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万年の嵐

ゲームのキャラに恋するのは規約違反ですか? 69

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 私は、このまま、吹き飛ばされてダメージを受けるコルテを見ているだけでいいのだろうか。私は、諦めるために、ここに来たのか。それは、違う。私は、コルテを助けるために来たんだ。なら、今やれることをやらなくてどうする。
 私は、コルテの後を追って走った。
「玲! なんで……危ない!」
 風による範囲攻撃に私も巻き込まれて飛ばされた。
 想像していたよりも痛みはなかった。当たり前だ。私を庇ったコルテが地面との激突を庇ってくれたのだから。
「ちょっと、私を庇ったら意味が……」
「俺が守るって言ったからな。当たり前のことをしただけだ」
 私を庇って、受け身も取れなかったのに、コルテは平然と立ち上がった。
「無茶をするな、と怒りたいところだが、玲がやりたいことは理解できる。確かに、距離は短くなった」
 範囲攻撃の吹き飛ばしは、攻撃を受けた人数によって弱まる。私とコルテの二人なら半分。
「だけど、まだ足りない」
 半分になったところで、まだ足りない。もっと頭数が必要だが、ここには私とコルテしかいない。
「一か八か、と言いたいところだが、最大限まで距離を詰めて、そこから二等分した力で飛ばされても、まだ距離は足りない」
 誰か、人を呼ぶべきだろうか。でも、誰を呼んでいいのか。浅井さんに、こんな危険なことに協力させていいのだろうか。それに、コルテを知っている浅井さんでも、モンスターが出現しているなんて教えてしまっていいのだろうか。そもそも、これは秘密にするべきことなのだろうか。
「とりあえず、俺があいつの相手をしておくから、その間に、何か突破口を見つけだしてくれ」
「え……ちょっと……」
 コルテは走って行ってしまった。
 頭脳は私の方が上とは言ったが、丸投げする必要はない。どうせ、また、すぐに吹き飛ばされて戻ってくるのだから、一緒に考えればいいのに。
 そんな愚痴を考えるが、今はそんなことに割いている暇はない。
 人を呼ぶのは極力避けた方がいい。私たち二人で、どうにかできないか。
 私の考えを遮るように、突風が襲い、コルテが飛んできた。
「くっそ……どうだ? 何か思いついたか?」
「そんな早くに思いついたら苦労しないわよ!」
 丸投げしておいて、人の苦労も理解してほしいものだ。
「どうせだし、剣でも投げてみるか?」
 投げた剣が強風でこちらに襲ってくるまで読めた。
 何でも投げそうなコルテを見ていると、視界の端に強風で転がる物を捕らえた。それは、丸太だった。
 この嵐で、どこかから飛んできたのか。いいや、違う。あれは、昨日、コルテが切り倒した木。それが強風で転がり、枝が無くなってしまったのだ。今は丸太がどこから来たのかなんてどうでもいい。この丸太から最初に連想した物が重要だ。これは日本人だからなのだろう。私が丸太から連想したのは忍者が使う変わり身の術だった。
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