物質を見えなくするザコスキルで復讐します。

夢見る青年。

文字の大きさ
4 / 19

4話 初めてのスキル

しおりを挟む



 「嫌です、コンビニで働きます」

 「ダメだよ!ここで働くの!私のためにと思ってここで働いてほしいな!!」

 瑠衣は、絶対に引くもんかと言わんばかりに顔をしかめている。

 「り、理由はなんなんですか?」

 「いやね?私、ここの事務所で働いているんだけど、最近良いモデルがいなくてね……まぁそれもこれも、あの子が人気すぎるのもあるんだけど。それで、業績が落ちてて……どこかに良い素材が転がってないかなって思ってたら、君を見つけたんだよ!!確かに!あの子よりはカッコ良くない!!だからこそ!そこがいいの!それに、お給料もいいわよ?有名になれば親が見つけてくれるかもしれないし?」

 瑠衣は、よく分からない理屈で達也をどうにか丸め込もうと見え見えだった。
 だが、達也は一つ気になっていることがあった。
 瑠衣が言っている『あの子』

 「あの、そのあの子って誰のことなんですか?」

 「え?そんなに決まってるじゃない、国の宝石『弥生 実』だよ。最近は、どこもかしくも弥生、弥生って。モデルはもちろん、ドラマに映画にアニメの声優までやってる始末よ。まぁあの子に勝って!って言ってるわけじゃ、な」

 「やらしてください。弥生よりも、人気になってみせます。いや、人気にならなくても弥生の人気を落とすことはできます。その為の努力だったら、何でもします」

 達也の表情は一変し無表情で瑠衣を見つめている。

 「え!?いいの!?普通こんな話聞いたら断るのに……ものすごい、執着を感じるわ。まさか、復讐とかだったりしてね」

 瑠衣の推理は相変わらず、キレッキレだった。
 もちろん、達也が了承したのには理由がある。
 それは、有名になりたいからとは違う。
 達也の狙いは、瑠衣のコネクション……いわゆる、繋がりであった。
 元々、何かの繋がりがないと弥生には会えないと思っていた。だが、その繋がりを作る当てが達也には全くなかった。
 それができる人間が今、目の前にいて自分をその道へ引き摺り込もうとしていた。
 こんな上手い話があって良いのかと思ったが、謎の声が言っていた『サービス』を思い出して、どこか安心した。
 
 「あはは!まぁ、想像にお任せしますよ」

 「怪しい……まっ、働いてくれるなら理由は聞かないわ。それじゃあ、お礼と言うことで……」

 「へ?」

 瑠衣はゆっくりと立ち上がり、達也の方は歩いてきた。

 ーーえ、え、え!え!?お礼ってまさか、まさか!!了承しただけなのに!?まだ、何も成し遂げてないのにお礼もらっちゃって良いんですか!?あ、やばい!近い!!

 瑠衣は、どんどん達也に近づいてきた。
 達也の心臓は、爆音となり視界が鼓動に合わせて揺れている。

 ーーあの人が誰か知らないけど、最高のサービスだよ。あぁ、もう手の届く距離に……

 達也との距離が、手の届くほどの近い距離に瑠衣が来た。
 ズボンから出ているきめ細かく白い肌!たるみのないハリのある太もも!頬擦りしたくなる程綺麗な足!そして、目の前をゆっくりお通過していく。
 その後を、甘くもサッパリとした匂いが追いかけて行った。

 ーーあれ……え?

 瑠衣は、達也の前を通り過ぎると厨房は向かっていった。
 
 「良し!今日は久々に気合い入れて作るね!嫌いなものはある?」

 ーーあぁ、料理か。いや、嬉しいよ?すごくお腹空いてるし。でも、そうか、そんなに甘くはないか。

 「嫌いなものは……淡い期待ですかね……とほほ」

 「え?なんて言った??豆腐が嫌いなの?」

 「げ、口に出てたのか。はい、豆腐が嫌いです!もう、見るのも辛いです」

 「うふふ。君は変わってるね。分かったよ、豆腐は出さないようにするね」

 瑠衣は、エプロンを着ると冷蔵庫から数種類の野菜と肉のような物を出し炒め始めた。
 
 ーー独人暮らしだったから、手料理って久々だな……いや、女の子の手料理は、母親以外だと初めてだな。

 「よし!出来た!持っていくから机のリモコンどかして」

 「了解です!」

 机の上にある、リモコンをどけると目の前には大皿に乗った野菜炒めに、昨日の残りなのか炊き込みご飯が一緒に出てきた。

 「ごめんね、余り物もあるけど味は保証するよ!」

 「ありがとうございます!頂きます!」

 野菜炒めを箸で掴み、ゆっくりと口へ運ぶ。
 近づくにつれ香ばしい香りが鼻を刺激し、口元に触れ熱を感じながら舌の上に優しく置いた。
 
 「ぶふぉ!?」

 ーーなんっっだこれ!!やばい、やばいよこれ。あまい、ものすごく甘い。何入れたらこんなに甘くなるんだよ。

 「あれ?もしかして猫舌だった?冷ましてあげよっか?」

 瑠衣は、揶揄うように野菜炒めに息を吐き冷まし始めた。
 
 「いや、いや、猫舌なのかな?あ、そうかも知れないです!また舌が痛いので、自分で冷ましますよ」

 「ふーふーそんなこと気にしないの。うふふ、はい、あ~ん」
  瑠衣は、ニヤけながら地獄のスパイスが掛かった野菜炒めを口元は運んできた。

 ーーっく、食えってか?食べろって言うのか!食べたく無い……非常に食べたく無い。でも、食べるしか無い。この人が居なければ僕の復讐を成し遂げることは出来なくなる。そうだ、この人が居なければ……たかが、甘ったるい野菜炒めを食べるだけで良いのなら安い物だ!!

 「あ、あ~ん……っく」

 達也は、口元まで運ばれた野菜炒めを口に入れた。
 変わらず、衝撃的なほど甘く豚肉の油が混ざり異質な味を作り出していた。
 
 「っく……んぐ!お、おいしいぇす!!」

 「うふふ、噛むほど美味しかったのは嬉しいよ。私も食べてみよ~っと」

 瑠衣は、持っている箸を使い野菜炒めをとった。

 ーーあ、あれは間接キス!!っく、逆がよかった。でもこれが美味しいって瑠衣さんの舌はやばいのかもしれない……

 「んぶばほ!?まっっず!なにこれ!」

 瑠衣は、あまりの不味さに達也の顔に二噛み程された野菜炒めを吹き出した。
 達也の顔は、豚肉と甘い匂いのする野菜炒めに包まれた。
 
 「た、達也くん!ごめん!わたし、顔にかけちゃった!すぐタオル持ってくるからまってて!」

 「あはは、全然大丈夫ですよ!」

 ーー間接キスは出来なかったけど、頬に関節的にキスをされたんだ……ラッキー。

 そのあと、達也は綺麗に拭かれ新しいおかずを作ってもらった。

 「それで、僕はいつから働くんですか?」

 「ん~そうね……なら明日は、顔出ししよっか」

 「あ、はい!わかりました!」

 「よし!なら、明日は早いからもう寝ようか」

 「あの……僕ってどこに寝れば」

 「もちろん、あるとも!はい!これ使って」

 「あ、はい……」

 達也に出されたのは簡易的な組み立てベットだった。
 最初はあれやこれやと期待していたが、世の中そんなに甘く無いことを痛感していた。

 「達也くんおやすみ、また明日ね」

 「はい!おやすみなさい」

 瑠衣が寝入って3時間後

 「……まだ、寝てるよな」

 達也は、ベットの軋む音を最小限にしながら起きた。
 けっして、夜這いをしようとしているわけでは無い。
 いつなんどきでも、スキルを使えるようにする為に慣らし運転をしようとしていたのだ。

 「えっと……まずば……」

 達也は、机の上に置いてあったリモコンにスキルを使ってみた。

 「手とか翳した方がいいのかな?ちょっと恥ずかしいけど……『透明カラーレス』。さ、どうだ」

 達也がスキルをリモコンに向かって唱えると……

 「ん?おぉ!おぉ!!!」

 年甲斐もなく興奮した達也の前に置いてあったリモコンから、少しずつ色とりどりの水が流れ出した。
 が、問題がすぐに発生した。
 リモコンどころか机まで溶け始め、一瞬で全て透明になってしまったのだ。

 「いっ!ど、どうしよう!えっと、あ、そうだ!『着色カラーリング』!」

 達也が反対スキルを唱えると、色とりどりの水が空気中から雨のように降り始めた。
 それはとても幻想的で、まるで降り注ぐ虹を見ているようにも思えた。
 そして、その雨はリモコンと机を一瞬で色付けした。

 ーーす、凄すぎる……地味だと思ってたけど思いの外、派手だったな。このスキル使えば、金儲けまでできてしまうな。意外に、この世界で成功してる人間は、スキルを持ってたりするのかもな。

 達也の思っていた事は、後に現実となる。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。

昼寝部
キャラ文芸
 俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。  その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。  とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。  まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。  これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

迷宮遊戯

ヘロー天気
ファンタジー
ダンジョンマスターに選ばれた魂が生前の渇望を満たすべく、迷宮構築のシステムを使って街づくりに没頭する。 「別に地下迷宮である必要はないのでは?」

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ

シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。  だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。 かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。 だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。 「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。 国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。 そして、勇者は 死んだ。 ──はずだった。 十年後。 王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。 しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。 「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」 これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。 彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。

没落ルートの悪役貴族に転生した俺が【鑑定】と【人心掌握】のWスキルで順風満帆な勝ち組ハーレムルートを歩むまで

六志麻あさ
ファンタジー
才能Sランクの逸材たちよ、俺のもとに集え――。 乙女ゲーム『花乙女の誓約』の悪役令息ディオンに転生した俺。 ゲーム内では必ず没落する運命のディオンだが、俺はゲーム知識に加え二つのスキル【鑑定】と【人心掌握】を駆使して領地改革に乗り出す。 有能な人材を発掘・登用し、ヒロインたちとの絆を深めてハーレムを築きつつ領主としても有能ムーブを連発して、領地をみるみる発展させていく。 前世ではロクな思い出がない俺だけど、これからは全てが報われる勝ち組人生が待っている――。

復讐のための五つの方法

炭田おと
恋愛
 皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。  それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。  グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。  72話で完結です。

処理中です...