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3 私の恩人を求めて
町一番の支援魔法の使い手は 26
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「その……なにか不正をしたようなことは見なかったんですけど……こんな額になるような魔石の量じゃなかったと思うんです」
「なんだ? 換金したのに加えて自前の金貨を上乗せしていたのか?」
「いやいや、違う違う。これは正真正銘、今日集めた魔石で換金した金貨だぞ!」
とても焦っている様子のヘイトさんに、流石に周りも違和感を感じ始めたようだ。
「じゃあ、お前は換金したらどのぐらいの金貨になると思っていたんだ?」
「……15枚ぐらい」
私の言葉に二人どころか周囲で見守っている野次馬までもどよめいた。
「いや、15枚は流石にないぞ。私たちは初心者冒険者ではないんだから」
「でも、今まではそのぐらいしか貰っていなかったから……」
どよめいていた周囲は一瞬にして何かを察して静かになった。
「え? なに?」
「おまえ、それカモられてんぞ」
その言葉は、間違いなく私に向けられたものだった。
カモられる。つまり、私が騙されていると言われているんだ。
「そんなことないです! あの3人は優しいですし、それに正規のギルドにも所属していて、私をパーティーに入れてくれた親切な方々です!」
そう言葉では言っても、脳裏にちらつくのは、私が滑落したときにすぐ助けに来てはくれなかったこと。
「あいつ等、正規ギルドの奴だったのか。じゃあ、間違いない。お前は騙されている」
「そんなことないです!」
「じゃあ、聞くが、昨日はいくら貰った?」
「……金貨で5枚です」
「それは4人で等分してんのか?」
「いえ……私が4割で他が2割……」
私の説明で、周りの目が同情の目に変わっていった。
「昨日、あの大型モンスターから出た魔石があっただろ。あれ、一つで少なくとも金貨15枚の価値があるんだ」
「それなら、計算は合っているはずじゃないですか!」
私が金貨5枚。他の人が金貨2枚と銀貨5枚なら合計で金貨12枚と銀貨5枚。さらにそこに夕飯代を加えれば、15枚ぐらいになる計算だ。
「はぁ……。ちっとは疑えよ。お前等は全く狩りをしていなかったのか? 俺が捨てた魔石しか持ち帰らなかったのか? 違うだろ」
私たちは、昨日、いつもより奥に行っていた。自分たちで集めた魔石の量もいつも以上だった。そこに彼から渡された魔石を加えて、金貨1枚分しか上乗せされなかったのは確かに疑問が残る。
私は自分のパーティーに騙されていた?
「大体、一日金貨5枚なんて生活するので精一杯だろ」
「冒険者はそう言う仕事だと……」
「冒険者なめるなよ。俺たちは命がけでダンジョンに潜って魔石を集めてんだ。それんな危険な仕事が低賃金なわけがないだろ」
その言葉で全てを確信した。私はこの世界に来てずっといろんな人から騙されていたんだ。
「なんだ? 換金したのに加えて自前の金貨を上乗せしていたのか?」
「いやいや、違う違う。これは正真正銘、今日集めた魔石で換金した金貨だぞ!」
とても焦っている様子のヘイトさんに、流石に周りも違和感を感じ始めたようだ。
「じゃあ、お前は換金したらどのぐらいの金貨になると思っていたんだ?」
「……15枚ぐらい」
私の言葉に二人どころか周囲で見守っている野次馬までもどよめいた。
「いや、15枚は流石にないぞ。私たちは初心者冒険者ではないんだから」
「でも、今まではそのぐらいしか貰っていなかったから……」
どよめいていた周囲は一瞬にして何かを察して静かになった。
「え? なに?」
「おまえ、それカモられてんぞ」
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カモられる。つまり、私が騙されていると言われているんだ。
「そんなことないです! あの3人は優しいですし、それに正規のギルドにも所属していて、私をパーティーに入れてくれた親切な方々です!」
そう言葉では言っても、脳裏にちらつくのは、私が滑落したときにすぐ助けに来てはくれなかったこと。
「あいつ等、正規ギルドの奴だったのか。じゃあ、間違いない。お前は騙されている」
「そんなことないです!」
「じゃあ、聞くが、昨日はいくら貰った?」
「……金貨で5枚です」
「それは4人で等分してんのか?」
「いえ……私が4割で他が2割……」
私の説明で、周りの目が同情の目に変わっていった。
「昨日、あの大型モンスターから出た魔石があっただろ。あれ、一つで少なくとも金貨15枚の価値があるんだ」
「それなら、計算は合っているはずじゃないですか!」
私が金貨5枚。他の人が金貨2枚と銀貨5枚なら合計で金貨12枚と銀貨5枚。さらにそこに夕飯代を加えれば、15枚ぐらいになる計算だ。
「はぁ……。ちっとは疑えよ。お前等は全く狩りをしていなかったのか? 俺が捨てた魔石しか持ち帰らなかったのか? 違うだろ」
私たちは、昨日、いつもより奥に行っていた。自分たちで集めた魔石の量もいつも以上だった。そこに彼から渡された魔石を加えて、金貨1枚分しか上乗せされなかったのは確かに疑問が残る。
私は自分のパーティーに騙されていた?
「大体、一日金貨5枚なんて生活するので精一杯だろ」
「冒険者はそう言う仕事だと……」
「冒険者なめるなよ。俺たちは命がけでダンジョンに潜って魔石を集めてんだ。それんな危険な仕事が低賃金なわけがないだろ」
その言葉で全てを確信した。私はこの世界に来てずっといろんな人から騙されていたんだ。
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