7 / 18
私人処刑②
しおりを挟む
「はいどうも~!エレメンタルブラザーズで~す!レッド!」
「ブルー!」
「黄!」
「今緊急で動画を回してま~す!アンチが俺たちに凸してきました~!ありえないよね~?!」
「我らを小悪党と呼ぶ傲慢さ……いくら美人といえども、許されることではない!」
「矯正!」
「というわけで今日は『アンチが美人だったので土下座させてペットにしてみた』って内容で、一つよろしく~!」
三人は勝手にカメラを回してしゃべりだした。
「前置きはそれくらいで、さっさとかかってきなさいよぉ。アタシだってお暇じゃないのよぉ?」
百尼はさらに挑発する。
「コイツ、さっきから偉そうに……!そんなに食らいたけりゃあ、食らわしてやるよぉ!」
レッドが火柱を噴射。渦を巻いて百尼の元へ。
「真っ黒焦げになっちまえぇ!」
百尼はニヤリと笑い、
「すぅぅぅ……」
のけぞるほど息を深く吸い込んで、
「ブッフォォォ!」
勢い良く吐き出した。火柱が拡散されて消えていく。
「は、はぁぁぁ?!なんだぁぁぁ?!」
「レッドの火がかき消されたぁ?!吐息でぇ?!あ、あと、スンスン、なにか甘い匂いがする?!美人の吐いた空気、うまし?!」
「芳香?!」
三人が色々困惑してる間に、レッドに詰め寄る。
「よっせぇ。」
そのまま膝蹴り。
「うっげぇ?!」
レッドがゴロゴロ転がる。
「うわっ、レッドォ?!おのれぇ!」
ブルーが水柱を噴射。ひょいとかわしたところに、
「迎撃!」
イエローも雷柱を噴射。大きく距離を取ってかわす。
「兄弟愛ねぇ。ご立派ぁ。」
「レッドォ!大丈夫か?!」
二人が駆け寄ってレッドを抱き起こす。
「いてぇよぉ……くっそがぁ……!」
「よくもやってくれたな!おう、必殺技だ!やってしまおうぞ!」
「瞬殺!」
三人が揃って拳を構える。
「せーのぉ!」
「「「トリプルバーストォォォ!」」」
火、水、雷が一つの大きな渦となって百尼に襲いかかる。
「まぁ、これはなかなか……当たらないけどぉ。」
サッと避ける。渦は百尼を通過し、背後の自動車へ。
「ひっ、ひぁぁぁ?!」
車が吹き飛ぶ。そのまま宙を舞い、歩行者へ真っ逆さま。
「きゃぁぁぁ!」
「全くもぉ。」
車が歩行者を下敷きにする直前、百尼が割って入る。
「おっとっと、とぉ。」
車を受け止め、優しく下ろしてやる。歩行者も車の運転手もポカン顔。
「さっさとお家に帰んなさぁい、危ないわよぉ。」
「「は、はい……?」」
一方、三人。
「当たれよぉ!必殺技だぞ!」
レッドが地団駄を踏む。
「落ち着けぃ、レッド!当たるまで何度でも撃てばいいだけのこと!」
「連射!」
「そっか、そうだよな!よぉーし、それじゃあもう一発!せーのぉ!」
「「「トリプル……」」」
「もうやらせないわよぉ。」
百尼はマンホールの蓋を取り上げ、円盤投げのフォーム。
「だぁっしゃぁぁぁい!」
リリース。弧を描きながらレッドの腹部へ。
「おぉっぐぅっ?!」
彼方に吹っ飛ぶ。
「げっはぁぁぁ!」
「レッドォ?!」
「心配!」
レッドは二、三回バウンドしてようやく止まった。
「げっ、げぇっ、がはぁっ……くっそ……」
「あらぁ、結構タフなのねぇ。」
目の前に立ちはだかる百尼。
「……ぁぁぁあああ!舐めんなぁ!俺はぁ、正義のヒーローなんだぁぁぁ!」
手から精一杯火を噴射する。百尼が火に包まれる。
「よくも燃やしてくれちゃってぇ……ねぇアンタ?」
にゅっと手が伸びてレッドの首根っこを掴む。
「ぐがぁっ?!」
「ココがどこだか、分かってるぅ?」
「は、はぁ?どこって……あぁ?!」
レッド、気づく。かすかな油の匂い、ネオンサイン。そうココはガソリンスタンド。
「アンタ自身は火に耐性、あるのかしらねぇ?」
「ひ、ひぃぃぃ!や、やめて……」
「うぉぉぉらぁぁぁ!」
レッドごと拳を叩きつけ、地面を割る。その瞬間。
大地を揺るがすような大爆発。地下のタンクに引火した。
「レッ、レッドォォォ?!」
「安否?!」
黒煙と大火の中、二つの焦げた影が見えてくる。一人は堂々と歩き、もう一人は虚しくその手にぶら下がっている。
「ぶっはぁぁぁ~。髪がチリチリになっちゃうわぁ。」
歩く影の主がどんどんはっきりしてくる。サラッと伸びた銀髪に白い肌。妖艶な目つきは、残る二人を真っ直ぐ見据える。
「ぎゃぁぁぁ?!なんなんだあの女ぁぁぁ?!レッドがぁぁぁ?!」
「き、脅威!」
「逃げよう、イエロー!分が悪いと思うぞ、うん!」
「撤退!戦略的、撤退!」
二人は血相変えて走り出した。
「兄弟愛はどこいっちゃったのぉ?待ちなさぁい。」
百尼は虫の息のレッドを放り捨てて二人を追う。
「ココだ!ココに逃げよう!」
「承知!」
二人は地下駐車場へ。
「百さん、誘われてませんか?罠では……?」
イヤホンから千尋の忠告が聞こえる。
「獲物の罠を乗り越えてこその狩人よぉ。モーマンタイ!」
「もう、気をつけてくださいね!」
駐車場に飛び込む。シンと静まり返った場内。人影は無い。
「コソコソと男らしくないわねぇ……んん?」
百尼は足下が濡れているのに気づいた。そして、
「大瀑布スプラァッシュ!」
ダムが決壊したかのような水量が流れこんできた。みるみる駐車場内の水かさが増し、百尼の膝まできた。
「わわっ、溺れちゃいますよ!」
「上から流してるのねぇ。量は大したことないけど、問題は……」
パチパチッと水が爆ぜる。
「うべべべべべべ!」
百尼の体を雷が走った。
「がっ……ふぅ……はぁ……これよねぇ……うびゃびゃびゃびゃびゃびゃ!」
「百さぁん?!」
断続的に痺れ続ける百尼。その間にも水かさはどんどん増え、百尼の胸まできた。
「百さん、何とかしないと!」
「クッソがぁ……」
一方、駐車場一階の二人。
「いいぞイエロー!その調子でどんどん感電させるのだ!痺れて溺れさせる!我ら二人のコンビは敵無しよぉ!」
「稲妻!霹靂!雷鳴ぃぃぃ!」
ブルーが全力で地下へ水を噴射し、その合いの手でイエローが雷を噴射し続けていた。
三分後。
「はぁ……はぁ……これで、よかろう……」
地下へ続く道がチャプチャプに満たされるほど水で埋まった。
「イエロー!とどめの一発を!」
「粛清ぃぃぃ!」
ドカンと一発、地響きするほどの雷撃を叩き込んだ。
「さすがにあの怪物女も、くたばったろう。」
「赤……」
イエローがレッドを思い出してしょげる。
「仕方ない。いつか敵が現れるのは必然だった。レッドは我らのために犠牲になったのだ。これからは二人で、レッドの分まで正義を執行しようではないか、なぁ?」
「誓約……!」
「よし!では帰ろう。あのバーで何か腹ごしらえをしようぞ。」
「蕎麦。」
「あぁそうだったな、ハッハッハッ!」
その時。
二人が立つ地面が大きく揺れた。
「なんだ?!地震か?!」
「震度大?!」
また揺れる。衝撃で地面にヒビが入る。
「まさか……嘘では……?」
「現実……?」
さらに揺れる。地面は崩壊寸前。
「逃げろぉぉぉ!」
「逃亡ぅぅぅ!」
そして。
「でぇぇぇやぁぁぁ!!!」
地面が崩れ落ち、何かが飛び出てきた。二人の目の前に着地する。
「うぉぉぉ?!」
「夢、夢ぇぇぇ?!」
「痺れたわぁ。こんなに痺れたのは昔、親知らずを抜きに歯医者で麻酔を打たれた以来ねぇ。」
濡れた髪をかき上げ、不満げに呟く。
「た、助け、助けてくれぇぇぇ!」
「懇願!」
二人は地面に手をつく。
「今さら何よぉ。そんな甘い考えは通用しないわぁ。」
二人の首を片手ずつ持ち上げる。
「ぐぅぅぅ?!」
「て、抵抗!」
イエローが百尼の手に触れて雷を流す。
「ぎぇぇぇ!拙者も食らってるぅぅぅ!」
「あ、ち、陳謝!」
慌てて雷を止める。
「もう慣れちゃったわよぉ。ワンパターンねぇ。」
百尼はズカズカと自分が空けた穴に近寄り、二人の頭を沈める。
「ぼがぁっ?!」
「げぼぉっ?!」
「ほらぁ、最後っ屁でも何でもしてみなさいよぉ。もしかしたらアタシを倒せるかもしれないわよぉ?」
「がっ……あ……」
「ぎぃっ……あぁ……!」
バチバチッと雷が爆ぜる。
「ぎぃぃぃぁぁぁ!……ぁ……」
ブルーが落ちる。雷はまだ止まない。
「ほらほらほらほらぁ!そんなもんかしらぁ?!」
「ああああああ!」
火花が散るほどの雷撃が襲った。そして、
「あ、あぁ……」
イエローが落ちた。体からプスプスと煙が上がる百尼。
「ふぅ~。やっぱ長男ね、しぶとかったわぁ。」
二人を水から上げて放り捨てる。
「お疲れ様です。ちょっと騒ぎになっちゃいましたね、色々壊しちゃったし……」
「まぁコイツらのせいにできるでしょ。早いとこ退散しましょ。」
こうしてエレメンタルブラザーズは逮捕され、チャンネルもBAN、無期限活動休止となった。
後日、事務所。
「異能を手に入れたからって、どうしてみんな見せびらかすのかしらねぇ?」
「新しいオモチャをもらった子どもと同じじゃないですか。自慢したいんですよ。」
「そんなことしてたらいつか異能者全部が白い目で見られるわよぉ。ハーレムの夢も遠のいちゃうわぁ。」
「諦めてないんですね、ソレ……」
「モチのロン。アタシはいつまでも本気よぉ。」
夢を求めて今日も働く百尼だった。
「ブルー!」
「黄!」
「今緊急で動画を回してま~す!アンチが俺たちに凸してきました~!ありえないよね~?!」
「我らを小悪党と呼ぶ傲慢さ……いくら美人といえども、許されることではない!」
「矯正!」
「というわけで今日は『アンチが美人だったので土下座させてペットにしてみた』って内容で、一つよろしく~!」
三人は勝手にカメラを回してしゃべりだした。
「前置きはそれくらいで、さっさとかかってきなさいよぉ。アタシだってお暇じゃないのよぉ?」
百尼はさらに挑発する。
「コイツ、さっきから偉そうに……!そんなに食らいたけりゃあ、食らわしてやるよぉ!」
レッドが火柱を噴射。渦を巻いて百尼の元へ。
「真っ黒焦げになっちまえぇ!」
百尼はニヤリと笑い、
「すぅぅぅ……」
のけぞるほど息を深く吸い込んで、
「ブッフォォォ!」
勢い良く吐き出した。火柱が拡散されて消えていく。
「は、はぁぁぁ?!なんだぁぁぁ?!」
「レッドの火がかき消されたぁ?!吐息でぇ?!あ、あと、スンスン、なにか甘い匂いがする?!美人の吐いた空気、うまし?!」
「芳香?!」
三人が色々困惑してる間に、レッドに詰め寄る。
「よっせぇ。」
そのまま膝蹴り。
「うっげぇ?!」
レッドがゴロゴロ転がる。
「うわっ、レッドォ?!おのれぇ!」
ブルーが水柱を噴射。ひょいとかわしたところに、
「迎撃!」
イエローも雷柱を噴射。大きく距離を取ってかわす。
「兄弟愛ねぇ。ご立派ぁ。」
「レッドォ!大丈夫か?!」
二人が駆け寄ってレッドを抱き起こす。
「いてぇよぉ……くっそがぁ……!」
「よくもやってくれたな!おう、必殺技だ!やってしまおうぞ!」
「瞬殺!」
三人が揃って拳を構える。
「せーのぉ!」
「「「トリプルバーストォォォ!」」」
火、水、雷が一つの大きな渦となって百尼に襲いかかる。
「まぁ、これはなかなか……当たらないけどぉ。」
サッと避ける。渦は百尼を通過し、背後の自動車へ。
「ひっ、ひぁぁぁ?!」
車が吹き飛ぶ。そのまま宙を舞い、歩行者へ真っ逆さま。
「きゃぁぁぁ!」
「全くもぉ。」
車が歩行者を下敷きにする直前、百尼が割って入る。
「おっとっと、とぉ。」
車を受け止め、優しく下ろしてやる。歩行者も車の運転手もポカン顔。
「さっさとお家に帰んなさぁい、危ないわよぉ。」
「「は、はい……?」」
一方、三人。
「当たれよぉ!必殺技だぞ!」
レッドが地団駄を踏む。
「落ち着けぃ、レッド!当たるまで何度でも撃てばいいだけのこと!」
「連射!」
「そっか、そうだよな!よぉーし、それじゃあもう一発!せーのぉ!」
「「「トリプル……」」」
「もうやらせないわよぉ。」
百尼はマンホールの蓋を取り上げ、円盤投げのフォーム。
「だぁっしゃぁぁぁい!」
リリース。弧を描きながらレッドの腹部へ。
「おぉっぐぅっ?!」
彼方に吹っ飛ぶ。
「げっはぁぁぁ!」
「レッドォ?!」
「心配!」
レッドは二、三回バウンドしてようやく止まった。
「げっ、げぇっ、がはぁっ……くっそ……」
「あらぁ、結構タフなのねぇ。」
目の前に立ちはだかる百尼。
「……ぁぁぁあああ!舐めんなぁ!俺はぁ、正義のヒーローなんだぁぁぁ!」
手から精一杯火を噴射する。百尼が火に包まれる。
「よくも燃やしてくれちゃってぇ……ねぇアンタ?」
にゅっと手が伸びてレッドの首根っこを掴む。
「ぐがぁっ?!」
「ココがどこだか、分かってるぅ?」
「は、はぁ?どこって……あぁ?!」
レッド、気づく。かすかな油の匂い、ネオンサイン。そうココはガソリンスタンド。
「アンタ自身は火に耐性、あるのかしらねぇ?」
「ひ、ひぃぃぃ!や、やめて……」
「うぉぉぉらぁぁぁ!」
レッドごと拳を叩きつけ、地面を割る。その瞬間。
大地を揺るがすような大爆発。地下のタンクに引火した。
「レッ、レッドォォォ?!」
「安否?!」
黒煙と大火の中、二つの焦げた影が見えてくる。一人は堂々と歩き、もう一人は虚しくその手にぶら下がっている。
「ぶっはぁぁぁ~。髪がチリチリになっちゃうわぁ。」
歩く影の主がどんどんはっきりしてくる。サラッと伸びた銀髪に白い肌。妖艶な目つきは、残る二人を真っ直ぐ見据える。
「ぎゃぁぁぁ?!なんなんだあの女ぁぁぁ?!レッドがぁぁぁ?!」
「き、脅威!」
「逃げよう、イエロー!分が悪いと思うぞ、うん!」
「撤退!戦略的、撤退!」
二人は血相変えて走り出した。
「兄弟愛はどこいっちゃったのぉ?待ちなさぁい。」
百尼は虫の息のレッドを放り捨てて二人を追う。
「ココだ!ココに逃げよう!」
「承知!」
二人は地下駐車場へ。
「百さん、誘われてませんか?罠では……?」
イヤホンから千尋の忠告が聞こえる。
「獲物の罠を乗り越えてこその狩人よぉ。モーマンタイ!」
「もう、気をつけてくださいね!」
駐車場に飛び込む。シンと静まり返った場内。人影は無い。
「コソコソと男らしくないわねぇ……んん?」
百尼は足下が濡れているのに気づいた。そして、
「大瀑布スプラァッシュ!」
ダムが決壊したかのような水量が流れこんできた。みるみる駐車場内の水かさが増し、百尼の膝まできた。
「わわっ、溺れちゃいますよ!」
「上から流してるのねぇ。量は大したことないけど、問題は……」
パチパチッと水が爆ぜる。
「うべべべべべべ!」
百尼の体を雷が走った。
「がっ……ふぅ……はぁ……これよねぇ……うびゃびゃびゃびゃびゃびゃ!」
「百さぁん?!」
断続的に痺れ続ける百尼。その間にも水かさはどんどん増え、百尼の胸まできた。
「百さん、何とかしないと!」
「クッソがぁ……」
一方、駐車場一階の二人。
「いいぞイエロー!その調子でどんどん感電させるのだ!痺れて溺れさせる!我ら二人のコンビは敵無しよぉ!」
「稲妻!霹靂!雷鳴ぃぃぃ!」
ブルーが全力で地下へ水を噴射し、その合いの手でイエローが雷を噴射し続けていた。
三分後。
「はぁ……はぁ……これで、よかろう……」
地下へ続く道がチャプチャプに満たされるほど水で埋まった。
「イエロー!とどめの一発を!」
「粛清ぃぃぃ!」
ドカンと一発、地響きするほどの雷撃を叩き込んだ。
「さすがにあの怪物女も、くたばったろう。」
「赤……」
イエローがレッドを思い出してしょげる。
「仕方ない。いつか敵が現れるのは必然だった。レッドは我らのために犠牲になったのだ。これからは二人で、レッドの分まで正義を執行しようではないか、なぁ?」
「誓約……!」
「よし!では帰ろう。あのバーで何か腹ごしらえをしようぞ。」
「蕎麦。」
「あぁそうだったな、ハッハッハッ!」
その時。
二人が立つ地面が大きく揺れた。
「なんだ?!地震か?!」
「震度大?!」
また揺れる。衝撃で地面にヒビが入る。
「まさか……嘘では……?」
「現実……?」
さらに揺れる。地面は崩壊寸前。
「逃げろぉぉぉ!」
「逃亡ぅぅぅ!」
そして。
「でぇぇぇやぁぁぁ!!!」
地面が崩れ落ち、何かが飛び出てきた。二人の目の前に着地する。
「うぉぉぉ?!」
「夢、夢ぇぇぇ?!」
「痺れたわぁ。こんなに痺れたのは昔、親知らずを抜きに歯医者で麻酔を打たれた以来ねぇ。」
濡れた髪をかき上げ、不満げに呟く。
「た、助け、助けてくれぇぇぇ!」
「懇願!」
二人は地面に手をつく。
「今さら何よぉ。そんな甘い考えは通用しないわぁ。」
二人の首を片手ずつ持ち上げる。
「ぐぅぅぅ?!」
「て、抵抗!」
イエローが百尼の手に触れて雷を流す。
「ぎぇぇぇ!拙者も食らってるぅぅぅ!」
「あ、ち、陳謝!」
慌てて雷を止める。
「もう慣れちゃったわよぉ。ワンパターンねぇ。」
百尼はズカズカと自分が空けた穴に近寄り、二人の頭を沈める。
「ぼがぁっ?!」
「げぼぉっ?!」
「ほらぁ、最後っ屁でも何でもしてみなさいよぉ。もしかしたらアタシを倒せるかもしれないわよぉ?」
「がっ……あ……」
「ぎぃっ……あぁ……!」
バチバチッと雷が爆ぜる。
「ぎぃぃぃぁぁぁ!……ぁ……」
ブルーが落ちる。雷はまだ止まない。
「ほらほらほらほらぁ!そんなもんかしらぁ?!」
「ああああああ!」
火花が散るほどの雷撃が襲った。そして、
「あ、あぁ……」
イエローが落ちた。体からプスプスと煙が上がる百尼。
「ふぅ~。やっぱ長男ね、しぶとかったわぁ。」
二人を水から上げて放り捨てる。
「お疲れ様です。ちょっと騒ぎになっちゃいましたね、色々壊しちゃったし……」
「まぁコイツらのせいにできるでしょ。早いとこ退散しましょ。」
こうしてエレメンタルブラザーズは逮捕され、チャンネルもBAN、無期限活動休止となった。
後日、事務所。
「異能を手に入れたからって、どうしてみんな見せびらかすのかしらねぇ?」
「新しいオモチャをもらった子どもと同じじゃないですか。自慢したいんですよ。」
「そんなことしてたらいつか異能者全部が白い目で見られるわよぉ。ハーレムの夢も遠のいちゃうわぁ。」
「諦めてないんですね、ソレ……」
「モチのロン。アタシはいつまでも本気よぉ。」
夢を求めて今日も働く百尼だった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います
ゆさま
ファンタジー
ベテランオッサン冒険者が、美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされてしまった。生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれて……。
懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる