幼なじみは異世界の王子様でした。

茂栖 もす

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国民的アイドル!?いえいえ、ゆるキャラ大臣です。

17.合コンは契約違反です①

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 私が通う高校は、テストで赤点を取った生徒には補習を受けさせるという大変迷惑な制度がある。そして補習を受ける生徒は、テストが終わってすぐに通達が行く。
 随分、スピーディーでサービスが良いねなんて思わないでほしい。この即時通達は、単純に【あーその日はちょっと用事が……】なんていう言い訳を言わせない為のものなのだ。

 ちなみに今回は、補習の常連である私は、先生から補習がないことを通達されたのだ。先生にとったら、良かれと思ってのことかもしれないが、私は先生に声をかけられた時、心臓が止まりかけたのであった。

 まぁ今となっては笑い話にできること。さて今日は、テストも終わって、平和を取り戻した放課後。
 今日からフロイラとしての初出勤、頑張るぞと意気込んで、大急ぎで校舎を出ようとする私に、親友の里沙が下駄箱で声をかけてきた。

「水樹、合コンの件だけど、明後日になるよー」
「あ!」

 里沙の言葉に、私は思わず声をあげてしまった。
 しまった、合コンの約束は記憶の遥か彼方へ吹き飛ばしてしまっていた。 
 慌てる私を、里沙は怪訝そうな顔で見つめていたけれど、はっと何かに気付いて恐る恐る口を開いた。

「やっぱり……補習受けるの?」
「違うよっ」

 補習の件は食い気味に否定したけど、合コンは行けそうもない。
 さて、どう説明しようかと悩みながら私は靴を履き替える。とりあえず、明後日はお城に行かないといけないので────

「ごめん、実は急用が入っちゃって、合コン参加するの……無理っぽい」
「えーっ何で?あんだけノリ気だったのに、急にどうしたのよ」
「……ちょっと人助けというか……恩返しというか……まぁ、そういうこと。里沙、本当にごめん!!」

 と、ふわっとした理由だけを伝えて、とにかく謝る。そして両手を顔の前で合わせて頭を下げる。ドタキャンされた里沙は、釈然としない様子だけど、とりあえず靴を履き替えた。
 それから、二人並んで校舎を出て、校門に向かう。

「じゃ、中止にするんじゃなくて、別の日に変えようよ。水樹の都合に合わせるから。……実はさぁ、相手に水樹の写真を見せたら、かなり気に入ったみたいで、会いたいって言ってるんだよね。水樹だって、そろそろリアルな出会いが欲しいって言ってたじゃん」
「まぁ、そうだったんだけど……」

 里沙の言葉に、曖昧な返事をして言葉を濁す。
 確かに合コンのセッティングのお願いをした時は、【リアルな恋をしたい】と里沙に引くぐらい迫り、それこそ土下座せんばかりの勢いだった。だから、里沙に今更なかったことにしてとお願いするためには、それ相応の理由が必要になる。

 けれどまさか、私が異世界で国民的アイドルっぽい何かをしないといけないと説明したところで、はたして里沙は納得してくれるのだろうか。多分無理だろう。
 
 そんな困り顔の私を見て、里沙は再び間違った方向に心配をしてくれた。

「やっぱり、幼なじみの大学生のこと、好きなの?……あのね、前から言おうと思ったんだけど水樹は深く考え過ぎなんだよ。好きな人がいたら、合コンに行っちゃいけないなんていう法律は無いのっ。軽い気持ちで参加すれば良いんだよ。とりあえず、日程変えるから、会うだけ会ってみな」

 そして里沙は私の肩を軽く叩いて、にかっと笑ってくれた。
 私も里沙に笑みを返しながら【会うだけ会ってみる】という言葉を反芻してみる。確かにそれなら、今の私の隆兄ちゃんに対する想いもはっきりするかもしれない。
 会ってくれる男の子には、試すような感じで申し訳ないけれど、合コンに参加するのはアリなのかもしれないな。

 おじさんは、フロイラのお仕事が入るまでは一日置きにお城に来れば良いっていってくれてたから、合コンに参加するのは時間的には難しくはない。

「……じゃあ、行ってみようかな」

 そう里沙に返事をして、校門を出ようとしたその時───


「ガキが合コンなんて、早すぎるだろ」

 馴染みはあるけれど、この場所に似つかわしくない男の声が滑り込んできた。

「りゅ、隆兄ちゃん!?」
「えー!?この人が水樹の幼なじみなの!?マジかっこいいじゃん!」

 私は素っ頓狂な声を出し、里沙はきゃぁきゃぁ黄色い声を出す。けれど、隆兄ちゃんは、どちらもスルーをして私と里沙の間に割り込んだ。そして私の手に指を絡ませながら、こう言った。

「お友達かな?ごめん、これから水樹と二人で出かけるんだ」

 隆兄ちゃんは、私に背を向けているのでどんな表情をしているのかわからない。けれど、里沙が頬を赤らめているということは、よそ行きの胡散臭い笑顔を見せているのだろう。
 そして数秒後、里沙は何度もこくこくと首を縦に降った。まんまと騙されてしまったようである。

「水樹、がんばっ」

 里沙は私に向かってとびきりの笑顔で親指を立てる。騙されただけならまだしも、絶対に何か勘違いしてるようだ。

「ちょ、ちょ、里沙、違うからっ────」
「水樹、行くぞ」

 慌てて誤解を解こうとする私だけど、隆兄ちゃんが強引に私の肩に手を回して、くるりと体の向きを変える。
 あっという間に回れ右をした私は、そのまま隆兄ちゃんに捕獲される格好で校門を後にしたのであった。
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