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英華女学院の七不思議 49
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昼食を終え、午後の授業も終わり、いつものトイレ掃除をして、放課後を迎えていた。
今日は課題のチェックもないし、小テストの採点もない。仕事は残っていないので、このまま帰ることもできるのだが、その前に野暮用を済ませておいても働きすぎとは言われないだろう。
雛ノ森さんから言われていた野暮用。冬美さんのクラス、3年5組の担任の先生から最近グレたという話を聞かなければならない。ならないのだが、まずは3年5組の担任の先生から探さなければならない。
職員室の3年生教師の区画へ行き、それとなく確認しながら歩いていく。
「はあぁ…………」
いかにも、どうかしたのかと誰かに聞いてほしそうなため息を吐きながら机にうなだれている先生がいる。正直、絡まれると面倒なので、知らないふりをしたかったのだが、残念ながら私の数少ない知り合いの梅本先生だった。3年5組の担任の先生を探すのも重要だが、卒業アルバムに使う集合写真の撮影現場を見せて貰ったお礼もある。できるだけ手早くお願いしますと祈りながら声をかけることにした。
「あの……梅本先生、どうされたんですか?」
「ん? あぁ、今話題の橋本先生じゃないですか」
やっと声をかけられたと嬉しそうにしながら机から起きあがった。
「いやね、私のクラスの問題なんだけど、これが複雑でさ……あぁ、橋本先生もこのままこの学校で働いていくんなら気をつけておいた方がいいよ。結構、生徒の親のごたごたって世間一般とはズレてるからさ」
「そうなんですね。気をつけます」
早々に話が終わってよかったと思っていたが、残念ながらここで終わるほど簡潔な話ではなかった。
「私が担任をしているクラスでも、ちょっと問題があってね。ほら、橋本先生が見つけた……その……亡くなった生徒。その妹が私のクラスにいて、1学期までは目立った違反もない生徒だったのに、2学期になって急にグレちゃってね。まあ、事情を知れば、分からないでもないけどね」
まさか、梅本先生が3年5組の担任だったとは思わなかった。知らないふりをしなくてよかった。
「その事情って言うのを詳しく聞かせて貰ってもいいですか?」
「面白い話じゃないんだけどね。お姉さんの方、婚約が決まっていたみたいなの。政略結婚っていうやつだったみたいなんだけど、失踪しちゃってね……。それで、妹の佐々木さんがお姉さんの代役にさせられたって感じ。親の都合とはいえ、ここまで子供にさせるかね……」
そう言いながら梅本先生から渡された写真には姉の涼子さんが写っていた。と思いこんでいた。
「それ、少し前までの佐々木冬美さん。びっくりだよね。私もお姉さんが発見されて写真を見るまでは、ここまで似ているとは思わなかったもの」
綺麗な黒い長髪も、清楚な顔立ちも、似ているというか、もうほとんど同一人物と言っていいほどだ。
「グレちゃうのも時間の問題だったのかもね」
政略結婚させるはずだった姉の代役として冬美さんは姉と同じような振る舞いを要求された。そんなの、いつ崩壊してもおかしくなかった。あんな清楚とかけ離れた見た目になるのも時間の問題だった。
いいや、このタイミングを狙っていた。姉が失踪して、ちょうど2年になるこのタイミングを。だとすると……。
よく本で見るたとえのように、パズルのピースがぴったりとハマるような感覚になった。
このことを今すぐ雛ノ森さんに伝え、そして、冬美さんに事実確認をしなければならない。
「すいません。急用を思い出しまして」
梅本先生の返事を待つ前に職員室を飛び出した。
今日は課題のチェックもないし、小テストの採点もない。仕事は残っていないので、このまま帰ることもできるのだが、その前に野暮用を済ませておいても働きすぎとは言われないだろう。
雛ノ森さんから言われていた野暮用。冬美さんのクラス、3年5組の担任の先生から最近グレたという話を聞かなければならない。ならないのだが、まずは3年5組の担任の先生から探さなければならない。
職員室の3年生教師の区画へ行き、それとなく確認しながら歩いていく。
「はあぁ…………」
いかにも、どうかしたのかと誰かに聞いてほしそうなため息を吐きながら机にうなだれている先生がいる。正直、絡まれると面倒なので、知らないふりをしたかったのだが、残念ながら私の数少ない知り合いの梅本先生だった。3年5組の担任の先生を探すのも重要だが、卒業アルバムに使う集合写真の撮影現場を見せて貰ったお礼もある。できるだけ手早くお願いしますと祈りながら声をかけることにした。
「あの……梅本先生、どうされたんですか?」
「ん? あぁ、今話題の橋本先生じゃないですか」
やっと声をかけられたと嬉しそうにしながら机から起きあがった。
「いやね、私のクラスの問題なんだけど、これが複雑でさ……あぁ、橋本先生もこのままこの学校で働いていくんなら気をつけておいた方がいいよ。結構、生徒の親のごたごたって世間一般とはズレてるからさ」
「そうなんですね。気をつけます」
早々に話が終わってよかったと思っていたが、残念ながらここで終わるほど簡潔な話ではなかった。
「私が担任をしているクラスでも、ちょっと問題があってね。ほら、橋本先生が見つけた……その……亡くなった生徒。その妹が私のクラスにいて、1学期までは目立った違反もない生徒だったのに、2学期になって急にグレちゃってね。まあ、事情を知れば、分からないでもないけどね」
まさか、梅本先生が3年5組の担任だったとは思わなかった。知らないふりをしなくてよかった。
「その事情って言うのを詳しく聞かせて貰ってもいいですか?」
「面白い話じゃないんだけどね。お姉さんの方、婚約が決まっていたみたいなの。政略結婚っていうやつだったみたいなんだけど、失踪しちゃってね……。それで、妹の佐々木さんがお姉さんの代役にさせられたって感じ。親の都合とはいえ、ここまで子供にさせるかね……」
そう言いながら梅本先生から渡された写真には姉の涼子さんが写っていた。と思いこんでいた。
「それ、少し前までの佐々木冬美さん。びっくりだよね。私もお姉さんが発見されて写真を見るまでは、ここまで似ているとは思わなかったもの」
綺麗な黒い長髪も、清楚な顔立ちも、似ているというか、もうほとんど同一人物と言っていいほどだ。
「グレちゃうのも時間の問題だったのかもね」
政略結婚させるはずだった姉の代役として冬美さんは姉と同じような振る舞いを要求された。そんなの、いつ崩壊してもおかしくなかった。あんな清楚とかけ離れた見た目になるのも時間の問題だった。
いいや、このタイミングを狙っていた。姉が失踪して、ちょうど2年になるこのタイミングを。だとすると……。
よく本で見るたとえのように、パズルのピースがぴったりとハマるような感覚になった。
このことを今すぐ雛ノ森さんに伝え、そして、冬美さんに事実確認をしなければならない。
「すいません。急用を思い出しまして」
梅本先生の返事を待つ前に職員室を飛び出した。
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