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3話 令嬢は混乱して退席したい!
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目の前にいるこのイケメンは間違いなく自身を「アルベルン」と名乗っていた。
私との婚約を確実なものにするために私好みのイケメンになった努力は認めてあげてもいいが、だからといって昔のアルベルンがやったことが消えるわけではない。
「さ、散々女遊びをしておいて今更私と結婚しようなんて、そんな都合のいいようにはいきま……いかないからな!?」
駄目だ、イケメンを前にしてそんなこと言ってもただただ嫉妬しているようにしか聞こえないじゃないか!それに、アルベルンは少しばつが悪そうに言う。
「そうですよね、過去のことはなかなか拭えない。でも、もう女遊びなんてことはしませんよ、絶対に」
後半は、その決意がこちらにも伝わってくるようにも感じた。
こんなところでひよっててはいけないのに。もっとしっかり婚約破棄を言い渡さなければならないのに。
そんな思いは次のアルベルンの一言で玉砕される。
「私の目が、嘘をつくように見えますか?」
私は素直にアルベルンの瞳を見てしまった。
深いブルートパーズのような瞳には一点の濁りも歪みもなく、ただただ美しいものにも感じてしまう。
豚のように太っていたあの頃は目を見るどころか近寄ることさえも嫌っていたはずなのに。どうして、私は今彼の瞳を見つめているんだろう。
「嘘つきです!本当のアルベルンはもっと気持ち悪くて横暴でクズで非道な豚野郎みたいな人間なんですから!」
私はやっとのことで目を逸らし、一息で言い放った後逃げるように部屋から出ていった。
息は荒かったし、おそらく顔に血が昇って真っ赤になっていることだろう。
でもそんなことはどうでもよかった。完全に不完全燃焼だったし、ほぼほぼ相手の策中に嵌まっていたのかもしれないが、拒絶をアルベルンに伝えることはできた。
自分の家の廊下を走り、いつの間にか応接室の反対側……西側にある階段まで走ってきていたようだった。
ここなら誰も来ないだろう、ましてや、アルベルンなんて……。
「探しましたよ。ここにいたんですね」
「ストーカー!!」
あんなに罵詈雑言を言われてなお私の事を探そうなんてアルベルンはMなのか?
ドMなのか?
私の心は様々なことがありすぎてごちゃまぜになっていたし、脳に至っては考えすぎでオーバーヒートしてしまっている。
かろうじてアルベルン侯爵がド屑だということは結びつくのだが、このイケメンがアルベルンなのかどうかすら怪しくなっていた。
「すみません。今回のお話は婚約ということですけど、……このお話はなかったこと、でいいんですよね?」
悲しそうな顔をしないでほしい、アルベルンじゃなければ良かったんだ。
あなたが、アルベルン侯爵でさえなければ……。
「十分です、分かりました」
「……待ってください!」
寂しげな顔をしたアルベルンをみて私は咄嗟に引き止めてしまっていた。
なぜ引き止めたのか、自分でもよく分からなかったが、散り散りになった言葉をなんとか紡ごうとする。
アルベルンは少し足を止まらせたあと、こちらに向かってくる。
「こっちに来ないでください!」
「えぇっ!?」
何かに跳ね返ったかのようにアルベルンは後ろに飛びのいた。
その言葉で、私は紡いだものとは全く別の、そして自分でも予想外の言葉を口にしていた。
「これ以上近づかれたら……、好きになってしまうじゃないですか!」
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本日は、
午後6時10分~ 4話
午後7時10分~ 5話
投稿を予定しております。
私との婚約を確実なものにするために私好みのイケメンになった努力は認めてあげてもいいが、だからといって昔のアルベルンがやったことが消えるわけではない。
「さ、散々女遊びをしておいて今更私と結婚しようなんて、そんな都合のいいようにはいきま……いかないからな!?」
駄目だ、イケメンを前にしてそんなこと言ってもただただ嫉妬しているようにしか聞こえないじゃないか!それに、アルベルンは少しばつが悪そうに言う。
「そうですよね、過去のことはなかなか拭えない。でも、もう女遊びなんてことはしませんよ、絶対に」
後半は、その決意がこちらにも伝わってくるようにも感じた。
こんなところでひよっててはいけないのに。もっとしっかり婚約破棄を言い渡さなければならないのに。
そんな思いは次のアルベルンの一言で玉砕される。
「私の目が、嘘をつくように見えますか?」
私は素直にアルベルンの瞳を見てしまった。
深いブルートパーズのような瞳には一点の濁りも歪みもなく、ただただ美しいものにも感じてしまう。
豚のように太っていたあの頃は目を見るどころか近寄ることさえも嫌っていたはずなのに。どうして、私は今彼の瞳を見つめているんだろう。
「嘘つきです!本当のアルベルンはもっと気持ち悪くて横暴でクズで非道な豚野郎みたいな人間なんですから!」
私はやっとのことで目を逸らし、一息で言い放った後逃げるように部屋から出ていった。
息は荒かったし、おそらく顔に血が昇って真っ赤になっていることだろう。
でもそんなことはどうでもよかった。完全に不完全燃焼だったし、ほぼほぼ相手の策中に嵌まっていたのかもしれないが、拒絶をアルベルンに伝えることはできた。
自分の家の廊下を走り、いつの間にか応接室の反対側……西側にある階段まで走ってきていたようだった。
ここなら誰も来ないだろう、ましてや、アルベルンなんて……。
「探しましたよ。ここにいたんですね」
「ストーカー!!」
あんなに罵詈雑言を言われてなお私の事を探そうなんてアルベルンはMなのか?
ドMなのか?
私の心は様々なことがありすぎてごちゃまぜになっていたし、脳に至っては考えすぎでオーバーヒートしてしまっている。
かろうじてアルベルン侯爵がド屑だということは結びつくのだが、このイケメンがアルベルンなのかどうかすら怪しくなっていた。
「すみません。今回のお話は婚約ということですけど、……このお話はなかったこと、でいいんですよね?」
悲しそうな顔をしないでほしい、アルベルンじゃなければ良かったんだ。
あなたが、アルベルン侯爵でさえなければ……。
「十分です、分かりました」
「……待ってください!」
寂しげな顔をしたアルベルンをみて私は咄嗟に引き止めてしまっていた。
なぜ引き止めたのか、自分でもよく分からなかったが、散り散りになった言葉をなんとか紡ごうとする。
アルベルンは少し足を止まらせたあと、こちらに向かってくる。
「こっちに来ないでください!」
「えぇっ!?」
何かに跳ね返ったかのようにアルベルンは後ろに飛びのいた。
その言葉で、私は紡いだものとは全く別の、そして自分でも予想外の言葉を口にしていた。
「これ以上近づかれたら……、好きになってしまうじゃないですか!」
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本日は、
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