予知部と弱気な新入生

小森 輝

文字の大きさ
20 / 86
予知部と精霊探索

予知部と弱気な新入生 20

しおりを挟む
 そのまま、校内を愛先輩と歩いた。金魚の糞の精霊なんていう変なものに憑かれたくないのだが、今更、別行動が出来るわけもない。今の私に出来ることは、歩くことと考えること、そして、金魚の糞の精霊のような変なものに見入られないように祈ることだけだ。
 そんなことを考えながら廊下を歩いていると、生徒の教室がある校舎とは別の校舎へと渡った。こちらは図書室がある校舎ではない三つ目の校舎だ。この校舎には、理科室や家庭科室、美術室や音楽室など、専用の教室が集まっている。入学したての生徒は、部活でもない限り、まず立ち寄らないような校舎になっている。
「こっちには、何の用事で?」
「おそらく、こっちだろうと思ってな」
「こっちに何が……。あぁ、そうか」
 答えを聞く前に、予測できた。この校舎には、部活や授業でない限り近づく人はいない。つまり……。
「この学校で一番人気が少ない場所ってことですね」
「……。人気のない場所なら、さっきの自転車置き場の方が人気は少ないぞ」
「……そうでした」
 私の予測なんて、所詮はこんなもの。特別な目が私にもあると言っても、愛先輩のような洞察力は持ち合わせていなかったようだ。
「落ち込み、考えるのをやめてしまってはそこまでだぞ」
 落ち込む私に追い打ちをかけるようなセリフだが、声音は怒ったようなものでも見下すようなものでもない。
「人気が少ない場所というのは半分あっているんだ。あとは、それに加え、自転車置き場ではなく、ここであるべき理由。それを考えればいいだけだ」
 愛先輩は私にヒントをくれているのだ。思考を止めて、答えを待っているだけでは成長できないから。
 ならば、私は先輩の期待に答えなくてはならない。
「自転車置き場は、人が全くいない……訳ではなかったし。物がない……わけでもない。こことの違いは……外? つまり、室内でなければダメ? じゃあ何で室内に……」
 そこまで呟いて、過去を振り返る。精霊の話。未来が見える話。ちゃちゃ丸さんの話。爽やか先輩の大畠先輩の話。予知部に来たときの話。
「物を盗む精霊……。なら、隠す場所が必要なんですね」
「それもあるが……。まあ、そこまで考えられたのなら、十分か」
 私には一歩及ばなかったかと、残念な気持ちだ。
「正解はなんですか?」
「それは……。いや、話すよりも見た方が早い」
 そう言って、愛先輩は目の前のドアを開けた。考えることに集中していたせいで気づかなかったが、廊下の突き当たりにある教室のドアに来ていた。ここが目的地なのだろうか。ドアの上には社会科室と書いてある。先輩が中へ入ったので、私も続いて部屋へと入った。そこには、神秘的な精霊たちが……なんてことはなく、数名の生徒がいた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ユニークアイテムな女子(絶対的替えの効かない、唯一無二の彼女)「ゆにかの」

masuta
キャラ文芸
恋と友情、そして命を懸けた決断。青春は止まらない。 世界を股にかける財閥の御曹司・嘉位は、U-15日本代表として世界一を経験した天才投手。 しかし、ある理由で野球を捨て、超エリート進学校・和井田学園へ進学する。 入学式の日、偶然ぶつかった少女・香織。 彼女は、嘉位にとって“絶対的替えの効かない、唯一無二の存在”だった。 香織は、八重の親友。 そして八重は、時に未来を暗示する不思議な夢を見る少女。 その夢が、やがて物語を大きく動かしていく。 ゴールデンウィーク、八重の見た夢は、未曾有の大災害を告げていた。 偶然か、必然か……命を守るために立ち上がる。 「誰も欠けさせない」という信念を胸に走り続ける。 やがて災害を未然に防ぎ、再びグラウンドへと導く。 その中で、恋もまた静かに進んでいく。 「ずっと、君が好きだった」告白の言葉が、災害と勝負を越えた心を震わせる。 それぞれの想いが交錯し、群像劇は加速する。 一人ひとりが主人公。人生に脇役はいない。 現代ファンタジーとリアルが交錯する青春群像劇。 本作は小説家になろう、オリジナル作品のフルリメイク版です。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ママはヤンママ女子高生! ラン&ジュリー!!

オズ研究所《横須賀ストーリー紅白へ》
キャラ文芸
神崎ラン(♂)の父親の再婚相手は幼馴染みで女子高生の高原ジュリー(♀)だった。 ジュリーは金髪美少女だが、地元では『ワイルドビーナス』の異名を取る有名なヤンキーだった。 学校ではジュリーは、ランを使いっ走りにしていた。 当然のようにアゴで使われたが、ジュリーは十八歳になったら結婚する事を告白した。 同級生のジュリーが結婚するなんて信じられない。 ランは密かにジュリーの事を憧れていたので、失恋した気分だ。 そう言えば、昨夜、ランの父親も再婚すると言っていた。 まさかとは思ったが、ランはジュリーに結婚相手を聞くと、ランの父親だと判明した。  その夜、改めて父親とジュリーのふたりは結婚すると報告された。 こうしてジュリーとの同居が決まった。 しかもジュリーの母親、エリカも現われ、ランの家は騒然となった。  

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-

ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。 1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。 わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。 だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。 これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。 希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。 ※アルファポリス限定投稿

おじさん、女子高生になる

一宮 沙耶
大衆娯楽
だれからも振り向いてもらえないおじさん。 それが女子高生に向けて若返っていく。 そして政治闘争に巻き込まれていく。 その結末は?

処理中です...