10 / 86
予知部と茶色い猫
予知部と弱気な新入生 10
しおりを挟む
「この学校で物がなくなる。その犯人と盗品の隠し場所の調査だったな」
「そうだ。報酬の前払いもしただろう」
「確かに受け取ったな。あの猫缶はなかなかに美味でな……」
おいしかった猫缶の記憶を思い出しているのか、目を閉じ、尻尾をゆっくりと揺らしている。
しかし、愛先輩はそんな妄想に付き合いたくはないようだ。
「話を逸らすな」
「まったく、いい気分だったところを……」
揺れていた尻尾は地面に落ち、鋭い目が開いた。少々、ご機嫌斜めと言ったところか。
「まあ、いい。報酬に見合った仕事をするのが俺の信条ってやつだからな。せっかちなお前に分かったことを教えてやろう」
「もったいぶるな。早く言え」
「これだからガキは……」
呆れたと言わんばかりに首を振り、ため息を付いてから話し始めた。
「物がなくなる。これが人間の悪戯でなければ、まず間違いなく精霊の仕業を疑うだろうな」
「そんなことは分かっている。それで、精霊の居場所と盗品の隠し場所は」
「そう急くな。話には順序って言う物があんだぞ」
そう言われて、愛先輩は苛立つが、怒りを堪えて口を出さなかった。
「盗難は基本、この学校内で行われると聞いていた。ただ、この学校はネズミどもの縄張りでな……ネズミと俺たちは仲が悪くてな……」
猫とネズミの仲が悪いのは自然の摂理だ。つまり、猫が言いたいことは、ネズミが邪魔で調査がが出来なかったという事だ。それが分かると、愛先輩は置いていた猫缶を取り上げた。
「お、おい! 何をする! それは俺の分だろ!」
「報酬分の仕事をするのが信条なんだろ。これはお前には不要なものだ」
「まだ話は終わってない。それを取り上げるのは、それを聞いてからでも遅くないだろ」
「いいだろう。話してみろ」
こちらの方が立場が上なんだぞと思い知らせた愛先輩は、再び、猫の前に缶詰を置いて、話の続きを促した。
「ネズミからの話は聞けなかった。だが、奴らの仕業と言うわけではない。奴らは小さくて弱いが賢いからな。人間からかすめ取るなんてリスクが高い事はしない。だからこそ、精霊の仕業である可能性が一番高い」
「なら、ネズミが精霊を匿っている可能性があるのか」
「いいや、それはない。奴らは臆病だからな。同種以外とは群たりしない」
あまり有用な報告がなく、愛先輩の顔が険しくなっていく。
「そうか……。特定は難しそうだな」
「難しいが、解決するなら早くしてくれ。ネズミたちに不穏な動きがあってな」
「不穏な動き? なんだそれは。悪さをしている精霊を退治でもしてくれるのか?」
「違う。奴らにそんな度胸はない。だからこそ、奴らは縄張りにしているこの学校を手放そうとしている」
「……最悪の展開だな」
ネズミという害獣が居なくなることは良いことのはずなのだが、そうはいかないようだ
「そうだ。報酬の前払いもしただろう」
「確かに受け取ったな。あの猫缶はなかなかに美味でな……」
おいしかった猫缶の記憶を思い出しているのか、目を閉じ、尻尾をゆっくりと揺らしている。
しかし、愛先輩はそんな妄想に付き合いたくはないようだ。
「話を逸らすな」
「まったく、いい気分だったところを……」
揺れていた尻尾は地面に落ち、鋭い目が開いた。少々、ご機嫌斜めと言ったところか。
「まあ、いい。報酬に見合った仕事をするのが俺の信条ってやつだからな。せっかちなお前に分かったことを教えてやろう」
「もったいぶるな。早く言え」
「これだからガキは……」
呆れたと言わんばかりに首を振り、ため息を付いてから話し始めた。
「物がなくなる。これが人間の悪戯でなければ、まず間違いなく精霊の仕業を疑うだろうな」
「そんなことは分かっている。それで、精霊の居場所と盗品の隠し場所は」
「そう急くな。話には順序って言う物があんだぞ」
そう言われて、愛先輩は苛立つが、怒りを堪えて口を出さなかった。
「盗難は基本、この学校内で行われると聞いていた。ただ、この学校はネズミどもの縄張りでな……ネズミと俺たちは仲が悪くてな……」
猫とネズミの仲が悪いのは自然の摂理だ。つまり、猫が言いたいことは、ネズミが邪魔で調査がが出来なかったという事だ。それが分かると、愛先輩は置いていた猫缶を取り上げた。
「お、おい! 何をする! それは俺の分だろ!」
「報酬分の仕事をするのが信条なんだろ。これはお前には不要なものだ」
「まだ話は終わってない。それを取り上げるのは、それを聞いてからでも遅くないだろ」
「いいだろう。話してみろ」
こちらの方が立場が上なんだぞと思い知らせた愛先輩は、再び、猫の前に缶詰を置いて、話の続きを促した。
「ネズミからの話は聞けなかった。だが、奴らの仕業と言うわけではない。奴らは小さくて弱いが賢いからな。人間からかすめ取るなんてリスクが高い事はしない。だからこそ、精霊の仕業である可能性が一番高い」
「なら、ネズミが精霊を匿っている可能性があるのか」
「いいや、それはない。奴らは臆病だからな。同種以外とは群たりしない」
あまり有用な報告がなく、愛先輩の顔が険しくなっていく。
「そうか……。特定は難しそうだな」
「難しいが、解決するなら早くしてくれ。ネズミたちに不穏な動きがあってな」
「不穏な動き? なんだそれは。悪さをしている精霊を退治でもしてくれるのか?」
「違う。奴らにそんな度胸はない。だからこそ、奴らは縄張りにしているこの学校を手放そうとしている」
「……最悪の展開だな」
ネズミという害獣が居なくなることは良いことのはずなのだが、そうはいかないようだ
0
あなたにおすすめの小説
ユニークアイテムな女子(絶対的替えの効かない、唯一無二の彼女)「ゆにかの」
masuta
キャラ文芸
恋と友情、そして命を懸けた決断。青春は止まらない。
世界を股にかける財閥の御曹司・嘉位は、U-15日本代表として世界一を経験した天才投手。
しかし、ある理由で野球を捨て、超エリート進学校・和井田学園へ進学する。
入学式の日、偶然ぶつかった少女・香織。
彼女は、嘉位にとって“絶対的替えの効かない、唯一無二の存在”だった。
香織は、八重の親友。
そして八重は、時に未来を暗示する不思議な夢を見る少女。
その夢が、やがて物語を大きく動かしていく。
ゴールデンウィーク、八重の見た夢は、未曾有の大災害を告げていた。
偶然か、必然か……命を守るために立ち上がる。
「誰も欠けさせない」という信念を胸に走り続ける。
やがて災害を未然に防ぎ、再びグラウンドへと導く。
その中で、恋もまた静かに進んでいく。
「ずっと、君が好きだった」告白の言葉が、災害と勝負を越えた心を震わせる。
それぞれの想いが交錯し、群像劇は加速する。
一人ひとりが主人公。人生に脇役はいない。
現代ファンタジーとリアルが交錯する青春群像劇。
本作は小説家になろう、オリジナル作品のフルリメイク版です。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ママはヤンママ女子高生! ラン&ジュリー!!
オズ研究所《横須賀ストーリー紅白へ》
キャラ文芸
神崎ラン(♂)の父親の再婚相手は幼馴染みで女子高生の高原ジュリー(♀)だった。
ジュリーは金髪美少女だが、地元では『ワイルドビーナス』の異名を取る有名なヤンキーだった。
学校ではジュリーは、ランを使いっ走りにしていた。
当然のようにアゴで使われたが、ジュリーは十八歳になったら結婚する事を告白した。
同級生のジュリーが結婚するなんて信じられない。
ランは密かにジュリーの事を憧れていたので、失恋した気分だ。
そう言えば、昨夜、ランの父親も再婚すると言っていた。
まさかとは思ったが、ランはジュリーに結婚相手を聞くと、ランの父親だと判明した。
その夜、改めて父親とジュリーのふたりは結婚すると報告された。
こうしてジュリーとの同居が決まった。
しかもジュリーの母親、エリカも現われ、ランの家は騒然となった。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-
ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。
1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。
わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。
だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。
これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。
希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。
※アルファポリス限定投稿
罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語
ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。
だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。
それで終わるはずだった――なのに。
ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。
さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。
そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。
由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。
一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。
そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。
罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。
ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。
そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。
これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる