アイリス未来探偵事務所

小森 輝

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 社長に言われたとおり、午後からも鐘ヶ江さんと一緒に仕事をした。鐘ヶ江さんは「サポートのサポートってなんだよ」と嫌そうな顔をされたが、特に問題もなく、一日を終えることができた。
 そして向かえた社会人生活2日目。
 電車が遅れることもなく、無事に通勤する事ができた。
 そして、今日からは事務所の正面入り口からではなく、社員用の裏口から事務所の中へと入った。理由は一つ。こっちの方がここで働いているという実感が沸きやすいからだ。
 裏口から入ったことで、今日は受付の遠藤さんと会うことはなく、私は事務所の中へと入り、自分の席へと座った。
 少し早めに来たということもあり、社員の方は疎らだ。もちろん、私の隣である鐘ヶ江さんもまだ来てはいない様子だ。
 とりあえず、早く来たのだから何かしなければ不自然だ。
 そう言うわけで、私はパソコンを開いたのだが、特にすることもなく、仕方ないので昨日の資料に目を通していた。
 すると、事務所の中に電話の音が鳴り響いた。音の方へと視線を向けると、朝比奈さんが受話器を耳に当てていた。
「朝比奈です。……はい……いますけど……」
 そして、なぜか私と目があった。電話の相手と私に何か関係があるのだろうか。
 そんなことを考えているうちに電話は終わったようだ。
「山本さん! 社長が呼んでるみたい」
「え……? わ、分かりました!」
 何かやらかしてしまったのだろうかという不安な気持ちで満たされながら、急いで社長室へと向かった。
 焦ってはいるが、ちゃんとマナーは守り、ノックして入室の許可が出てから社長室へと入ると、そこには鐘ヶ江さんもいた。
「本当に連れて行くっていうんですか? まだこいつ2日目ですよ?」
 なにやら揉めている様子だ。鐘ヶ江さんがいて私が呼ばれたということは、もしかすると昨日のことで何か問題があったのかもしれない。よく考えると、昨日、現場に行ったときも少ししか見ていなかったし、そこで何かミスをしたのかもしれない。
「実習なんだから、何でも経験させてあげなきゃだめでしょ? もしかしたら家の事務所に入ってくれるかもしれないんだし」
「それは分かってますけど……。知りませんよ? 何かあったら社長の責任問題になるんですからね?」
「大丈夫よ。鐘くん、こういうマニュアルに頼らないようなこと得意でしょ? 特別手当も出すからさ」
「はぁ……。分かりましたよ。やればいいんでしょ? 何かあっても、俺、知りませんからね?」
「そう言うときは大丈夫な時だから。心配してないわ」
 どうやら、二人の話は終わったようだ。
 私にも今のこの状況を説明してほしいのだが、そんな時間はないらしい。
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