言いであった。
『顔を見たいのか、いいだろう。』
ドゴォオオオオオン
「キャーーーーー!!」
「うわぁああああああ!!」
「いやぁーーーーー!!!」
すると突如ものすごい音と共に、城の天井が無くなってしまった。カイエルが塔の上部分をなぎ倒してしまったのだ。あまりの突然のことに城の住人は悲鳴を次々にあげていた。
そして、ピンポイントで狙ったかのように、
『女・・・死者に鞭うつ態度では看過することはできんな。』
「りゅ、竜?!なんで、なんでこんな化け物が!」
ユリアンヌは驚愕した。城のなくなった天井から見える黒い竜があまりにも禍々しく、すぐにでも逃げたかったが、恐怖でユリアンヌは泣きながら後ずさるのが精一杯であった。他の者は、王女であるユリアンヌを置いてけぼりに逃げていった。
『父親はお前を見捨てたようだな。』
「え?え?え?」
ユリアンヌが振り返ると、父、ロレンシオ王は既に逃げてしまっていた。
「お父様、ひどい!!」
ユリアンヌはまさか父親である、ロレンシオ王が自分を置いていくなどと思ってもみなかっただけに、ショックを受けていた。
『大丈夫だ、安心しろ。』
「え、じゃ、許して・・・」
ユリアンヌは助かったとばりに、ホッとしたのも束の間、カイエルは鼻で笑い、
『許す訳ないだろう、お前が元凶なのに。あとで、必ず父親もお前の元に連れていってやる。安心しろ。』
「え?」
その瞬間、カイエルの鋭い爪の攻撃で、ユリアンヌの首と胴体はあっさりと切り離されてしまった。
その頃ロレンシオ王は馬車で、必死に逃走していた。
「早く、早く!!アーベンレック国に向かうのだ!」
ロレンシオ王は、身近にあった金目の物を取り急ぎ持って、馬車に乗り、城から離れていた。初めは娘のユリアンヌがいれば、なんとかアーベンレック国に迎えて貰えると算段したが、ユリアンヌに事情を説明している時間はないと思い、ユリアンヌを置いて逃げてきたのだ。そして城にいた者には、時間稼ぎのために竜に総攻撃をするように命令をしていた。
カイエルは、城の兵士から弓やら攻撃魔法や砲撃等で多様な攻撃を一身に受けてはいたが、カイエルは自身に結界を使っていたので、カイエルを傷つけることは敵わなかった。ロレンシオ王が逃げたことはわかっていたが、追う必要性については考えていなかった。いや、考える必要がなかったからだ。
「何も、効いていないぞ!」
「こんな化け物どうやって戦えって・・!」
「王をお守りするんだ!」
カイエルは攻撃してくる輩をみて、何も知らず滑稽だなと思っていた。元凶であるユリアンヌを瞬殺したが、カイエルの心は何も晴れなかった。カイエルは自分の傍で浮いている結界に包まれエレノアを見た。カイエルの目には涙が溢れていた。エレノアとの思い出を思い返していたのだ。一緒に通った教会と城までの往復の道程、教会で神父や子供たちと交流したり遊んだり、たったそれだけの事だったけど、カイエルにはかけがえのない時間だったのだ。自分の名前を呼んでくれて、微笑んで・・・・・だけどもうそのエレノアは・・・・今目の前にいるエレノアは、もう笑いかけてくれることはないのだ。
『ガァアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!』
カイエルの咆哮が、国中に響き渡った。
『・・・エレノアを、俺の番を蔑ろにして、死なせてしまうような、こんな国、無くなってしまえばいい!!!』
カイエルは4枚の翼でその場を飛び立った。そして下を見下ろしながら、呪文のようなものを唱えた。
すると、国中の至る所に、いきなり地響きがあちこちで鳴り響いていた。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴォォ・・・
「な、なんだ、一体?」
「え・・・地震?」
建物があちこちで突如崩れ落ちて行った。
「せ、戦争がおこったのか?」
「な、一体何が起こっているんだ――」
「!地面が、地面がのめり込んでいるんだ!!!」
カイエルの呪文に寄って、地面が液状化してしまったのだ。だから建物は耐えられなくなり、そして人も・・・
そしてロレンシオ王は、
「い、一体、何が起きたのだぁああ!」
地面が揺れる中、ロレンシオ王の馬車は特にひどい液状化に飲まれてしまい、そのま地中へ引き摺り込まれてしまったのだ。
それは大規模な蟻地獄のようであった。
「早く!早く用意しろ!!!」
「お父様、一体どうなさったの?」
ユリアンヌは怪訝な表情をした。
「いいから!早く逃げるんだ!!と、とにかく急いでアーベンレック国に向かうのだ!あそこだったら、匿ってくれるだろうし、そこなら手出しできないはず・・・」
ロレンシオ王は必死なあまり、ブツブツと言ってはいたが、アーベンレック国が匿ってくれる保証もカイエルが手出しできないというのも、現実逃避がしたいが為の妄想にすぎないということを彼はわかっていなかった。
「お父様、一体・・・」
ユリアンヌ王女は、父ロレンシオ王の様子が尋常でないことはわかった。その様子が、何かに怯えているということもよくわかった。
「お父様、理由を言ってくれないとわからないわ。アロイス王子の国に行くにしろ、あまりにも急すぎよ?」
「な、何を悠長なことを言っておる!殺されるぞ!!」
ロレンシオ王の必死の形相と「殺される」という物騒な単語がユリアンヌの恐怖心を一瞬にして煽った。
「お、お父様、殺されるってどういうこと?」
だが、その時、大きな音がした。
「塔が竜に破壊されたぞーー!!」
「うわ――逃げろー!!」
その時、城中に響き渡る声がした。
『待たせたな。』
「ひ、ひぃいいいいい!!!」
ロレンシオ王はわかった。カイエルの声だと。
「な、なんだこの声は?」
「一体どこから聞こえてくるんだ?!」
『さぁ、どうしてエレノアが死んでしまったのか、教えてもらおうか?何故エレノアが死ななければならなくなったのか?俺はこう見てもちゃんと平等を心掛けていてな。片方だけでなく、お前の言い分も聞いてやると言ってるんだ。優しいだろう?』
「え?エレノア死んじゃったの?」
ユリアンヌは驚いたが、
「え、やだ。じゃどうするのよ。代わりにペルニツァ王国にお嫁に行ってもらえないじゃない。役にも立たずに死んじゃったのね、ホント使えない女だわ。」
エレノアの訃報を聞いても、ユリアンヌの態度は傲慢で思いやりに欠けるものであった。
「ば、ばか!」
ロレンシオ王は慌てて、ユリアンヌ王女を窘めようとしたが、時すでに遅し
『ほぅ・・・不遜な輩は1匹ではなかったか・・・』
「ち、違うんです。ユリアンヌは、その!!」
ロレンシオ王は必至で取り繕うとしていたが、
『さすがお前の娘だな。と言いたいところだが、エレノアという心優しい娘もいた。育ちの差がこうもでてるとはな。ふむ、聞くまでもない。やはり、神父の言ったことは正しかったようだ。』
「だ、誰よ?!この私に上から物を言うなんて、顔を見せないさい!」
ユリアンヌは声の主のことは知らなかったので、あくまで傲慢な物言いであった。
『顔を見たいのか、いいだろう。』
ドゴォオオオオオン
「キャーーーーー!!」
「うわぁああああああ!!」
「いやぁーーーーー!!!」
すると突如ものすごい音と共に、城の天井が無くなってしまった。カイエルが塔の上部分をなぎ倒してしまったのだ。あまりの突然のことに城の住人は悲鳴を次々にあげていた。
そして、ピンポイントで狙ったかのように、
『女・・・死者に鞭うつ態度では看過することはできんな。』
「りゅ、竜?!なんで、なんでこんな化け物が!」
ユリアンヌは驚愕した。城のなくなった天井から見える黒い竜があまりにも禍々しく、すぐにでも逃げたかったが、恐怖でユリアンヌは泣きながら後ずさるのが精一杯であった。他の者は、王女であるユリアンヌを置いてけぼりに逃げていった。
『父親はお前を見捨てたようだな。』
「え?え?え?」
ユリアンヌが振り返ると、父、ロレンシオ王は既に逃げてしまっていた。
「お父様、ひどい!!」
ユリアンヌはまさか父親である、ロレンシオ王が自分を置いていくなどと思ってもみなかっただけに、ショックを受けていた。
『大丈夫だ、安心しろ。』
「え、じゃ、許して・・・」
ユリアンヌは助かったとばりに、ホッとしたのも束の間、カイエルは鼻で笑い、
『許す訳ないだろう、お前が元凶なのに。あとで、必ず父親もお前の元に連れていってやる。安心しろ。』
「え?」
その瞬間、カイエルの鋭い爪の攻撃で、ユリアンヌの首と胴体はあっさりと切り離されてしまった。
その頃ロレンシオ王は馬車で、必死に逃走していた。
「早く、早く!!アーベンレック国に向かうのだ!」
ロレンシオ王は、身近にあった金目の物を取り急ぎ持って、馬車に乗り、城から離れていた。初めは娘のユリアンヌがいれば、なんとかアーベンレック国に迎えて貰えると算段したが、ユリアンヌに事情を説明している時間はないと思い、ユリアンヌを置いて逃げてきたのだ。そして城にいた者には、時間稼ぎのために竜に総攻撃をするように命令をしていた。
カイエルは、城の兵士から弓やら攻撃魔法や砲撃等で多様な攻撃を一身に受けてはいたが、カイエルは自身に結界を使っていたので、カイエルを傷つけることは敵わなかった。ロレンシオ王が逃げたことはわかっていたが、追う必要性については考えていなかった。いや、考える必要がなかったからだ。
「何も、効いていないぞ!」
「こんな化け物どうやって戦えって・・!」
「王をお守りするんだ!」
カイエルは攻撃してくる輩をみて、何も知らず滑稽だなと思っていた。元凶であるユリアンヌを瞬殺したが、カイエルの心は何も晴れなかった。カイエルは自分の傍で浮いている結界に包まれエレノアを見た。カイエルの目には涙が溢れていた。エレノアとの思い出を思い返していたのだ。一緒に通った教会と城までの往復の道程、教会で神父や子供たちと交流したり遊んだり、たったそれだけの事だったけど、カイエルにはかけがえのない時間だったのだ。自分の名前を呼んでくれて、微笑んで・・・・・だけどもうそのエレノアは・・・・今目の前にいるエレノアは、もう笑いかけてくれることはないのだ。
『ガァアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!』
カイエルの咆哮が、国中に響き渡った。
『・・・エレノアを、俺の番を蔑ろにして、死なせてしまうような、こんな国、無くなってしまえばいい!!!』
カイエルは4枚の翼でその場を飛び立った。そして下を見下ろしながら、呪文のようなものを唱えた。
すると、国中の至る所に、いきなり地響きがあちこちで鳴り響いていた。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴォォ・・・
「な、なんだ、一体?」
「え・・・地震?」
建物があちこちで突如崩れ落ちて行った。
「せ、戦争がおこったのか?」
「な、一体何が起こっているんだ――」
「!地面が、地面がのめり込んでいるんだ!!!」
カイエルの呪文に寄って、地面が液状化してしまったのだ。だから建物は耐えられなくなり、そして人も・・・
そしてロレンシオ王は、
「い、一体、何が起きたのだぁああ!」
地面が揺れる中、ロレンシオ王の馬車は特にひどい液状化に飲まれてしまい、そのま地中へ引き摺り込まれてしまったのだ。
それは大規模な蟻地獄のようであった。
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※2021/09/03 改題しました。(旧題:刷り込みで竜の母親になった私は、国の運命を預かることになりました。)
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