ショウカンビト

十八谷 瑠南

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ナナは何者?

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目覚ましの音が鳴り響いても、今日が休日だとわかってもリリィはベッドからなかなか起き上がれなかった。
なぜなら、なかなか眠れなかったからだ。
見間違いだと自分にいい聞かせてはいたものの、ナナが屋根の上に立っていた姿はリリィの目に焼き付いていた。
そしてナナが手にしていたものも。
(あれはまさか)
リリィはもし自分が今考えていることが現実に起こっているならそれはきっと大事件になっているはずだと思った。
そう思い始めるといてもたってもいられなくなって、リリィはやっとベッドから起き上がった。
いつものコーヒーも飲まず、外も眺めず、リリィはただテレビをつけた。
そこでやっと確信をもった。
まあ、確信もなにもただ自分の見た光景が信じられなかっただけなのだが。
「クレイラントの絵が盗まれた」
チャンネルをどこに変えてもどのテレビ局もクレイラントの絵が昨夜盗まれたことを報道していた。
そして、どこも犯人は不明と報道していた。監視カメラにも映ることなく、屋根を突き破り絵を盗み出したと。
「ナナだ。やっぱり見間違いなんかじゃなかった。でも、どうして」
リリィはそのときナナの言葉を思い出した。
“少なくともその雑誌の記者より私のほうが価値はわかるわ”
「確かにナナはそう言った。それはあの絵と何か関係があるから?それにしても、屋根を突き破って逃げるなんて」
リリィは考えれば考えるほど混乱した。
絵を盗み出した理由は何にせよ、屋根を突き破るなんて人間ができることではないからだ。
「ナナ・・・あなたは一体?」
リリィはナナに聞きたいことが山ほどあったが、ここ何ヶ月かナナはリリィの家を訪ねてこないし、公園で例の同情作戦も行われてはいなかった。
「とにかく公園に行ってみよう」
リリィは、クレイラントの報道が永遠に繰り返されるテレビを消すとこれまでにないくらいのはやさで顔を洗い、パジャマを脱ぎ捨て、適当な服に着替えて、部屋のカーテンすら閉めず、カバンをひったくると部屋を飛び出した。
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