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真の災難

ゲームのキャラに恋するのは規約違反ですか? 37

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「災難だった……」
 全てが終わり、ベッドに倒れ込んだ私は、そう呟いた。
「そんなに疲れるようなことか? 俺が言うのもなんだが、こんなこと、頻繁にあるぞ。昨日は男三人が相手だったしな。それを、玲は経験していたんだろ?」
 コルテに疲れる様子はなく、余っている体力をゲームに費やしていた。
「画面越しに経験するのと実際に経験するのは違うの。襲われたのだって初めてだったし」
「そうなのか? それにしては、華麗な体術だったぞ。俺は殴る蹴るしかできないからな。今度、教えてくれよ」
「あれは、コルテみたいに腕力も脚力もある人には不要な技術なの。私みたいな弱い人が襲われたときに使うものなんだから」
「玲が弱いなんて、そんなのは困る。あんな簡単に不利な状況をひっくり返すのが弱いんだったら、俺はもっと弱いことになるじゃないか」
 正直、コルテの前ではか弱い女性でありたいのだが、どんどん遠ざかっているような気がする。
「まあ、それはいいの。疲れたのはもっと別のことだから」
「別のこと……つまり、俺とは関係ないところでの出来事か。それは災難だったな」
「はぁ……一方的な災難だわ……」
 言えないだけで、私の災難はコルテと深く関係している。
 それは、心を入れ替えた強盗が出て行ってからの出来事だ。
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